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甘く苦く

チョコレートの山を見ながら零は遠い目をしていた。

そして、そこにフエが現れ──





「……」


 零はチョコレートの山を眺めながら遠い目をしていた。


「零さーん! うわどったのそのチョコレートの山」


 フエがチョコレートを手に現れ、凄い顔をする。


「事務所の職員から貰ったのと、今までの依頼人で交流がまだある人と、それと異形の子等から貰ったものだ」

「すごい量だねぇ」

「まぁ、珈琲飲みながら一日少しずつ食えばいけるだろう」


 零は少しげんなりしつつ答えた。


「んーじゃあ、私のも追加で」

「また増えた」

「一個だしいいじゃんいいじゃん」

「まぁな、量も其処までじゃないようだし」


「ほれ、零珈琲だぞ」


 慎次が珈琲を入れてきた。


「苦さは控えめだからミルク入れて飲め」

「そうする」

「あーそういや、零さん珈琲苦手だもんね」

「こればっかりはな」


 零は珈琲にミルクを入れて、チョコレートをかじりながら飲み始めた。


「甘く、苦いな」

「そういうもんでしょう?」

「そうだな」


「じゃ、私帰るからんじゃねー」

「ああ」


 フエが居なくなるとゆっくりと零はチョコレートを食べ始めた。





「柊さん、おーはよ!」

「……お早う」


 眠っていた柊を起こし、フエは満面の笑みを浮かべる。


「今日はチョコレートをあげる日です、柊さんの母国では」

「ああ、そんな時期か……」

「だから」


 フエは綺麗な包みに入ったチョコレートを見せる。


「はい、私特性のチョコ! カカオから作った特注品!」

「カカオ……というと」

「マヨイから貰いました」

「ああ、あの子からか」


 柊はふにゃりと笑った。





 フエと自分の仲を裂くことなく、それでいて応援するような立場のマヨイには好意を持っていたのだ、珍しく。

 幼子に相当する子等には柊は悪い気持ちを持たなかった、嫌悪など。

 自分とフエを応援してくれる可愛らしい子等として見ているだけだった。





「じゃあ、戴こうか」

「はいどうぞ」


 そう言ってフエはホットミルクと共に柊がチョコを食べるのを見つめた。


「甘く、優しいな。それでいてほろ苦い」

「まずまずの出来かなー?」


 フエはそう言ってにんまりと笑った──







これはちょうどバレンタインの時期に書いたお話です。

チョコレートをたくさん貰って居るでしょう零は。

また、フエは番いの柊にもチョコを渡しているでしょう。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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