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親友ポジションに憧れる俺は彼女達に狙われている  作者: 瑞柿けろ
第三章 体育祭&杏理編

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第79話 昼ご飯は命をかけて 中編




「今日はね、透の好きな物作って来たんだよ?」

「へ、へーそうなのか。嬉しいな」


 何を持って来たのだろうコイツは……、というかただでさえ既に昼飯が小学生の運動会弁当並に山盛りだというのに、お前さてはこの期に及んでまたいなり寿司とか言わないよな? もしそうなら楽しい昼休みが拷問の時間に早替わりだ。主に俺だけ。


 だがどうやら心の反応的に違うらしい。


「ふふふ……透もしかして僕もいなり寿司作ったとか思ってない?」

「っ!? その反応まさか!!」

「その通り! 透の好物をいっぱい知ってる僕だよ? 死角はないよね」


 さすが親友だ。こういう時だけは頼りになる。やっぱり内面も外見もイケメンな主人公体質は違うな。


「じゃーん見てこれ!!」


 見せびらかす様にテーブルの中心に置かれたお弁当の蓋を空に掲げ開け放ち、


『ん?』


 その結果、この場にいる皆の心を一つにした。


「え、えーとこれは……」


 珍しく心のことが大好きな真白も困惑している。俺は一応心に聞いてみることにした。


「……心さんや?」

「なにかな透さんや♡」

「いやあのさ……これってもしかして」

「うん♡ マグロの刺身♡」

「お前馬鹿じゃねぇの!!?」

「しかも透の好きな赤身だよ♡」


 いやそういう意味じゃなくて!! なに学校の昼飯にナマモノ持って来てんだよ! お前頭おかしいのか!!

 あ、こいつ普段からおかしいじゃん……。


「大丈夫だよ透! この刺身が入った弁当箱触ってみて!」

「あ? ____って冷た!!」

「ふふふ!」


 見てよこれ、と心は保冷バッグから大量の保冷剤を取り出して見せびらかしてきた。


「ちゃんと対策は万全! 鮮度は抜群だよ!」

「あ、なら大丈夫か」

「とー君それで良いの!?」

「先輩しっかりしてください! この男女頭おかしいですよ!?」

「心君……さすがの私も学校にナマモノはどうかと思うよ……」

「いくらなんでもありえねぇだろ……」

「なるほど雨上はマグロの赤身が好きなのね、良いこと聞いたわ」

「儂も食べて良いかの?」


 皆が様々な反応をしているが、銀ちゃんだけ昼飯に目もくれずにメモ帳に凄い速度で文字を書いている。どうやらネタが湧き出ているのだろう。

 それにしても皆うるさいぞ。心が変なのは今更だからな? コイツは昔から変なとこあるのだ。

 実家の俺の部屋に立派な本棚があるのだが、それは俺が昔軽い気持ちで「誕生日に本棚欲しいな」と言った結果、心がまだ男の頃に木から厳選して一から手作りしたやつなのだ。

 まさかのプレゼントを手作り(日曜大工レベル超え)をしてくるとは思わなかったわ。そう考えるとかなり前から心の愛は重いのである。


 よし、とりあえず一口頂くとしよう。


「あ、美味しい」

「でしょ! 良いマグロだったから絶対に透に食べて欲しかったの!」

「うんそれは良いんだけどね、一言マジで言っていいか? お前ら事前じゃなくて当日に昼飯の誘いしてきたけど俺が断ったらどうするつもりだったんだよ?」


 割とマジでそれ気になるんだけど?

 

「透ーそれ儂も食べたいのじゃー」

「良いよ姫ちゃん」


 はいあーん、と箸で取ったマグロを姫の口へと運ぶ。


「んー♡ 美味しいのじゃ! この魚美味過ぎじゃろ!」

「まだ家にあるからこれ丼にしてあげるからねー」

「やったのじゃ! 透帰ったら米を炊くのじゃ! 大至急なのじゃ!!」

「お前今昼飯食べてるのにもう夜飯の話かよ。どんだけ食い意地張ってんだ」


 あれでも待ってそれだと心が家にくる流れじゃん……ハッ!? やりやがったな心!! さては俺からじゃなくて外堀から埋める気だな!? やっぱり策士だよお前は!!


 なんてことを考えていると、


「すまないご主人様……私達の昼食は母様がいつも用意してくれているから持ってきてないんだ……すまない」

「いや天、気にしないで良いからね? 逆にこれ以上持ってこられたらヤバいから」

「ごめんな透……私も本当は作りてぇんだけど……」

「気にすんなよ乱華、乱華にはデートでお弁当食べさせてもらっただろ。あれは本当美味しかった。ありがとな気にかけてくれて」

「透……大好き♡」


 申し訳なさそうにしてる東鐘姉妹だったが、乱華が目をハートにして嬉しそうにしている。

 おいおい落ち着け? 迂闊に好きとか言うなよ? 危ないからね?


 主に俺の命的な意味で。


「じ、じゃあそろそろ食べようか」

「え」

「えーと何から食べようかなー」

「ちょっと」


 んー! いっぱいあって迷っちゃうなぁー!


「とー君なんで無視するの!! 私もお弁当出してるのに!」

「チッ……」


 最悪だ、一番ヤバイ奴が残ってしまった。

 プンプン、と分かりやすく怒っている真白を宥めてから聞いてみる。


「あ、そ、そうなのか……悪いなただ自分が食べるお弁当を出してるだけだと思ってな……」

「私はいつもパン派だよ!! このお弁当はとー君の為に作ってきたの!!」

「嘘やん……」


 ゆっくりと真白は俺の為に作ったと言うお弁当の蓋に手をかけた。

 どうして俺がここまで動揺しているのか……それは、


「じゃーん! はい食べてとー君!」

「これは?」

「ハンバーグだよ!」

「これが?」


 お弁当箱の真ん中にヒッソリと置かれた黒くてボロボロな塊。もはやただの炭である。

 そう、真白は料理が下手くそなのだ。それも壊滅的に……


「これはあれだろ……タイトルは”可哀想なハンバーグ”だろ……」


 これ食うとか正気か?



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