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悲劇話は結構

薬物がかなり浸透して警察がまいっていると零から聞いたフエ。

それに不満を持つフエだが、零は──





 私達可哀想だから何してもいい?

 そんな都合のいい話──

 あるわけ無いでしょう、馬鹿じゃない





「薬物がかなり浸透して警察が困っているようだ」

「で、依頼された訳?」


 フエが不満そうに言う。


「本来なら私がやる仕事じゃないんだが、あまりにも酷くてな」


 零は苦笑して言った。


「仕方ないなー零さんは、手伝って上げるから夕飯一緒に食べてよね」

「それくらいなら」


 零が了承すると、フエは姿を消した。





「まさか病院が出所とはな」


 立派な病院をの裏口に立つ零にフエが言う。


「えー前回ヤクザが異形化する薬作ってたのも同じような病院だったよー」

「……なるほど」


 フエが扉を開けてじっと見つめる。


「何がある?」

「赤線だね、触ると警報がなる、だから──」


 ボン、ボン、ボン

 と音がした。


「これで良し、進むよ」

「ああ」


 そう言って零はフエの後をついて行った。





 しばらく歩き、ある鍵のかかった部屋の前に立つと、フエは鍵を破壊し、扉を開ける。

「……」

「間違いない、売りさばかれている薬物だ」

「ビンゴ、だね」


「おや、見つかってしまったね」


「……」

「何が見つかってしまったねだよ、おっさん」


 フエが指を立ててブーイングする。


「フエ落ち着け」

「都市中を薬漬けにしようとたくらんで何考えてるのさ、馬鹿なの」

「人々は弱く哀れだ、自分達で苦しみを抱えながらもそれに耐えきれずにいる」

「それは貴様の勝手な見方だ」


 零は言い返す。


「人は弱いのは認める、哀れなのは認めない。彼らは皆必死に毎日を生きている」

「零さん言っても無駄だよ、こいつ異形化の薬物作った奴の兄弟だもん」

「なんだと?」

「と言うことは、貴様が兄さんを殺したのか?」

「さぁ、どうでしょう。異形化した奴と異形は毎日殺してるからフエわかんなーい」

「せっかく人々に救いをもたらせたのに……‼」

「だからー」


「それはお前の自己中心的な考えだよ」


 現れた看護師達と共に医師が薬物を使い異形化する。


「零さん、連絡をお願い、こいつらは私がどうにかする」

「分かった」


 零はその場から立ち去った。

 看護師達が後を追おうとするが壁が阻む。


「自分達が可哀想な目にあったからって、他人にそれを押しつけんじゃないよ」

「……!」


 そのことを指摘され、わずかに狼狽する医師達。


「ま、どうでもいいけどね、お涙頂戴話は飽き飽きしてんの」


 フエがそう言うと医師や看護師達は切り裂かれた。





「フエ連絡を終えたぞ」

「OK、こっちも異形化ストップさせて人間のままで何名か生かしてるから」

「出て来たら、私達はまた、同じ事、を」

「したら殺すから安心して零さん」

「分かった」


 フエは立ち去ろうとした時そうそうと言って振り返った。


「あんたらのお涙頂戴話は飽き飽きだし、腹の足しにもならなかったよ、悲劇ならもっと異形的な悲劇をおだしして頂戴よ。じゃないと、可哀想とも思えない」


 フエはそう言ってその場から姿を消した。


 後ほど、その病院には捜索が入り、生存者は治療をされてからそのまま堀の向こうへといったそうだ。





「フエ、お涙頂戴話とは一体?」

「あ? 過労の果てに逆恨みで自滅、担当した子どもが虐待され死亡、とかそういうの」

「そうか……」

「お涙頂戴でしょう」

「そうかもしれんな」


 零はフエと食事をしながら、息を吐き出した。







ずいぶん前に異形化の薬を作った話のもう一つの話です。

フエが結構酷いですが、人間の可哀想な話なんて彼女には飽き飽きなのです。

異形に巻き込まれて可哀想ならともかく。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

そして、次回、最終話です、お楽しみに。

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