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親友ポジションに憧れる俺は彼女達に狙われている  作者: 瑞柿けろ
第二章 デート&乱華編

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第59話 胸なさ過ぎて肋骨なのか壁なのか疑うレベル




 さてどうするか、非常に困ったことになった。相変わらず俺の腕に抱き着く心はまるで甘えている犬猫のようだ。正直可愛らしいのだが、


「ねぇねぇ透何処行くぅー?」

「ゲーム買いに行くけど?」

「ねぇねぇ透何処行くぅー?」

「え、だからゲーム」

「ねぇねぇ透何処行くぅー?」

「……」


 どうしよう話が進まないし、心の台詞が変わらない。進行バグか? 

 いや違うこれは……、


「ほらあのお店とか良いんじゃない? 透に僕の着る物選んで欲しいなぁー?」


 なるほどこれは俺に選択権無いやつだ。ゲームでいうところの”はい”を選ばないと永遠に同じ台詞言われるやつか。なら従った方が後が楽だな。

 考えた末に心に従うことに決めお店の方に目を向けると、そのお店は他とは違い光っていた。

 照明がとか部分的にではなく、店全体が白を基調としてそこから光が反射されることでより際立っている。

 さらには売られている商品がピンクや赤、それに水色と遠目から見てもカラフルな色合いで広がっていて……てか、


「心?」

「んー? どうしたのぉ?」

「流石に下着選ぶのだけは勘弁してくれないでしょうか? あの空間に男が入るのは拷問に匹敵するから」


 そう下着、心が指差す場所はランジェリーショップと言う男が入るにはハードルの高過ぎる所であった。

 ショーウィンドウに飾られた様々な装飾や鮮やかな色彩のそれらは男子高校生という生き物からしたらつい目線を逸らしてしまう。たとえで言うのなら”直視出来ない呪物”そんな感じすらある。だから俺は改めて言うのだ。


「すいません本当にそれだけは許してください。他のことはなんでもするからそれだけは」

「えぇーせっかく透に私に似合うの選んで欲しかったのにぃー」

「そんなの買わなくても普段の君が素敵だよ。可愛いね心」(イケボ)

「きゅん♡」


 フッ……さすがチョロイン。


「嬉しいな透にそんなこと言ってもらえて、なんかあれだね。透の本音が聞けたみたいで嬉しいな」

「本音?」

「うん。透って昔からあまり自分の感情っていうのかな? なんか押し留めてる感じがあったからさ、嬉しいなって」

「……」


 結構言ってるけどね、本音。

 別に本当のことを言ったわけじゃないけれど、そうか本音……本音かぁ……


「じゃあ本音で言って良いか?」


 うん、と応える心に、


「抱きついてくれるのは別に嫌ではないんだけどさ、心って貧乳程じゃないけど胸無いだろ? だから胸っていうか肋骨が当たって痛い。てか胸なさ過ぎて肋骨なのか壁なのか疑うレベル。貧乳キャラは乱華で足りてんだよ」 

「は? 殺したい」


 え、本音で話したのに酷くない?

 今までで最も恐ろしく、怒っているのかも分かりずらい無表情には、瞬きもせずに大きく開かれたハイライトの無い真っ黒な瞳がさらに恐怖を刺激する。

 てか激おこかよ。


「なんか言うことあるんじゃねぇのかよ」

「心口調が口調が」

「いいから早くしろ」

「え……えっと、本音言ってごめんなさい……」

「……」


 抱きつかれた腕にさらに力が加わる。

 ちょっと心さん謝ったんだけど!? 腕見て腕! チアノーゼみたいになってるから!!

 

 謝罪も虚しく心の怒りは収まらない。


「透? 分かってないから教えるけどさ『本音言ってごめんなさい』って、その謝り方じゃ本心だったの丸分かりだから」


 あ、そうじゃん。

 でも待ってくれ心一つ言わせてくれ!


「なに」

「……世の中には”貧乳はステータスだ。希少価値だ”っていう言葉がありまし____ぐふっ」


 容赦ない腹パンが俺を襲った。


「大きければ大きい程夢と希望が詰まってるから俺は大きい方が好____ぐほっ」


 二発目がボディに決まる。

 心お前良い拳持ってんじゃねぇかよ……







「透どうかなこの服可愛いかなぁ?」

「んー可愛いな」

「これはどう?」

「おー可愛いな」

「……これは?」

「あー可愛いな」

「……じゃぁあの店員さんは?」

「ほー可愛い……くないです。だからその振り上げた拳を下ろしてくださいお願いします」


 危うく殴られそうになったがなんとか回避する事に成功した。でもにしたってさっきからずっと試着もしないで服を見せてくるだけな訳で、さすがに飽きてきても仕方なくない?

 そこで提案をしてみることにした。


「なあ心? 気に入ったのがあるなら試着してみたらどうだ? 着てみてくれないと俺も感想がしづらいんだよ」

「それもそうだね。じゃあ試着して来るけど透目瞑って」


 え、何故に? 突如告げられたことに思わず首を傾げる。


「だって透には僕が着てから見て欲しいから、試着室までに持って行くの見たら着る服分かって面白くないじゃん」

「あーなるほど?」


 女心とはそういうものなのか、心だけに。


「透? くだらないこと考えてないで目瞑って」

「あ、はい」


 こうして言うことを聞いて試着室に入って行った心を椅子に座り待つことになった。

 透ーちゃんと待っててね、と言われたが逆にこの場で待つ以外の選択肢があるのだろうか。女の子だけ残して待たないでいなくなるとか人間としてどうなんだろう。そこまでゲスじゃないし、そんなドSじゃないのだ。

 てかそれで喜ぶのは変態マゾ天しかいないな、メンヘラにそんなことやる勇気はない。


 ここは大人しく待つとしよう。


「しかしあれだな」


 ふと思ったがこれは異質な状態なのかもしれない。


「これがギャルゲーなら二人の女の子とデートしてるわけで……場合によっては修羅場イベントだな」


 いや修羅場といってもこの場合、心と景ちゃんがお互いに争っているだけだから俺への被害は実質無しか……って、


「いやその争いの中心にいるの俺じゃん」


 今は二人で言い争ってるだけだけど、そのうちハッキリ決めない俺に痺れを切らすかもしれない。メンヘラとストーカーってどちらを選んでも地獄なんだが……勘弁して欲しい。

 困り果てて悶え、頭を振って自問自答していると試着室のカーテンが開かれた。


「どう透! 可愛いよね!」

「え? あ、いやその言い方されたら可愛いって言うしかない____って待って? なんでメイド服なの?」

「可愛いから」

「へ? この店のやつか?」

「うん。さっき普通にあったよ?」


 どういうことだよ、普通の服屋かと思ったらコスプレ服の専門店だったのか?


「で、どうなの? 可愛い?」

「……まぁ、可愛いんじゃないか?」

「よしこれ買お」

「なんでだよ……。次は何着るんだ?」

「なぁいしょ♡」


 いや可愛いなおい。メイドさんの格好でそれは可愛いなおい。


「ヒントくれヒント」

「ヒントは……黒タイツの兎さんかな♡」

「絶対バニーガールだろそれ! なんでそんなもんあんだよ!? この店はあれか!? 実はいかがわしいお店なのか!? なんでデパートにあんだよ! 倫理観狂ってんのか!!」

「見たくないの?」


 そんなの決まってる。


「見たいです」


 即答である。だって仕方ないじゃん男だものとおる


「なんかそれみ●をっぽいね」

「辞めろ辞めろそれ以上はいけない」

「じゃあ待っててね♡」


 とても魅力的な笑顔でカーテンを閉める心、メイド服姿であんな可愛く言われるなんて……なるほどここが桃源郷か。

 まああれだ。親友の成長を見るというのも親友の勤めというやつだ。全く仕方がない。


「全くやれやれ、ほんとにやれやれだ全く」


 親友というのも大変だな。

 ふと思ったが写真はアリなのだろうか? お金とか取られない? 大丈夫?

 静かに震えるスマホの画面を覗いてみると、景ちゃんから呪いの言葉の文章が大量に送られているが無視しよう。

 てか景ちゃんやはり何処かで観ているな!? 変なこと出来ないじゃん! いやする気なかったけどね!?


 デート中ということもあり、スマホを見過ぎていてはいけないと、なかなかの紳士っぷりを見せてすぐにスマホをしまう。すると店の入り口付近から突如声が聞こえてきた。


「お姉ちゃんこのお店で良いんじゃない?」

「ん? あぁそうしようか乱華」


 ……え?


 瞬間、聞こえてきた名前に俺の眼球がこれでもかと見開かれ、物陰に潜みながら入り口を伺ってみた。


「珍しいねお姉ちゃんがおしゃれに興味を持つなんて、気になる人でも出来たの?」

「……そうだね。気になっている人がいてね」

「へ、へぇー? そうなんだぁー?」


 変態と爆弾魔がいる!!? 嘘だろなんでここにいるんだよ!!?


「この前もここで買ったよね。何買ったの?」

「ん? スクール水着だよ」


 お前あの散歩の時のやつここで買ったのかよ!!!

 ひょっとして、と店の商品の棚を確認してみると、そこには犬耳やら猫耳、さらには首輪まであった。

 マジでか……全部ここで買ったのかよ……。つーかここは本当になんの店なんだ……?(困惑)


「奥にも可愛いのあるよ。行ってみようよ」


 あ、不味い。こっちに近付いてくる。


「どうする!? マジでヤバいぞ!!」


 迫ってくる彼女(乱華)? と変態()、後ろには絶賛着替え中のメンヘラ()がいる。逃げ場は皆無。

 いっそのこと店員のフリでもするか? と思い僅かに後退した時だった。


「あ……」


 足が滑って身体のバランスを崩した。

 全感覚がスローに感じ、ゆっくりと身体が背後へと倒れてゆく。


「うおっ!」


 そして俺は試着室に倒れた。結果____


「透……何してるの……?」

「え」


 倒れた先にいた心に覆い被さる様に倒れ込んだ。

 着替え途中だったからか、心の姿はなかなか刺激的で、ただ今一番問題なのは俺の右手の居場所について、




 その場所は心の壁に等しい双丘の上であった。




「……」

「……えっち♡」

「ちゃうねん」


 弁解虚しく、


「なな、何やってんだ……ですか透さん!!?」

「ご主人様……これはどういうことだい……?」


 あ、終わった。死んだ。


 これで分かったぞ姫! お前の呪いの正体が!! その呪いの正体は!!


 ”ラッキースケベの呪い”だな!!?


『いやそれはお主のミスなのじゃ』


 姫の声が頭に響いた気がした。

 あっそうですかすいません……、それより心さん一応壁よりは柔らかいんですね。




        ~おまけ~




 景ちゃんと姫


 服屋前にて、


「なんですかあれベタベタして! ムキィー! ムカつく!!」

「なんじゃあの”くれぇぷ”とやらは! 食べてみたいのじゃ!」


 服屋にて、


「あの男女……先輩のこと誘惑しよってからに……殺す……」

「ひぇぇ! 景怖いのじゃ!」



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