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親友ポジションに憧れる俺は彼女達に狙われている  作者: 瑞柿けろ
第二章 デート&乱華編

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第53話 天と夜散歩……? 前編




「……」


 街灯に照らされた夜道を歩く。

 暗くはあるが深夜ではない為、まだチラホラとだが人を見かける。

 元来俺は夜更かしをするタイプではないのでこんな時間に外へ出ることは滅多にない。

 だが悪くない。まだ夏になる前というのもあって夜が大分涼しいからだ。


 俺はこの夜の空気というのが結構好きなんだろう。


 だからそんな良い空気を乱すコイツが非常にめんどくさいのである。


「先輩お待たせしました。待ちましたか? ってその格好……」


 俺の問いに彼女は応えた。


「いや時間ピッタリ……うん寧ろ早いくらいだよ流石だね。では早速始めようか」


 彼女は手提げ袋から首輪とリードを取り出して、俺に渡し声高らかに言い放った。




「ご主人様……散歩をしよう」

「へ?」



 犬耳のカチューシャを着け、尻尾を生やし、何故かスクール水着を着た天先輩馬鹿がそこにいた。


『尻尾の形状からして多分犬だろうか?』


 などと、目の前で先輩がリード付きの首輪を装着しているという異様な光景なのに、俺の頭は冷静にそんな思考をしていたのだ。

 

 とりあえずこの天先輩をなんとかしてくれ……。



「なぁ天先輩?」

「ん? なんだいご主人様? あ、それと私のことは先輩なんて呼ばなくて良いよ。親しみを込めて”駄犬”とでも呼んでくれ」

「全くもって感じられないんだけど、どの辺が親しみ?? てかそれ駄犬に失礼だから」

「あぁ……良い! その軽蔑の眼差し! 堪らないよ!!」


 ヤバいわーこの人本当にヤバいわー。


「その私に付き合って散歩してくれているご主人様もなかなかだと思うけどね」

「……」


 自身の手を眺める。

 そこには先程先輩から手渡されたリードが握られ、先輩の着けている首輪に繋がれていた。

 側から見たら水着を着た女性に首輪を着けて散歩しているのは明らかに俺だ。


 あれ……俺の方がヤバいやつじゃん。


「すいません俺やっぱり帰りま____」

「因みにそのリードは離せないと思うよ」

「へ?」


 どういうことですか、と言うと同時に手の力を弱めた瞬間、


「あれ……手が開かない」


 そう。何故かリードを握っている俺の手が開かない。グーからパーに変えたいだけなのに握ったままの状態になっているのだ。

 どういうことだ? 先輩に質問すると、先輩は頬を赤く染めて恥ずかしそうに告げる。


「リードに接着剤染み込ませてしまったよ♡」

「馬鹿じゃないのお前!!?」

「いやね、ご主人様が逃げたら困るからこうした訳だよ。さあ怒っただろう!? こんな悪い事をした私にご褒美はないのか!!?」

「上等だ雌豚!! 歯を食いしばれ! その尻でしばらく座れなくなるまで真っ赤にしてやるよ!!」

「ブヒィィィ! やっぱりご主人様は最高ブヒィィィ!!」

「お前本当にやば過ぎだろ!!」


 救いようの無い先輩にドン引きしてはいるが、やはりこの接着剤は許せない。

 俺が勢い良く先輩の尻を蹴り上げようとした時、突如先輩は「あ、そういえば」とまるで今思い出したかの様な声を発した。


「一つ良いかなご主人様?」

「なんだ雌豚? 今になって尻が真っ赤になるのが怖くなったのか? 命乞いか?」

「いやそれは一向に構わないんだけどね」


 良いのかよ……。


「今日ご主人様は何処に行っていたのかな?」

「え、俺か? 水族館に行ったけど」

「一人で?」

「いや真____一人ですはい」

「ほぉー? そうか一人だったのか。ところで実は今日私は生徒会の子達ととある水族館行ったんだよ」

「え」

「そこでご主人様を見た気がするんだよ。ただご主人様が言ってる”一人”ではなく、なにやら見覚えのある女子生徒と”二人”でいた様な気がしていてね?」

「あははは……あれじゃないかな? 世の中には自分と似ている人がいるらしいからそれではないでしょうか?」

「そうか他人の空似かー」

「そうですよー全く勘弁してくださいよー」


「「あははは」」


 ………………

 …………

 ……


「さて」


 お互いに笑い合い僅かな沈黙が流れ、先に口を開いたのは天先輩だった。


「遺言を聞かせてもらおうか……ご主人様……」

「待て待て待て待て!?」


 何処からともなく刀を取り出した先輩は鬼の形相で居合いの構えをとる。

 それはもはや遺言を聞く姿勢ではないだろう!?


「あんなところで琴凪君と何をしていた……しかもソフトクリームの食べさせ合っていたな……どういう事だ」

「あれは一緒に出掛けていただけですよ! それに食べさせ合いだって幼馴染ならやりますよ!(多分)」

「付き合ってもいない男女で、しかも高校生同士の幼馴染がやるのはおかしいだろぉ!!」

「確かに!?(驚愕)」


 嘘だろ言われるまで気付かなかった。ヤバい言い訳できない。


「と、とりあえず刀から手を離してくれ! 何かするにしても話を聞いてからだろう!?」

「む……それもそうだね」


 構えを解き刀から手を離してくれた先輩。

 ……ふと思った事だがスクール水着に耳と尻尾、さらには首輪があるのに今度は帯刀って……なんか特殊なフェチな人に刺さりそうだな……。


 というか俺には刺さった。




        ~おまけ~




「先輩一応聞いていいですか?」

「ん? なにかな?」

「あのスクール水着(それ)着てますけど……その格好で待ってたんですか?」

「あぁこれかい? うむそうだよ? 待ってたどころかこの格好で家を出てここまで来たんだよ?」

「お前……本当にやべぇ奴だな……」



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