語り合う~フエと零~
零はフエにあることを問いかけた。
それは自分は死んだらどこへ行くのかというもので──
「私は死んだら、何処へ行くのだろうか?」
雨降りの日。
零は探偵事務所の二階で、フエに問いかける。
「何処にも行かないよ、またこの世に生まれるんだよ」
「永劫にこの世界という鎖に縛られるのか……今までの『花嫁』達はそれを知っているのか?」
「知らないよ、だから絶望して死んでいく」
「無駄死にという事か……」
「何、零さん死にたいの?」
フエが眉をひそめる。
「いや、死ぬ気はないさ。異形から人々を守り続ける、それ以外私のすることはない」
「あー良かった」
零の返答に、フエは心底安心した表情を浮かべる。
「死にたいとか言い出したら私達止められないからね」
「とめてくれ」
「うー……でも『花嫁』さんの意思は尊重したいし」
「異形性の発露の時は意思尊重もクソもないだろう」
「最もでございます」
零の言葉に、フエはしょぼくれる。
すると零は吹き出した。
「なぁに、零さん?」
「いや、フエもそんなしょぼくれた顔ができるんだなと」
「失礼だなぁもう」
フエはむくれた。
「悪い悪い」
「美味しいホットケーキ出してくれるまでふてくされてやる」
「──だったら、今すぐ機嫌を直せ」
と、慎次が現れホットケーキを皿にのせて出す。
「むぅ」
「ほれ、お前のだ」
「ありがとう」
零の分も用意してたらしく、零はホットケーキにメープルシロップをかけた。
「美味い」
「うまうま」
「ところで柊はいいのか?」
慎次がフエに尋ねるとフエはふふんと鼻を鳴らして、フォークをくるりと回す。
「今後の異形関係の事とかで話合いに行ってくるってきたもんねー、それにさっきまで話合ってたから嘘じゃ無いしー」
「じゃあ、帰れよ」
「『花嫁』さんからの質問には答えるのが義務でしょう? 一番詳しいのは私だし」
「ちっ」
慎次は舌打ちをした。
それは事実だった。
創造維持の邪神の子であり、創造維持の邪神そのものになったフエの「分身」は様々なことに詳しかったのだ。
本体は深い眠りの中にいるが。
「ホットケーキ食べて機嫌直ったし帰るね、じゃあ零さん、また」
「ああ、また」
フエはそう言って居なくなった。
「全く厄介な奴だ」
「だが、彼女がいるから私は人々を異形から守れる」
「……まぁ、そうだな」
慎次はそう言って、零の肩を叩いた。
「ん、慎次どうした」
「あんまり一人で抱え混みすぎるなよ」
「……肝に銘じておくよ」
零は苦笑した。
その笑みは、どこか儚げだった──
「花嫁」は世界が終わるまでこの世に縛り付けられ続ける。
そしてそれに絶望して唯一の救いのように自殺する。
けれども、零はそれを決してしません、世界が終わるまで、異形と戦い続ける為に。
ここまで読んでくださり有り難うございました。
次回も読んでくださると嬉しいです。




