517.アベル君と、有象無象。
517.アベル君と、有象無象。
「「「ざわ!?」」」
俺たちをよく知っていない周りの人たちが、一斉にざわついた。
「王女殿下、衆人環視の中、はしたないですよ。」
「は!そうですわね。でも、武道大会以降、旦那様は会って下さらないのですもの。私、寂しくって。」
そう言って、ちょっとだけ背の低いオリビィは俺を上目遣いで見上げた。
このお姫様は何処まで計算してやってんだろうね。
まったく。
まあ、オリビィ自身がぶっちゃけちゃったんだから仕方がない。
人間観察と行こうか。
周りの人間が現状、どんな顔をしているか知りたいでしょ?
まずはロッティー。
最初は目を剥いて驚いていた。
「旦那様!?」
という小さな驚きの声もあげておりました。
今は、俺はなぜだか知らないけれど、俺に自然と腕を組むオリビィに対して、
「グギギギギ…」
と、妙な歯ぎしりとも、うめき声ともつかない音が、ロッティーの口の中から漏れている。
エドワード爺ちゃんも目を丸くして驚いている。
その隣にいたカミラとアンネは対照的な表情だ。
カミラはほぼロッティーと同じだな。
ぐぬぬ!って感じ。
アンネは何故か手を胸の前で合わせてウルウルしてる。
いまいちわからん。
国王?
口をゆがめて笑っているよ。
オリビィの俺への行動はさんざん見ているし、けしかけていたんだからオリビィの行動くらいお見通しだろう。
ウィリアム爺ちゃんとクリス婆ちゃんはにこやかだ。
全然動じていない。
カレッド伯爵は、軽く頭を抱えていた。
見たことは無かったけれど、行動は聞いていたんだろうな。
近衛騎士団の二人と、グスタフご夫婦もカレッド伯爵と同じ。
武道大会でオリビィが俺に纏わりついていたのを、ガウェインさん以外は見ていたからね。
そしてルミナ夫人だけは、ニコニコしていたね。
で、ローズの顔は、能面でした。
こわひ。
「アベル!やるなぁ!!」
こう言って笑いながら酒を飲んでいるのはバルドさん。
一人、杯を呷りながら、ガハハと笑うバルドさんだけが救いだよ。
そのバルドさんを、カテリーナ夫人が肘鉄を食らわせていた。
「皆さん、お揃いで。」
俺はそう言って一同を見回しお辞儀をした。
そして、跪き、
「この度は祖父の帰郷のため、このような会を開いて頂き、誠にありがとうございます。国王陛下。」
そう言って、俺とロッティーが首を垂れる。
「うむ、余はアベルの兄弟子であるからな。師匠が帰るなら送り出すは自明。気にする必要などない。」
狸親父はそう言って、鼻を鳴らした。
まあ、仁義は切った。
気にするなというんだから、これ以上のことは必要はなかろう。
「ありがとうございます。」
そう言って更に頭を下げた。
「うん、もうよい。面を上げ楽にせよ。皆が飲めなくなる。」
その言葉を受け、俺とロッティーは立ち上がった。
「シャーロット殿!」
国王の後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
オスカーだ。
「一曲踊って頂けないだろうか?」
そう言って、オスカーは跪き手を差しだした。
「オスカー、今踊って来たばかりだから、姉さんは疲れているんだ。もう少し待ってくれ。」
と、俺はわざと茶々を入れた。
だって面白いじゃん。
「旦那様、私とは踊ってくださるでしょう?」
モジモジしながらオリビィが言った。
「もちろん踊るよ。でも順番が詰まっていてね。」
俺がそう言ってカミラを見ると、ぱぁ!とさっきとは違い、明るい顔をするカミラ。
「え?私が一番じゃないんですの?」
「立場的には一番です。でも、貴婦人として順番は守れるでしょう?」
「む、でもそうですわね。いずれは私が旦那様の一番になるのですもの。ダンスの順番くらい守りますわ。」
「聡明なオリビィは素敵ですよ。」
俺はそう、彼女の耳元でささやいた。
それを聞いたオリビィは、顔を真っ赤にして悶え狂っていた。
面白れぇ、鰹節が温かい飯の上でうねっている様だわ。
「アベル!貴様はもう踊れるのに!」
そうやっかんで来たのはオスカーだ。
「当たり前だろ?学者肌の姉さんと、騎士を目指している僕。どちらが体力的に上だと思っているんだ。」
「あ、い、いや、しかし。」
「こんなところで僕に絡んでいないで、姉さんをエスコートしてお酒でも飲んでいればいいじゃないか。」
「ああ、そうだ。それは良いな。やはりアベルだ。」
そう言ってオスカーはロッティーのもとへ行ったのだった。
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