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親友ポジションに憧れる俺は彼女達に狙われている  作者: 瑞柿けろ
第二章 デート&乱華編

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第43話 ゴールデンウィークの約束




「あ! 透さんもう待ちくたびれましたよ! 早く帰りましょう」

「遅れてごめんな。そうだな帰るか」

「はい!」


 景ちゃんと真白に事情を説明し終え、思いの外待たせてしまった乱華と合流して帰ることにした。のだが……


「ほーら行きますよ透さん!」

「……」

「もー! 反応悪いですよ!」

「……なあ乱華?」

「なんですか?」

「喋り方がキモいんだけど」

「フンッ……」

「ゲホッ!」


 言葉の直後、腹に激痛が走る。確認してみると密着していた乱華の拳が腹部にめり込んでいた。腹を抑え苦しんでいると耳元で囁く声。


「学校ではこれでいくに決まってんだろ。あとキモいって言うな。……分かったな透?」

「ま、誠に申し訳ございませんでした……」

「次は言うなよ??」

「け……検討させていただきます」

「それ一番信用できないやつだからな? とにかく帰ろうぜ」

「こ、これだけは言わせてくれないか?」

「んだよ」

「い、良い拳持ってんじゃん。世界狙ってみる?」

「アホ。早く帰るぞ」


 はい分かりました……、と学校を離れ歩き始める。

 放課後もだいぶ時間が経ち下校している者もまばらにしかいない中、学校から離れてしばらくは世間話して下校していたが、少し経つと乱華がため息と共に口を開く。


「ここまで来ればいいか」

「大変だなお前も」

「あ? まーいいんだよ私も好きでやってんだから」

「ふーんそっか」


 割と興味の無さそうな反応をすると、「そういえば」と乱華が言葉を続ける。


「明日からゴールデンウィークだな」

「おーそうだな。やっと休みだよ休み」

「そんなに嬉しいのか?」

「そりゃ嬉しいだろ。と言うより連休は心踊るもんがあるな。学生のうちに味わえる連休はこの時にしか堪能できないものだしな」

「堪能って……何かしたいことあんのか?」


 そんな乱華の素朴な質問に俺は即答した。


「凝った料理が作れる。他にも普段できないとこまで掃除をしたりな」

「主婦だな」


 喧しい。それは俺の趣味なんだしょうがないだろ。

 

「私は短くても長くても休みの日は同じだ。ずっと家の手伝いしてるからな」

「神社のか?」


 そう、と軽く返事を返し、


「……まぁでも私はいてもいなくてもどっちでも良いんだよ。お姉様さえいれば……私はお姉様の代わりにもなれないしな……」


 何処か悲しげに、そして自傷気味に笑う乱華。何やら事情があるようだが今この場で聞き出すことでもないだろう。とりあえずそこ黙ることにした。


「……なあ透」

「ん? どうした?」

「……なにも聞かないのか?」


 驚いたまさか自分からその話題を振るとは……


「別に聞いて良いなら聞くけど、それは乱華が今したい話なのか?」

「え?」

「あーいやな? 別に話したくないことなら今は大丈夫だぞ。乱華の話したくなった時に話してくれれば、これでも俺は彼氏だからいつでも聞くからさ」

「……おう。ありがとな透」


 辛そうな表情をしていた乱華から僅かに笑みが溢れる。良かった少し元気になってくれた様だ。いくら俺を嫌っているからと言ってもギャルゲーファンとして女の子が悲しそうにしている姿は嫌過ぎる。

 

「あ、あのよぉ透?」

「どうした?」


 いや一つ聞きたいんだけどよ、と乱華はそこで少し言葉を留めるとしばらくして再度口を開いた。


「……ゴールデンウィークって暇か?」

「ゴールデンウィークか? あーとりあえず初日は用事あるけどそれ以外は今のところ暇かな」

「そうか……」

「おう……」

「……」

「……」


 返事の後しばらくの静寂、どうしたのだろうか自分から話を振って来たというのになぜ黙ってしまったのだろうか。

 それ以降話す事なく、ただ無言で時間が過ぎてあっという間に神社の階段の前まで来てしまった。

 

「……じゃあ俺そろそろ行くな。近いけど家まで気をつけろよ?」

「……お、おう。ありがと」


 それじゃあ、と礼を聞いてから立ち去ろうとすると、


「ま! 待てよ!!」

「どうした?」

「い、いや……その……」


 声を上げて俺を呼び止めるその言葉を聞き大人しく従う。そして何かを言い淀み顔を真っ赤にしている乱華の姿に突如俺のギャルゲー脳はフル回転し、この場で最適な答えが捻り出された。


「乱華聞きたいんだけどさ」

「……んだよ」

「ゴールデンウィークって暇か?」

「えっ!?」

「もし良かったら一緒に出掛けたいんだけどさ、神社の手伝いで忙しいなら別に____」

「行く!!!」


 言い終わる前に乱華の元気の良い返事が返ってくる。


「良かった。断られたらどうしようかと思ったわ」

「断る訳ねぇだろ。……それであのーその……それはあれか? 出掛けるってもしかしてデ、デート的なやつなのか……?」

「ん? まあそうだな。恋人と休みの日に出掛けるわけだからそう考えてもらえると良いな」

「そうか……」

「おう」

「「……」」


 再びお互いの間に沈黙が流れる。

 なんだろう、乱華の意図を汲み取ったと思っていたが、これはもしかして間違えたパターンだろうか。

 そうなったら俺、死ぬ程恥ずかしいのだが……

 ま、まあでも行くと言ってくれたのだから完璧に間違えていた、という事はないのだろう。

 自分の行動に改めて恥ずかしさを感じ始めると、無性に顔が熱を帯びる感覚に襲われる。

 

「じゃあ何日にするかは後でメッセージ送るから。で良いか?」

「お、おう分かった。早く送ってこいよ? 私を待たせんなよ?」

「了解した。じゃあまたな」

「おう。また……」


 ぎこちない別れの挨拶をしてその場所を離れる。フワフワした気持ちが収まらないまま進んでいると、いきなり背中に衝撃が走った。


 顔だけ振り向きその状況をすぐに理解した。俺の背中に顔を埋め乱華が抱きついていたのだ。

 なんだ? と突然の行動に訳が分からず反応出来ないでいると乱華が小さな声で呟いた。


「デート……楽しみにしてるからな」

「お、おう……分かった」


 じゃ、じゃあ私は帰るから、と素早く背中から離れ足早に去って行く乱華を俺はただ眺める。

 とりあえずこれだけは言いたい。


「なんだアイツ可愛過ぎだろ」


 不覚にもどころかめちゃくちゃドキドキしたわ……。






 結局、この日に姫が帰って来ることはなかった。



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