453.アベル君と別邸での報告。
453.アベル君と別邸での報告。
結局糞な王族が早めに布告なんかをしたおかげで、爺ちゃんと姉さんに説明をしなければならないと思い、セイナリア貴族街にある、ヴァレンタイン家セイナリア市別邸にローズを伴い馬車で向かう。
テオたち?
あんなん構ってられないよ。
あとで話くらいは聞いてやるさ。
ジーナの不穏な態度もあったしね。
過激な伏線になんなきゃいいな、って思っている時点でフラグだろ!って突込みは、大丈夫、自分でやるよ。
やっぱり、王族が絡むと碌なことが起こらない。
悪い人たちじゃないんだけどね。
でも事が起これば、立場が立場だけに質が悪い。
シャレじゃないよ。
「お帰りなさいませ。アベル様。」
別邸の玄関で出迎えてくれたのは、この別邸メイド勢で一番の古株、カトリーヌである。
「ただいま、カトリーヌ。爺ちゃんはいる?」
「はい、ご在宅でございます。今はリビングかと。」
「ホント?ありがとう。」
「今夜、お二人はお夕食をご一緒なさいますか?」
「多分そうなると思う。急でゴメンね。」
「次期主人が謝罪の言葉など必要ございません。必要な時に必要なことをするだけでございますので。」
「うん、使用人が優秀だと助かるよ。」
俺はそう言ってリビングに向かった。
「どうした?アベル。」
慌ててリビングに入って来た俺を見て爺ちゃんが聞いてきた。
「うん、今日、城から布告が発布されてね。」
「なんだ。そのことか。あれは既定事項であったのだろう?」
「いずれはって話だったんだけどね。王女殿下が、北の僕らに反感を持つ連中を説き伏せ父さんを説得できたらって話のはずだったんだけどね。」
「また陛下の罠にはまったか。」
「今回は罠というより事故だったね。姉さんが来てからまとめて説明するんでいいかな?ちょっと込み入っているから。」
「ふむ、そういう事ならば、シャーロットを待とうか。」
「ゴメンね、爺ちゃん。」
「何がだ?」
「帰る間際でまたなんかさ。」
「アベル、お主を見ていると飽きんから別に苦じゃないぞ。」
「爺ちゃんにとって僕は劇中の俳優か。」
「そうなるか。はっはっは。」
などと、爺ちゃんは楽しそうに笑った。
「しかし、ローズは大丈夫か?」
爺ちゃんは俺の後ろで控えていたローズに話しかけた。
「はい、ご隠居様。いずれはこういう日も来るだろうと思っておりましたので。」
ローズが静かに答える。
「うむ、そうであろうな。苦労を掛ける。」
ローズに爺ちゃんが労いの言葉を掛けた。
「滅相もございません!ご隠居様!わた・・・」
ローズが爺ちゃんの労いに反応するが、爺ちゃんが右手を上げてそれを制した。
「良いのだ。これからも付き従ってやってくれ。」
「はい…畏まりました、ご隠居様…」
ローズが感極まって涙声になった。
ああ、そうね、俺も自分の事ばかりで、このことに関して、ローズをねぎらうとかなかったなあ。
甘えてばかりだった。
俺が王族に繰り込まれるのが嫌なように、ローズだってそう思っているだろうに。
しかしローズはそんなことは言わない。
言う必要がないとは思っていないだろう。
自分の立場的に、言えないとは思っているかもしれないが。
遠慮なしに俺を叱ることはあるけれど、こういう状況とまた違うからね。
色々話し合わねばならんなぁ。
などと爺ちゃんとローズの会話を聞きながら思っていた。
「ドタドタドタドタ!!」
と、けたたましい足音が聞こえたと思ったら、
「バタン!!」
と、リビングのドアが開いた。
「アベル!!来ているの!?このチラシいったい何!!!」
ロッティーである。
「姉さん、淑女が何ですか。みっともないですよ。」
俺は姉の素行を窘めた。
「そんなことどうでもいいわ!布告よ!アベル!布告なのよ!決まったってことでしょう!?あっ!?お爺様、ただいま戻りました。」
一瞬にしてロッティーは淑女に戻り、爺ちゃんにカーテシーをするのだった。
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本作は長編となっています。
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