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親友ポジションに憧れる俺は彼女達に狙われている  作者: 瑞柿けろ
第二章 デート&乱華編

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第45話 杏理とお買い物デート




 心との話を終えた俺は、杏理との待ち合わせ場所まで走って向かった。

 そして、駅前までたどり着いた俺を迎えた杏理は眉を吊り上げ、両腕を組みながら呟く。


「遅い……」


 大変ご立腹のようだ。だがその声色には怒りとは何か違うものを感じる。


「ごめん。これでもかなり走ったんだ」

「……本当は来たくなかったとかじゃなくて?」


 え、と思わず声が漏れるが直ぐに理解した。

 なるほど、どうやら杏理はなかなかの心配性のようだ。

 昨日も『嫌なら断ってもいい』と言っていたし、そういう性格なのか、はたまた過去に何かあったのかは知らないが今は聞かないでおこう。困ったものだ俺の友達は全く。


「昨日も言っただろ? 杏理の料理も食べたいし、昨日のアレについても教えてくれんだろ?」

「そ、そうだけど」

「それにだ。俺的には友達と休みの日に出掛けるというのはかなり休みを有効的に使ってると思うわけなんだよ。喜ぶならともかく嫌がる理由が無いぞ」


 遅れたのは本当に悪かったけどな、とちょっと上からな感じで本心を伝えると、


「ふ、ふーん? そ、そうなんだー? 雨上は私と出掛けられて嬉しいんだ。そっか」


 表情が柔らかくなり、分かり易く機嫌の良くなる杏理。良かったなんとか機嫌が戻ったようだ。機嫌の取り方ならここ最近命を狙われ過ぎて話術が上達したからな。


 って、褒められたことじゃないわこれ……。


「さて、とりあえず行かないか? 家に行くのに駅で待ち合わせするくらいなんだからなんかあんだろ? 買いたい物とか」

「よく分かったわね。ちょっと調理器具を買いに行きたいのよ。最近って凝った調理器具も増えてるらしいじゃない」

「あー確かにテレビでよく見るな。それは俺も気になるわ」


 分かる便利な調理器具はあると調理が楽だしな。


「あの小さい何の為に使うか分からない泡立て器とか、多機能スライサーとか欲しいわ。おしゃれだし」

「とりあえずその理由でもし買った場合、使われずに棚の奥で眠る未来まで読めたぞ」

「そそそ!? そんなことあるわけないでしょ!?」


 動揺し過ぎだろ。図星か。


「じゃ、じゃあ行きましょう雨上! ちなみにこれはデートじゃないんだからね!? これは心に私のお弁当を食べてもらう為に雨上から心の情報を探る為、仕方なく一緒に買い物に行くだけなの! 分かった!?」

「分かってるよ。因みに心はミートボール好きだぞ」

「そ、そうなの? 教えてくれて助かるわ。……因みに雨上は何が好きなの?」

「俺? 俺はいなり寿司が好きかな」

「……ふーん? へー? なるほど」

「?」


 なにやら歯切れの悪い反応をされたがどうしたのだろうか? というか何故に心だけでなく俺の好物も聞いたんだ?


 そんな事を考えていると杏理が広げた左の手のひらをコチラに差し出し言った。


「手」

「え? 手?」

「……あーなるほど」


 いきなりの事に判断が遅れたが、すぐに理解し行動に移す。


「ワン」

 

 自分の右手の拳を軽く握り、差し出された杏理の左手の上に乗せる。よく犬に教える”お手”の完成だ。

 我ながらなかなかの頭の回転、自分で自分を褒めてやりたい。さすが俺。


「違うわよ!!」


 どうやら違うらしい。

 ギャルゲー知識でもここはお手の確率が高いと思っていたのだが、


「……私がいつか心と手を繋ぐ予行練習よ。雨上じゃ役不足だけど仕方なく妥協してあげるわ」

「あ、そういうやつね」


 手を繋ぐ練習かなるほどね。それにしても心はまだ無理にしても女子じゃなくて俺の手で良いのか? 男の手だとゴツいだろ。

 そんな問いを気にせず杏理は俺の手を強引に握る。


「うっさいわね! そんなの気分よ気分!」


 さいですか。


「結構手大きいわね。私と全然違う……。それに雨上も女子と手を繋ぐなんて初めてなんじゃない? 内心ドギマギしてるんじゃない?」

「ドギマギって今時言うか??」


 ついつい気になった事を聞いてしまうが、とりあえず杏理の言葉を少し考えてみる。


「あ、いや後輩の景ちゃんと手を繋いだことある気がする。それに乱華とも手を繋いだしなぁ……心とは手を繋ぐどころか抱きついてくる時あるし」

「雨上……明日のニュースは『駅前で発砲事件』これで決まりね」


 俺になにする気!!? それなんだったら今日やるだろ! 速報だよ速報!


「そして犯人の手掛かりは掴めず、ってね」

「……」


 お前逃げ切る気満々じゃないかよ。




        ~おまけ~




「そういえば杏理」

「なによ?」

「言い忘れてたけどその服似合ってるな」

「え!? ……そ、そう? そんなに?」

「おう。超似合ってる」

「ま、ま、まま、まぁ!? 当然よね!?」

「動揺してますけど大丈夫?」


 大丈夫よ!? と顔を真っ赤にして応える杏理はゆっくり深呼吸をしてコチラに質問してきた。


「ね、ねぇ雨上? 一つ聞いて良いかしら?」


 どうした? と聞き返してみる。


「いや似合ってるって言ってたじゃない?」

「言ったな」

「……あ、えーと……か、可愛いかしら……私」

「あ? なんだそんなことか。かなり溜まるからなんだと思ったわ」


 どうなのよ、と聞いてくる杏理に俺はハッキリ告げた。


「可愛いに決まってんだろ。お前元から無茶苦茶可愛いしな。なんならさらに何倍も可愛くなってるまである」

「……あ、ありがとう。まあでも別に雨上に言われても嬉しくないけどねっ!!」

「えぇ……それをハッキリと言われた俺の悲しみは計り知れないぞ……」

「こ、細かいことは気にするんじゃないわよ!! ほら早く行きましょ!」


 手を引かれ駅前を離れ、目的地へと向かって歩き出した。






 透と杏理の後ろ姿を眺める一つの影____


「見いちゃったぁ見いちゃったぁ……」



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