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親友ポジションに憧れる俺は彼女達に狙われている  作者: 瑞柿けろ
第二章 デート&乱華編

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第44話 嘘だと思うだろ? このチョーカー爆発するんだぜ




「ねぇ透? 僕がなんで怒ってるか分かる?」


 ゴールデンウィーク初日、結局昨日は姫が帰って来ず、心配ではあったが杏理との約束の為に出掛ける準備をしていた俺は、当たり前のように合鍵で侵入して来た心に正座を強要されていた。

 因みに重要な事だから言っておくが、心は仁王立ちである。つまり見ただけで怒っているのが分かるわけだ。とても重要なこと。


「これは仮に俺が『分からない』って言ったらどうなるんだ?」

「許さない」


 ゆ、許さないとはどうなるのでしょうか?


「だってそうだよね? 僕がこんなに透のこと考えてるのに構ってくれないしさ? なんなの僕の事不安にさせて喜んでる?」

「いや喜ぶわけ____」

「嘘」

「頼むから聞いてくれ……」


 駄目だ。弁解したくても聞いてくれない。


「乱華ちゃんと別れてよ」

「え、いや無理だろ」

「なんでよ」

「問題が解決してないのに放り出すのは俺のポリシーに反するから」

「じゃあせめてそのチョーカー外して」

「無理だ。これ外すと爆発するから」

「……今の僕にそんな嘘ついて楽しい? また不安にさせるんだね」


 嘘だと思うだろ? これ真実なんだぜ?

 それにしても、俺は怒られているというのに改めて心の姿をまじまじと見てみる。

 整った可愛い系の顔立ちに黒く長い綺麗な髪、身長が高いわけではないのにスラっとしたその姿はモデルと言われても信じてしまう。

 男の時はイケメンで、女になったら美人とはずるいな。これがイケメンの特権か?

 まあ欠点としては凹凸のない胸なのだが、これは言っちゃいけない気がする。俺の命に関わるしな。


 それに実際怒っていても、メンヘラモードになっていても可愛さの方が勝っているまである。


「なあ心」

「……なに」

「可愛いなお前」

「な!? かわ! い、今僕が怒ってるの分からない!? そんな事言ったって許さないから!」


 意外と揺れてんじゃねぇか。でもこれもしかしたらいけそうだな。

 

 俺は内心笑みを浮かべた。


「なぁ心? 俺に背中向けて座ってくれないか?」

「? まあ良いけど?」


 困惑しながらも言うことを聞いてコチラに背を向ける心に対し、俺は躊躇いなく抱きついた。世に言うあすなろ抱きというやつである。


「ちょちょちょっ!? 透何してんだよ!?」

「心口調口調」

「それよりもなにやって!?」


 いやさ? と戸惑う心に言葉を続ける。


「心を心配させて悪かったなって、せめてものお詫びだよ」

「だからってなんで抱きつくし」

「まあ九割は俺が抱きつきたかっただけだな」

「一割しか悪いって思ってないじゃん。……嫌い」

「悪い悪い冗談だよ」

「嫌い……でも好き♡」

「うっわ、ウザ」


 思わず本音が出てしまった。ふと思うけど『心を心配させて』って字で起こしてみると違和感ありそうだよな。とそれは置いといて、


「なんで心は俺のこと好きなんだ? 好きになる要素あるか? 俺」

「あるよ。いくらだってある。透のどんなところでも好きだよ? 昔に腕に包帯巻いて『うっ!! 右腕の暗黒龍が!! 鎮まれ!』って言ってたとこも好き」

「おおおおおお!!? お、お、おま!? 見てたのかよ!!」

「それに今だにたまに仮面ヒーローの変身ポーズしてるのも好き」

「ぐあぁぁぁぁっ!! やめろぉぉぉぉ!! 恥ずか死ぬ!!」


 さすが俺の幼馴染兼親友だ……。俺の恥ずかしいエピソード知り過ぎだろ。

 でも、と恥ずかしさで耳まで熱くなっている俺を他所に、心は胸に手を当て声のトーンを落とし静かに言った。


「初めて好きだな、って思ったのは透と会ってそんな経ってなかった頃かなぁ」

「え、そんな前からなのか? 気付かなかったわ」


 えへへ……だって気付かれないようにしてたもん、と俺の方に顔だけ向けて、


「でももう我慢しなくていいんだぁ♡」

「……」


 そこでゆっくりと離れ抱きつくのを辞める。

 だって目が真っ黒だったんだもん。ハイライトが無いし怖過ぎるんだもん。


「もう辞めちゃうの?」

「お、おうもういいかな」

「そっか。またしたかったらいつでもいいからね?」

「いやもういいかな?」

「いつでもいいからね?」

「……」

「ね?」

「はい」


 どうしよう、相当拗らせ過ぎだろ。不用意に抱きつくのは駄目だったわ。好きな気持ちを我慢し過ぎたせいなのか色々ヤバいな。可愛いけど……。


「透はゴールデンウィーク暇?」

「え? ダラダラするのに忙しいけど?」

「暇ならデートしようよ」

「デートって……そういうのは本当に好きになった奴に取っとけ。親友として一緒に出掛けるからさ……あと一応俺彼女いるんだけど?」

「透なんでも言うこと聞くって言った時にデートの約束したの忘れてない? それにいくら親友でも女子に抱きつくのはどうなの? それも好きな人に取っとくべきじゃ? 彼女さんに言っとこうか??」

「さてデート行くか!! 楽しみだなデート!!」

「話逸らした」


 うるせぇ細かいことはいいんだよ。親友ならセクハラしてもセーフかもとか思ったけどそんなゲスな考えは言わないでおこう。ていうかセクハラして喜ばれても反応に困るし……。


「じゃあ何時頃行く?」


 笑顔で問い掛けてくる心は本当に嬉しそうで、少し前まで怒ってたとは思えない程素敵な表情で____


「あ、ごめん。今日は用事あるから無理だ」

「え……」

「悪いな心」

「……」


 危なかった。なんとか杏理との約束を忘れるところだったわ。

 ただ明らかに心の様子が……、


「……」

「こ、心?」

「……」

「ほ、ほら今日でもいいけど心も準備とかあるだろ? それにせっかくのデートなら何処かで待ち合わせにしないか? いつもと違う可愛い心も見たいし」

「それもそうだね!! 分かった! 楽しみにしてるね!!」

「お、おう楽しみだな」


 とりあえずこの場はなんとかなったわ。

 早く杏理のとこに行かないと……、と考えているとスマホが震えメッセージアプリの通知を知らせる音が響く。そして俺は内容を見て目を見開いた。


【先輩! デートしましょうデート!】

【とー君? もし良かったらお出掛けしない?】

【ご主人様! 散歩に行きたいですワン!!】


 上から景ちゃん、真白、天先輩と一斉に送られてきたメッセージ、まあアホ先輩は置いといてヤバいわ。


「俺のゴールデンウィーク無くなるじゃん……」



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