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親友ポジションに憧れる俺は彼女達に狙われている  作者: 瑞柿けろ
第二章 デート&乱華編

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第61話 修羅場突入!? 強者たちの争い 前編




 現在、俺は最大の窮地に立っていた。


 例えるなら、断崖絶壁で船越●一郎に追い詰められた犯人の様な、蛇に睨まれた蛙の様な、とにかく今までにないほどに恐ろしい状況なのだ。

 気がつけば、滝のように流れていた冷や汗は止まり、フードコートという本来賑やかな場所は俺達のテーブルの所だけ誰も寄せ付けない孤島となっている。

 無言の睨み合いがいつまでも続くと思われていた所で、ようやく乱華が静寂を壊した。


「……お二人どういうつもりですか? 透さんは私の彼氏ですけど何故デートしてるんですか?」


 その乱華の疑問に心と景ちゃんは、


「別に、僕は親友として一緒に出掛けてただけだよ。ソイツは知らないけど」

「私も後輩として先輩と一緒に遊んでただけですよ。コイツは知りませんけど」


 お互いに指を差して両者になすりつけ答える二人。

 なるほどどうやら二人はどこまでも互いを蹴落とすことを止める気はないようだ。怖いな女の争いって。

 ただ二人の答えが気に入らない乱華は眉間に皺を寄せて言い返す。


「それがデートだって言っているんですよ。なに人様の彼氏と勝手に遊んでんだって、分かりますか言ってること? お二人に分かりやすく言ってるつもりなんですけど? 分かりませんか?」

「「はぁ?」」


 や、ヤバいぞ! 明らかに乱華様が二人を煽ってる!! 辞めて!! もう俺のために争わないでっ!!(悪ノリ)


「透さんもなんで一緒に出掛けてるんですか? お二人だけを責めてる訳じゃないですからね?」

「あ、すいません……」


 怖い……猫被っていても怖いです。その表情に隠れて本性の方ではどれだけ怒っているのか、考えただけで恐ろしい。


「のうのう透お兄ちゃん! 儂“くれぇぷ”が食べたいのじゃ!」


 俺の不安を他所にこの神様は……仕方ない後で買ってやろう。

 

「ねぇ私も聞いていいかな?」


 しばらく黙っていた真白は沈黙を破り話し始めた。


「そもそもだけど二人って本当に付き合ってるわけじゃないんだよね? ストーカー対策で付き合ったフリしてるって聞いたんだけど?」

「はぁ?」


 あー真白さん辞めて!? つーかお前と景ちゃんにはチョーカー型爆弾(これ)の話しているだろ!? なんで今その話を乱華に言っちゃうんだよ!!


「それは私も聞いたよ? どうなんだい乱華、フリじゃなかったのかい?」


 真白の言葉に天が飛びつくが、もうヤバい本当にこれはヤバいやつだ。洒落にならないやつだこれ。

 どういうことだよおい、と乱華から言葉になっていない鋭い眼光を身体に穴が開きそうなくらい浴びせられている。


「姫どうしよう俺吐きそうだわ」

「大丈夫か透お兄ちゃん? もういっそのこと罪を認めて全部ゲロっちまうのじゃ」

「……もうクレープ買ってやんね」

「ぐぬぬ! おのれ姑息な手を使いおってぇ!! これはお主の女難の所為なだけで儂の呪いではあらぬにぃぃ!」

「血の涙流す程怒るってお前どんだけだよ」

「まぁ、と言ったが儂の呪いも少し干渉しとるじゃろうがの」

「お前のせいじゃねぇか阿呆」


 こうなったらクレープは買うけどオカズクレープ限定にしてやる。とくと苦しめ。

 でも買ってあげる俺は優しいな、感謝しろ姫。

 ちょっとメンタルを持ち直し姫に反撃してやろうと計画したところで乱華がとんでもない発言をした。


「なに言ってるんですか私と透さんは本当にお付き合いをしてますよ。私が好きになって告白してストーカーに関しては二人で乗り越えなきゃいけない壁ってだけです。なんですかフリって」


「「「「はぁ??」」」」


 あ、終わった。


「おいおいおい死んだのじゃ」


 いや本当に死んだわ俺。


「ねぇどういうことなの透付き合ってるフリって言ってたよね? え? 僕に嘘ついてたの?」

「いやいや心さん、そういうわけじゃないんだけどな?」

「とー君どういう事かな?」

「あー真白さん、えーとそれはあの……」

「ご主人様私に嘘をついたという事かな?」

「いや天その呼び方は止め____すいませんなんでもないです」

「雨上? 私が知ってる事と状況が違うんだけどなにこれ」

「ちょ……ちょっと待ってくれ杏理。本当に一旦待ってくれ」


 もうカオス過ぎるだろこれ、どうすれば良いのだろう。もう収拾つかないだろ。

 虚空でも見つめる様に遠くの壁を追い詰められながら眺めていると、


「もう皆さんなに言ってるんですか」

「景ちゃん?」


 落ち着いてください、と宥めてくれる景ちゃんを皆は怪訝そうな表情で睨みつける。

 そして景ちゃんは恐ろしい発言をした。


「私が正妻なんですけど、皆さん何勝手に盛り上がってるんですか?」

「「「「「はぁ? なんつった今」」」」」

「あははは! 傑作! 傑作なのじゃ!」


 なにわろてんねん!! ねぇ辞めてもらっていいですか? これ以上もう話を難解にしないでくれ頼むから……!!


「ねぇ先輩そうですよね?」

「あのすいません。俺に同意を求めないでもらって良いですか? それと正妻はおかしいっすはい」

「え、なんですか? もう一回言ってください」

「いやだから正妻はちょっと変じゃないかなって……」

「ん?」


 首を傾げ笑顔を向けてくれているが細めている目が笑ってない。これ以上は逆らっちゃいけない雰囲気だ。

 再び睨み合っていた皆の視線が一斉に景ちゃんを射抜く。恐ろしく気まずい雰囲気の中、最後に俺の方を向き、チョーカーに触れながら、そういえば気になってたんだけど、と杏理が疑問を口にした。


「……雨上、アンタなんで爆弾なんて首に着けてんの? 趣味なわけ?」

「え」


 突然の言葉に皆の視線が今度は俺へと向けられる。


「あーあ儂知らないのじゃぁー」




 さらなるゴングが響き渡った気がした。




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