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親友ポジションに憧れる俺は彼女達に狙われている  作者: 瑞柿けろ
第二章 デート&乱華編

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第51話 真白との水族館デート 後編







「とー君! ペンギンさん歩いてるよ可愛いね!」


 笑顔でコチラに声をかける真白。

 見て見て! と指で示す先には複数のペンギンが列を成して館内をお散歩する、そんな可愛らしい光景が広がっていた。


「いや……無茶苦茶可愛いな」

「だよねだよね! 久々に見たな中学生の時以来かな? 校外学習で来たよね」

「……ん? あぁそうだな」

 

 少し考え事をしていた為返事が遅れた。

 直近では確かに真白が言った時だが、正直なところ俺は小学生の頃にこの水族館に来たことがある。その時の記憶が印象的だったからだ。勿論、仕事で忙しい親とではないが、


「そういえば昔に家族でここに来たんだけど、とー君を見た気がするような? 誰か女の子といなかった?」

「……人違いだろ」


 そうかなー? と唸っている真白に、俺はもう少し寄ってペンギンの写真を撮らないかと勧める。


「良いね! 行こうとー君!」


 真白はそう言うと俺の手を掴み早歩きで進み出す。普段の表情や暗殺者モードの鋭さと違って凄く可愛らしい。これがギャップというやつか……。


「ほらこれなんてペンギンなんだろう! 分かんないけど本当に可愛い! 写真撮ろとー君!」

「俺は良いよ。真白こそペンギンを背景に撮るから」

「なんで一緒に来てるのに一人で撮るの! ほらほら二人で撮ろうってば」

「分かったから引っ張るなって」


 相変わらず離されない手を引かれ、諦めて一緒に写真を撮る。すると真白はスマホを操作して「とー君に今撮ったやつ送るね」と、俺のスマホの通知音が鳴った。

 そしてさらに真白は一言、


「心ちゃんにも送ってあげよ」

「え、勘弁してもらっても良いですか?」

「ごめんもう送った!」

「嘘やん……」


 懇願虚しく真白のスマホの画面には俺と真白、そしてペンギンのスリーショット写真が表示されている。しかも一瞬で既読が付き、その直後に俺のスマホが震えた。タイミング的に絶対心からだろう。


 恐る恐るスマホを確認する。


【僕とデートの約束をしているのに他の女と二人で出掛けているとか……許さないから……】


 そのメッセージと共にテーブルに突き刺さった包丁の写真が心から送られた。

 

 あれ待って見覚えあるテーブルなんだけど? そこ俺の部屋じゃね? ギャルゲーのケース見えんだけど心不法侵入してね?


【他人の部屋に勝手に入んなよ……】

【口答えするなら透の大好きなゲーム壊すから】


 嘘だろ……? 人生でここまで残忍で冷酷なこと言う人間いるのかよ……(号泣)


「え、なんでとー君泣いてるの?」


 静かに涙を流していた俺に気付いた真白は心配そうに声を掛けてきた。

 他人を想いやれるなんて優しい奴なんだ……。よくよく考えなくても俺間違ったこと言ってないのに、何この理不尽……?


「とー君大丈夫? なんかあったなら話して?」

「ありがとう真白……実は心にギャルゲーを人質に取られてな……」

「……え、そんなことで泣いてたの?」


 前言撤回優しくないわ。そんな事ってなんだよ一大事だわ。


 ってか、人にナイフ向ける女が優しくあってたまるか。


「今なんか失礼なこと考えなかった?」

「き、気のせいだろ」



「ねぇねぇとー君あれ見て」


 歩いていると真白が何処かを指差す。言われた通り目線を向けた先には屋台があった。中学の頃にはなかったそれだが気になるところはない。


「どうしたんだ? ただの屋台みたいだけど食べたいのか?」

「違うよ! よく見て”のぼり”だよ!」

「のぼりがなんだよ____え……」


 屋台から身を離して隣に置かれたのぼりを見ると、俺の思考は一瞬止まった。


「なんだこれ? ”牡蠣ソフトクリーム”?」

「『神秘のコラボ! 牛のミルクと海のミルク!』って書いてあるよ……」

「大人の悪ふざけコラボだろ……」


 説明文にはペースト状にした蒸した新鮮な牡蠣をソフトクリームと混ぜ合わせてあるらしい。どっかでカキフライがソフトクリームにトッピングされているのは見たことがあったが、牡蠣を練り込むなんて発想は見たことがないわ……。美味しい物と美味しい物を掛け合わせて美味しくなるとは限らないからね?

 すると、真白はゆっくり屋台に近づき、


「二つください」

「真白!?」


 注文しやがった!! しかもわざわざ俺の分まで!!

 今更断る訳にもいかずに仕方なく真白が出す前に俺が支払ったが、正直気になるのも事実だ。真白が買ってなかったら俺が買っていたかもしれない。

 どんなのがくるのかね? と見るからに楽しみにしている真白と待っていると、すぐに出来上がり渡された。

 

 ちなみにコーンではなくてカップでだ。


「あれカップで頼んだのか?」

「うん。ちょっとしたい事があって」


 したい事? と疑問を覚えたが真白から壁の方に行き、通る人の邪魔にならないよう移動しようと言われてそれに従う。

 そしてお互いに手に持ったソフトクリームに目を向ける。


「じゃあ食べよっか。見た目は普通だね」

「お、おうそうだな。……でも微かに牡蠣の匂いがしてる感じか?」

「うんそんな感じだね」

「……ソフトクリームから牡蠣の匂いがする時点でなかなかだな。じゃあいただきます……」


 不安を覚えつつも覚悟を決めスプーンで掬うと、

 

「待ってとー君まだ食べないで」


 え、何故に? そう聞こうとしたが真白の行動で答えはすぐに分かった。


「はい。あーん」

「え」


 真白は自分のスプーンでソフトクリームを掬うと俺の方へ向けた。

 ま、マジですか真白さん……?


「ほら早くして溶けちゃうよぉ」

「あ、あぁ悪い」


 俺は詳しく聞く事もしないで言われるがままに差し出されたソフトクリームを食べてみた。

 ふむ、なるほど……。


「どう? とー君美味しい?」

「美味じぐない……」

「えー」

「いやマジで美味しくない。開発した奴の味覚が心配になるレベルで不味いわ」

「あーあるよね。コンビニとかで『〇〇店監修』って書いてあるのに不味いの。開発部馬鹿なのかな? ってやつね」

「いやそこまで言ってないからな? ここぞとばかりにぶっちゃけないでくれ」


 確かにあるけどねそんなこと、開発の人も同じ人間だからおかしくなることあんだよ言わないでおけって……ってそんなことよりも、


「真白も食べてみろって不味いから」

「そう言われてるのに食べるのもなんか嫌だね……。まあ良いや。あーん!」


 あ、俺もするんですね。まあもういいか。


「ほいあーん」


 諦めて俺もスプーンを向けると、真白はなんの躊躇いなくそれを食べる。

 目を閉じソフトクリームを味わいしばらく、食べ終わったのか真白はゆっくり目を開けて言い放った。


「あ、私は凄く好きかも」

「嘘やん。お前味覚腐ってんだろ」

「え、殺すよ?」




 こうして真白とのデートを終えた。

 前よりも少し仲良くなれた……と思う。




        ~おまけ~




「とー君これからは私に変なこと言ったりやったりしたら”なんでも一つ言うこと聞いてもらうから”」

「どうしたんだよ。急にメンヘラ女みたいな事言って」

「はい一回目ね」


 あ、それマジなんすか??


「じゃあ”家帰るまで手を繋いで”」

「わ、分かりました……」



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