531.アベル君とパーティーの後は?
531.アベル君とパーティーの後は?
無事に終わりました。
パーティーが。(倒置法)
いや、冷や汗が出るどころか、油汗が流れ出るシーンも何度かあったけど、無事これ名馬な感じかな。
で、今はどこに居るかと言えば、ヴァレンタイン家のセイナリア別邸に居るわけです。
何故か知った顔が集まってみんな飲んでる。
男も女もおじいちゃんも。
神様まで居るんだから質が悪い。
『今、私の悪口言ったでしょ。』
一々頭の中を読むなよ、鬱陶しい。
もちろんこんな芸当が出来るのは一柱しかいない。
カミラだ。
『そうでーす!カミラちゃんでーす!』
お前、勝手にこっちへ干渉すんなよ。
神だからって、フリーダム過ぎんだろ。
『ローズが助かって良かったわねぇ。』
まあね、オリビィが機転を利かせてくれて助かったよ。
『もう、頭が上がらないわね。』
それはそう。
でもお前がローズを気遣うとはね。
『付き合いが長いからね。カミラになってからは疎遠だけど。』
リーサの頃は喧嘩ばかりしていたのにな。
『そうね、あの頃はローズも不安定だったのよ。分かってんでしょ。』
でも、ローズが助かっただけでうれしい。
いつ高次元に行っても俺は構わないもの。
『あんた、あっち行く前にこの身体を孕ませてからにしなさいよね。』
ぶはぁ!
馬鹿じゃねぇの?
そんなこと、貴族の乙女が言うな!
『まあ、あんたのことだから、皆のことが心配でそんなことできないと思うけどさ。』
あらぁ、わかってんじゃないの、カミラちゃん。
「そりゃそうよ。頭の中、覗けるんだもん。」
まあ、それは趣味が悪いことで。
『守秘義務は守っているから大丈夫よ。』
何が大丈夫かさっぱりわからんがね。
『ローズちゃん助かって良かったよぉぉ。』
いきなり入ってくんな、アンネ!
酔っぱらってんのか?
『酔ってないです。ジュース飲んでますから。リオラの果汁と、何か混ぜたものだって言ってましたよ。ご隠居様が無礼講だって私たちに振舞って下さいました。』
あの爺、カクテル飲ませたな!
あ、今までの会話は、アベル・ヴァレンタインの脳内からお送りいたしております。
『そう言えば、そのローズが居ないじゃない。』
カミラは知らないか。騎士学校の寄宿舎で謹慎中。
ここの皆にも顔向けできないってさ。
『なるほどねぇ。確かにそうよね。』
まあ、あとでたっぷり慰めてあげますけどね。
『アベル様、いやらしい。』
アンネ、それは違う。
俺とローズにとっては日常。
どんなにお互いすれ違いがあっても、どんなに落ち込んだことが有っても、二人で共同作業すればあっと言う間に仲直りってもんよ。
『もう!知らない!!』
乙女じゃわかるまい。
『私はまあなんとなくわかるわ。』
あら、カミラ君は分かるかね。
『そりゃそうよ、神様だもの。』
便利な言葉だな、神様って。
おっと、お前の親父が近づいてきた。
「アベル君、ちょっと話が有るんだが。」
カレッド伯爵が少し赤い顔をしながら、酒臭い息を吐いた。
「なんの御用でしょう?カレッド伯爵。」
「君、我が娘を側室に入れると言ったようだね。」
「私の乳兄弟であるアンネローゼには申し込みましたが、カミラ嬢に言った覚えはございません。」
「いや、おかしい。君がカミラを娶るだろうと、王家の方々が口を揃えて仰ってる。」
何やらかしてんだ、あの家族は?
王妃が漏らしたのか?
言わないと思っていたんだがな。
また俺を混ぜっ返して楽しむ算段か。
あの夫婦は。
「王家の方々の思惑はどうか知りませんが、カミラ嬢がいくら魅力的なお嬢様と言いましても、今のところは私が娶るというようなことはございませんのでご安心ください。」
「あら、お父様。アベル様となんのお話?」
カミラがシレっと俺の隣にやって来た。
「おお、カミラ。お前はアベル君とは恋仲ではないのであろう?」
カレッド伯爵は、いささか芝居がかった口調でカミラに聞いた。
「確かに恋仲ではございませんね。」
「そうか。アベル君のことは何とも思っては無いのだな。」
「いいえ、アベル様と子を成したいと思っております。」
おいいいいいいいいい!
「アベル君!!」
飛沫が届く距離まで、カレッド伯爵が俺の顔に迫るのだった。
はぁ。
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