545.アベル君と幹部会顔合わせ。
545.アベル君と幹部会顔合わせ。
オスカーとテオ、俺とで黒猫ちゃんとマキシを連れて幹部会室に入った。
そこには、面接が終わり他の幹部たちと談笑するオリビィの姿があった。
「旦那さま!ずっと廊下にいらっしゃったのですか?」
顔をほころばせながら、オリビィが駆け寄ってきた。
「うん、いろいろあったんだよ。」
「いろいろですか?あ!あなたはまだいらっしゃったの?」
俺たちと一緒に居たマキシを発見し、邪険にするオリビィ。
言われたマキシは、委縮するように首をすくめた。
「それは私から説明しよう。」
そう言って、オスカーが皆の前に出て声を張る。
「皆、聞いてくれ。オリビィの面接ご苦労であった。我が妹が無事に幹部会に入れたことは嬉しく思う。それでだ。」
コホンと、一つオスカーは咳ばらいを入れまた話しだした。
「こちらに連れてきた二名を、廊下で我々三人が急遽仮の面接を行ったのだ。その理由は後で話す。」
そこまで言い終わると、
「二人とも前に出たまえ。」
そう言って黒猫ちゃんと、マキシを自分の前に並べた。
二人とも緊張しているようだが、オスカーはお構いなしだ。
人の心など、目標を目の前に関係ないのが、オスカーの本来の姿である。
前世のパワハラ上司みたいなものだな。
「仮の面接の結果、この二名を新たに幹部会へ入れることを決めた。勝手な事をしたのは此処で詫びる、すまない。」
勝手だなぁ、って感じで訝しんでいたジーナたちの表情が、今の詫び一つで緩んだ。
王太子の頭一つは重くていいな。
代わりたくないが。
「この二人を入れても問題ないだろうか?あるなら挙手をお願いしたい。」
オスカーが更なる念押しで、意見を聞くとイーディスが挙手をした。
「先程理由があると仰いました。それをお伺いしないと何とも。」
そう言ってオスカーに理由をイーディスは問う。
「それはアベルに任せよう。」
オスカーは振り返って俺を見ながら、言った。
ここまでやったのなら全部やれよこの野郎。
「ここで僕?まあ、仕方ないが。先程、僕は王女殿下の面接前に廊下に出ました。これは皆さん承知していると思います。」
俺がここまで言うと、制服の袖をオリビィが引っ張って、耳元に口を近づけてきた。
「旦那様、王女ではありませんよ。オリビィです。」
そう俺の耳元でささやいた。
「はい、知っております。ただ、ここはフォーマルな場ですので、今しばらく御辛抱ください。王女殿下。」
俺は静かに答えた。
「わかりました。我慢します。」
そう言って、オリビィは引っ込んだが袖をつかむ力は強まった。
まあ、まあ、まあ、まあ、落ち着いて。
今、おじさん、面倒な話ししなきゃ駄目だからね。
俺はオリビィに袖を引っ張られつつまた口を開いた。
「で、僕が廊下に出た理由が、このマキシミリアン君でした。」
俺はマキシに手を向けた。
自然とマキシに視線が集中する。
すると、またマキシは居心地悪そうに、首をすくめた。
「まあ、彼と彼を推薦する一年生たちが、王女殿下を囲んでいたのが、そもそもの騒ぎの原因でした。」
その話を聞いて、リックはのほほんとしていたが、他の女性陣の目が険しくなる。
「その件に関して、マキシミリアン君は自分の非を認め、王女殿下へ即座に謝罪、それを王女殿下も快く受け取ったことで解決済みと私は認識しております。よろしいでしょうか?王女殿下。」
「ええ、だ、いえ、アベル様の進言を聞き入れ、すぐに謝罪して頂きました。その判断力は早いようですわね。」
「流石オリビィ、見るとこ見てるね。おっと、いけない、いけない。王女殿下、流石です。」
俺がオリビィから王女殿下へ言い換えると、オリビィはちょっとだけ抗議の意味か頬を膨らませた。
「まあ、年齢的、そして貴族的浅はかさもまだ見受けられますが、学校生活を続けていくことで彼の弱点は消えていくのではないかと見ております。あと、そんなことが有ってもちゃんとここに留まれる責任感、それと他薦をとれる人気が僕の彼への心象であり、彼を推薦するに至った経緯です。」
俺が答え終わると、
「うむ、アベルの推薦を聞いて私とテオもそれに同意し、彼を入れると決めたが、皆はどう思う?」
「アベル様が推薦するならば意見はありません。」
リックがオスカーに言った。
「私もないわ。可愛い坊やじゃない。」
これはジーナ。
「王太子殿下、決まりでよろしいのではないでしょうか。」
イーディスがそう言ってマキシの正式入会が決まった。
「そしてこちらのルナさん。」
俺は彼女にも手を向け、推薦の内容を語るのだった。
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