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親友ポジションに憧れる俺は彼女達に狙われている  作者: 瑞柿けろ
第三章 体育祭&杏理編

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第78話 昼ご飯は命をかけて 前編




 皆で昼飯を食べる為、とりあえず備え付けの椅子に座ってまずは銀ちゃんの話をすることにした。


「コイツは銀ちゃん、今日転校してウチのクラスに来た中学の頃からの友達だ」

「杉田銀十郎ですぞ。よろしくお願いしますぞ」


 銀ちゃんが挨拶をしたが、何故か皆反応が悪い。けれどそんな状況でも天が早速話しかけてくれた。さすが腐っても生徒会長だ。


「話は聞いている。私は東鐘天だよろしく」

「よろしくですぞ東鐘殿、拙者のことは好きなように呼んでくれて構いませんですぞ」


 殿? 拙者? と不思議そうにしているが、仕方ない銀ちゃんは昔からこうなのである。でもこれも個性として俺的に気に入っているのだ。

 ただでさえ無駄にイケボなのもあり、声を聞いたことで心と真白以外の者が驚いている。


「う、うんそうだね。じゃあ杉田君と呼ばせてもらうよ」

「銀ちゃんこの天は生徒会長と剣道の部長やって、しかも頭も良いんだぞ」

「なんと生徒会長!! 透殿凄いですぞそんな方と交流があるとは!!」

「え、お、おうそうだな」


 あ、そうか普通に聞いたら天って凄いのか、なんか最近は雑な扱いになってるから忘れてたけどこの人凄い人だったわ。


「なんか普通に忘れてましたね。この豚に憧れてる人いっぱいいるんですよね」

「お、景ちゃんも思ってた? 奇遇だな俺も思ってたわ」

「やっぱり私達以心伝心ですね♡」


 そういうこと言うと皆(主に心)の目にハイライトが無くなるから止めようね? 俺の命に関わるからね?

 すると景ちゃんは突然俺の腕に抱きついてきた。


「私と先輩はラブラブですもんねー♡ もっと私達のラブラブ加減見せびらかせちゃいましょ♡」


 あの景ちゃん? これ当たってるんだけど?


「んー? 当ててんのよってやつですよ♡」


 いやそうじゃなくてね? ……いやこれを言ったら多分殺されるだろうから止めよう。ここは景ちゃんの機嫌を悪くしないように気の利いた台詞を言おう。よし、


「ごめん景ちゃん。胸じゃなくて肋骨が腕に当たって痛い」


 あ、いけない死んだ。

 僅かにだが思ってしまった。普通より控えめな景ちゃんの胸だが、かなり力強く抱きつかれると”胸”よりも”骨”を強く感じてしまうことを……

 それが少しでも頭によぎったせいで呪いの餌食になったのだ。


 結果____景ちゃんの拳が俺の顔に当たるギリギリの距離に出現した。


「……へ?」


 出現と言うのは少し変に思うかもしれないが、体感した人からしたらその言葉が一番正解に近いのだ。いつの間にやらそこに拳があった。

 あまりにもやば過ぎで恐ろしく人間の認識できる速度を軽く超えている。景ちゃんの拳が顔の前にあると認識して少ししてから風圧で髪が靡いたのだから……さすが景ちゃんマジパネェっす。


 そして呪い、お前は許さない。


「先輩?」

「は、はい」

「次はないですよ」

「……分かりました」


 今の発言がかなり景ちゃんを怒らせてしまったようで、皆も俺達の様子をただ見守っていたようだ。あの心ですら何も言わないで見ていたし……、


「え、えーとじゃあ自己紹介は後にしてまずはお昼食べようよとー君! 早くしないとお昼終わっちゃうよ? ほらほら皆も!」

「それもそうですぞ。拙者もお腹が空きましたぞ」


 気を利かせてくれた真白が話題を変え、皆が昼飯の用意を始める。


「はーい先輩久しぶりに私のお弁当ですよ! 食べてください!」

「お、ありがとう」


 景ちゃんから受け取ったお弁当はとても美味しそうな色合いをしていた。

 唐揚げにタコさんウィンナー、アスパラのベーコン巻きやトマト、それに砂糖漬けにされたグレープフルーツと、なんだかもう男子が好きな物が詰まった無茶苦茶おいしそうなお弁当である。……だが、


「景ちゃんさすがに多くないか? 俺別に運動部じゃないんだけど?」


 そう、明らかに量が多いのだ。なんせお弁当がおかずオンリーの段と米オンリーの段で分けてあるし……、いくら食べ盛り男子高校生でも限度があるぞ。


「景ちゃんのは小さいお弁当があるな……え? これを俺一人で食べろってことかな?」

「先輩とお昼食べるのが嬉しくて……最近あまり構ってもらえなかったですし……」

「ぐ……」


 なるほど、その言葉を言われると何も言い返せない。いやでもそれにしても多いぞ……。


「……雨上」

「ん? ああ杏理も作ってきてくれたんだよな?」

「……別に食べたくないなら無理して食べなくて良いけど……」

「いやせっかく杏理が作ってくれたしな、それにこれも料理の練習の為だろ? 手伝わせてくれよ」

「……ふ、ふん! じゃあ食べさせてあげるわよ! ありがたく食べなさいよね!! ……感想とか聞かせなさいよ」


 了解、と伝えると杏理がお弁当を取り出し、可愛らしい花柄の蓋を開けた。眼前に広がる茶色の物体達、これは……、


「いなり寿司?」


 弁当箱いっぱいに敷き詰められたいなり寿司の山は他人が見たらシュールかもしれないが、俺からしたら好物だけが入っていて大変魅力的なお弁当だった。


「た、偶々よ! 偶々作り過ぎちゃっただけよ!? 別にアンタのためじゃないんだからね!」


 偶々朝からいなり寿司を作り過ぎる状況ってどういう状況なのだろうか? まあでも、


「いや分かってるって練習だもんな。でも嬉しいよ杏理のいなり寿司美味しいからさ」

「そ、そう……味わって食べなさいよね」


 おうもちろん、と言ってみたがマジか、ただでさえ景ちゃんの弁当だけでかなりの量なのに食べれるかこんなに?

 でも先程の泣いていた杏理より、やはり今の笑顔の方が良いな。


「ふむ、これが本物のツンデレ……勉強になりますぞ」


 メモ帳に何かを書き始める銀ちゃんは早速ネタを見つけたようだ。ここに誘えば色々とゲーム開発の参考になるだろうと呼んだが、連れて来て良かった。


 ……それはさておき、


「これを一人で食べるのか……」


 目の前には置かれた二つのお弁当、両サイドには笑顔の景ちゃんと杏理、あ、駄目だ。これは逃げれないやつだ。仕方ない食べるとしよう。

 

 意を決し、昼ご飯を食べようとした時、


「あ、透待って!」


 突然に心から止められ行動を妨げられた。そして____


「僕もお弁当作って来たから食べて欲しいなぁ♡」

「お前マジか」



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