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親友ポジションに憧れる俺は彼女達に狙われている  作者: 瑞柿けろ
第二章 デート&乱華編

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第66話 首のロープはファッションだ




『どうかしましたか透殿? ささ! 攻略をしてみましょうぞ!』

「いやいや無理無理無理!? だってこの方年収って書いてあるもん! どこの馬鹿がギャルゲーのプロフィール欄に年齢と希望年齢書くよ!? この人明らかに人生の墓場までのパートナー探しに来てんじゃねぇか!」

『エンディングでヒロインと結婚していて子供もいるCG見られたらギャルゲー好きとしては最高ですぞ?』


 いや言いたい事は分かるぞ? でもなぁ、


「それはあくまで見るのが好きであって自分がそうなるのは嫌なんだよ! てか知ってるだろ銀ちゃん俺はそもそも主人公を支える親友ポジションが良いんだ!」

『ムフフ、透殿は本当に変わってますな。でもせっかく拙者が丹精込めて我が子のように大切に作ったゲーム……プレイしてもらえると嬉しいのですぞ……』


 う、通話越しに銀ちゃんの悲しそうな声が聞こえる。ここで辞めるのは可哀想か……、


「分かったやるよ」

『よしではまずはお話しをするですぞ! やはり女子と仲良くなるには楽しい会話が大事! それでいっぱい好感度を上げますぞ!』

「……因みにそのお話ってどうすんだ? チャットでもするのか?」

『いや相手と通話状態になって直接お話しするのですぞ』


 ……

 …………

 ………………


 え、待って? お前もしかして、ただでさえあまりやりたくない俺に好感度の上がるような面白い話をして、顔も何も知らない女の人を喜ばせろ。そう言ってんのか?


『そうですぞ』

「頭でぇじょうぶかオメェ!?」


 カタギの発想じゃねぇよ! 狂人の思考回路だよ!!


「じゃあ銀ちゃんには出来んのかよそれ!! 人生における最高難易度だぞ!!?」

『あ、拙者は二次元以外興味がないので』

「ぶっ飛ばすぞお前さぁ!?」

 

 駄目だコイツは既に人の皮を被った化け物になってやがる……。これがゲームを”作る”ってことか、新しい何かを作るってのは正気じゃいられないのだろう。

 確かに先人達は何も無いところから便利な道具を作った。そんなの頭のネジが数本飛んでないと出来ないことだ。とんでもない発明は変態じゃなければ生み出せない。

 ……いやにしてもね?


「人の所業じゃねぇな……」

『それでは流石に攻略を聞くのはマナー違反、拙者は一旦失礼しますぞ! 終わったらまた通話してくだされ』

「攻略って言うのやめてくんない?」


 ____ってもう通話から抜けてるし、よしいつか一発殴る。(決意)


 気は進まないが始めるか、と画面の”攻略開始♡”などと不機嫌を加速させる文字を押す。

 そしてマイクが繋がった瞬間、俺は言い放った。


「初めまして! お姉さん綺麗だなってつい話しかけちゃいました☆ 今暇してたらお話ししたいなーって思っちゃったりして? なーんて☆ アハ☆」


 我ながら死にたい、もう瞬時に考えることができたのはこれで限界だった。俺は今まで人とどうやって話していたのだろうか……もう何も思い出せない……。


 しばらくの沈黙の末、グレープ侍さんの第一声がヘッドホンから俺の脳内に響き渡った。


『うわ……キッツ……』




 彼女のはじめて放った一言が俺の首をロープへと駆り立てたのだ。


「……もう駄目だ死のう」

「ぬ? おぉぉぉ!? お主何をしておるのじゃ死ぬ気かぁぁぁ!!?」

「離してくれ露音姫様!! もう生きていける気がしないんだ!!」


 悲報、俺のメンタルが砕け散った。







「さっきはすいません取り乱して」

『え、いや私は大丈夫だけれど……ごめんね? なんか』

「ん? 何がですか?」

『さっき結構取り乱してたじゃない? 悪かったなって思ったわけよ』

「え? 何がですか?」

『えぇ……』


 グレープ侍さんの困惑した声が聞こえるが無視だ無視、嫌な思い出は一瞬で忘れるにかぎるのだ。


「……透? あの、そのなんじゃ……首にぶら下がっておるロープは取らんで良いのか?」

「これか? ファッションだファッション」

「ふぁっしょん? なんじゃ今時の若者は面妖な格好をしたいのじゃな」


 面妖ってアンタ……ま、いいか。


「えーと、グレープ侍さん」

『あー良いよそういうの、話しずらいんでしょそれ、普通に話しなって』

「んじゃお言葉に甘えて」

『よろしくね、トオル』

「え」


 突然聞こえて来た言葉に俺の中で時が止まり、様々な思考が一気に頭の中を巡った。

 なんで俺の名前を知っている? 後ろで喋っていた姫の声が聞こえたのか? いやミュートにして音を聞こえなくしたはずなのに何故?


 色々考えたがとりあえずシンプルに聞いてみることにした。


「……なんで知っているんだ?」

『なんでってどういう意味よ?』

「いや名前」

『はぁ? トオル何言ってんのよ。自分で登録したんでしょ? プロフィールに書いてあるわよ?』

「……へ?」


 グレープ侍から言われた情報に驚き、ゲーム画面内の設定などを探してみる。すると”プロフィール”と書かれた項目を見つけ内容を確認する。そこには、




キャラ名『トオル』

 ・年齢 二十歳未満

 ・趣味 ギャルゲープレイ

 ・職業 学生

 ・皆に一言 友達募集




「殺す」

「と、透どうしたのじゃ!? 何をそんなに怒っておるのじゃ!?」


 あの野郎……銀ちゃんはもはや人の形をした別の生物に違いない。サイ●パスの方がまだ人間らしいわ。

 にしたってヤバ過ぎだろ。どこの馬鹿がオンラインゲームで本名を登録するんだよ……。てかギャルゲーを自分の名前でやるとかなかなかキチってるぞおい。


 これはもう一発殴るどころかヘッドロックのサービスもプラスしないと割に合わないわ。


『大丈夫トオル? なんかあったの?』


 俺の数々の反応を見て心配してくれるグレープ侍、何だこの人優しいな、ここ最近の数少ない良心だ。

 ついコロっと落ちてしまいそうだわ。


「ちょっと友人を殺したくなってしまっただけだ。気にしないでくれ」

『あ、そう? 程々にしなさいよね?』

「いや軽いなおい」


 なんか話し方的に少し怖そうなお姉さんな感じがしたけれど、意外と手慣れているな。


『まあこれでも教____し、仕事柄ね』

「ほぇなるほど」


 良い人もいたもんだ。冗談抜きで変な人に当たらなくて良かった。いや割とマジでな?


 とりあえず銀ちゃん覚えてろよマジで、次に会った時____それがお前の命日だ。




        ~おまけ~




『トオル意外と面白いわね。友達申請して良いかしら? また話しましょ』


 ということでグレープ侍と少し仲良くなった。



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