538.アベル君とオリビィの処遇。
538.アベル君とオリビィの処遇。
「承知した。」
オスカーが短く返事をし、オリビィはペコリとお辞儀をしてから、
「よろしくお願いいたします。」
とだけ言って、寄宿舎のオリエンテーションに行った新一年生たちを追って行った。
「さて、アベルどうする?」
何食わぬ顔でオスカーが聞いて来た。
「どうもしないだろ?面接をしなきゃ。」
俺がそう返すと、オスカーは、
「貴様の内心を聞いているのだ。」
「内心ねぇ。俺は入れるべきだとは言わないけれど、入れてもいいと思うよ。オリビィの政治力は、義兄殿より上だと思うからね。」
「ふん、抜かせ!」
そう言って、オスカーはソッポを向いた。
兄より優秀な妹などおらぬ!って言えばいいじゃん。
言ったら揶揄うけど。
まあ、今の態度はオスカーも気が付いているんだと思う。
器とか度量とか、能力とか、後天的に養えることもあるけれど、持って生まれたものも多い。
兄と妹が逆ならよかったのに、とは言わんけどね。
しかし、後天的でもオスカーは伸びてきた。
それは素直に感心するし、賞賛も出来る。
まだ声に出すには早いだろうから、出さないけれどね。
「では各々のクラスに戻ろうか。」
「だな、では、後で幹部会室で。」
「うむ。」
オスカーは頷いて自分のクラスに戻って行った。
*****
それから時は経ち、幹部会室である。
三年生の幹部たちは思い思いの所で座り雑談をしている。
そこへ、俺はフランカと連れ立って中に入って来たって感じだった。
「皆さん、お集まりで。」
「アベル~、久しぶりじゃない。え、なに?今度はフランカちゃんに手を出したの?」
入って早々、ジーナが俺に絡んできた。
「駄目ですかね?」
「あら、否定しないの?まあ、あなたは甲斐性あるものね。私も何人側室が居ても平気よ。」
馬鹿じゃねーの。
身が持たんわ。
横でフランカは嫌そうな顔をしているから、ちゃんと言うべきことを言っておこうと思い、
「まあ、フランカは思い人が居ますから、僕から手を出すことはありませんよ。」
「「「なに!!」」」
部屋中の幹部たちが反応した。
「アベル様!!今わざと言ったでしょう!?」
フランカが赤面しながら俺に憤った。
「うん、パオロとのことをここではっきりしておけば、今のジーナのような邪推が入ることは無いと思って。俺は困らないし。」
「私が困ります!なんで、今パオロ様の名前出すんですか!!!」
そう言って、俺の肩をポカポカとフランカは殴りだした。
「ほう、武道大会優勝者か。同じクラスだったかな。なるほどな。」
こう言ったのはテオ。
「アベル様の魔法サークルで、二人が良く話をしているのを、私は微笑ましく見ていましたよ。」
そう言い始めたのはイーディス。
「そうそう。私も見ました。仲睦まじいなぁと羨んでおりましたよ。」
これはリックだ。
「と、言うわけで、ここで明かすも明かさないも、だいたいバレていたな、フランカ。」
俺がそう言うと、
「わーん!みんな見ながら私の醜態を笑っていたんですね!」
そう言いながら、力なく跪き、フランカは目に手を当てた。
「あら、恋する乙女の姿は、決して醜態なんかじゃないわ。アベル!あまり意地悪言わないの!」
そう言ってジーナが俺を叱った。
「おっ、そうだな!すまん、フランカ。ちょっと揶揄いたかっただけなんだ。パオロとは、うまくいってそうだったしな。」
「ジーナ様。ありがとうございます。」
フランカは、ジーナにすがるように手を差し出し、持ち上げてもらっていた。
そして俺を睨むと、
「だからって、みんなの前で言わなくてもいいでしょう。アベル様の意地悪!」
「はい、はい。ゴメンて。」
俺がおざなりに謝っていると、幹部会室のドアが開いた。
「なんだ?賑やかではないか。またアベルが問題でも起こしたのか?」
入って来たのはオリビィほか、お姫ズを伴ったオスカーであった。
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本作は長編となっています。
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