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親友ポジションに憧れる俺は彼女達に狙われている  作者: 瑞柿けろ
第一章 ここから始まる親友ポジション

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第34話 神様登場! 突然の宣告




 神社の長い階段を降りて家へと向かい歩いていく。周囲はだいぶ暗くなってきているが、幸い家はそんなに離れていないから早く帰れるだろう。

 それにしても今日は本当に疲れた。

 こんなに色々なことがあったのに、まだ乱華に告白され付き合って初日とか冗談キツい。疲労レベルで言ったら、既に一週間の仕事を終えてもまだ土曜に仕事あると、絶望している感覚なのだ。

 それ程までに今の俺は疲れ果てていた。


 あ、いや、まだ仕事をした事はないのだけれど。


 そんな事を考えて道を進んで目指している時だった。


「ふおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!! 届け儂の右腕(ライトアーム)!!! おぉぉぉぉ!!!」


 突然聞こえる幼い声、声からして子供だろう。性別は声では判別できない程幼く男にも女にも捉えられるようなそんな声色。だがそれよりも俺が気になったのはこの音の発生源が隣の自動販売機から聞こえたということだった。しかも何故か下から____


「ふぬぬぬぬぅぅぅ!!! 届かぬ届かぬゾォぉぉ!!! 何故じゃ何故届かないんじゃぁぁぁ!!! 儂の力が足りぬのかぁぁぁ!! おのれ許さぬぞぉぉぉ!!!」

「……」


 なんだこの子供……。

 年は十歳程だろうか。見た目にそぐわない喋り方も気になるがそんな事よりも、


「ど、どうしたいったい……」


 その不思議な子供は自動販売機の下に手を突っ込んでおり、誰がどう見ても何かを落としましたと分かる程にそれはもう死に物狂いで漁っていた。

 というかこれ程死ぬ気で取ろうとしてるなら間違いなく落としたのはお金だろう。体験談的に間違いない。


「ぬおっ!? 誰ぞ!? 誰ぞそこにおるのか!?」


 うわやば気付かれた……。

 自動販売機の下を漁っていた子供は俺の存在に気付き喧しい声を上げると、手を抜きながら足に力を入れ立とうとした。のだがその力んだ足は何故かズルズルと力を失いゆっくりと地面に伏す。

 何故に起き上がらない? 俺がそう不思議そうに思うと、子供は絶望感を露わにして言葉を発した。


「抜けない……」

「え……」

「う、腕が引っ掛かって抜けぬ……、か、顔を密着し過ぎて身動きが取れぬ……」

「……」

「……た、たちけてぇ……」

「なんなんだよお前マジでぇ!?」


 結局誰も通り掛からない道で俺は数分くらい格闘する羽目になったのだった。



「いやー助かったぞ! 危うくこの機械と一生を共にするところじゃったわ!」

「……いや気にすんな。困ってたらこんなの助けて当然だからな」

「お、そーかなら良かったぞ! 人が困ってたら助けるのは大事じゃからな!! じゃあついでに儂の五百円も取ってくれ!! 儂は喉が渇いて死にそうなんじゃ!!」

「あ、すいません。やっぱりもっと感謝してもらって良いかな?(怒)」

「な、何故じゃ!? なんか怒っておらぬかお主!?」


 いや気付けよ、とツッコミを入れる。

 そして俺はその子供の驚く程の容姿の美しさに目を見開いた。

 綺麗な柄の入った和服を奇妙に着崩し、腰まで伸ばしたルビー様な光沢を持った真紅の髪、同じく真紅色の瞳にはなにやら三角状の模様が浮かび、上まぶたには紅色のアイラインが引かれていた。それがまた子供なのに大人の様な色っぽさがあって息をするのも忘れる。


 その人間離れした姿に言葉を失っていたが、ふと我に返り言われた通り自販機の下を確認した。けれどかなり奥にあるのかどう考えても手の届く場所には見えない。


「どうじゃ? どうじゃ? あったか? のうあったか?」

「うるさい喧しい黙ってろ」

「なっ!? な、なんじゃいその口の聞き方わぁぁ!!! 誰に向かって言っとるんじゃゴラァ!!」


 ガチギレかよ……、とあまりのキレ具合に引いてしまった。まあ俺の言い方も良くなかったが、どんなに綺麗でもやはり中身は年相応の子供だな。やれやれ……。

 そう自分の中で納得すると財布から五百円玉を取り出す。

 

「とりあえず下に落ちたの取れないからこの五百円やるよ。これで好きなの買えば良いだろ」

「え、……よ、良いのか?」

「良いよさっきの言葉のお詫びだと思ってくれれば」

「あ、そうかじゃ遠慮なく貰うとしようかの! 儂にあんな言葉遣いしたんじゃし当然じゃな!」

「こんのクソガキっ!!」


 なかなか人の神経を逆撫でする奴だが、まぁもう良いだろ子供のやる事だ。気にしてもしょうがない。

 諦めて家に帰る為再度歩き出すと、制服の袖を子供に掴まれた。


「どうしたんだ。まだなんかあるか?」

「まぁ待て、どれがいい?」

「何が?」

「何がじゃと?? お主は”この状況”で、この“機械”の前で“儂が”飲料を買おうとしておる状況で何がじゃと?? 察しが悪いのぉ! 買ってやると言っておるんじゃ!」


 買ってやるって元は俺のなんだが……まぁ良いだろう。いやこれ以上言うのは辞めた方が良いな、めんどくさいし。


「……あ、なるほどな、じゃあ俺はココアで」

「おぉ! ココア! 儂と同じじゃお主分かっておるなぁ! やはり甘味こそ至高よ!」


 自分と同じ物を飲むと分かったからか子供は異様にテンションを上げている。それはもう道のど真ん中で声高らかに語り出した。


「甘味は良い! これまで様々な甘味を味わってきたが食べ足りぬ! 近年は本当にとても美味な甘味が増えた! “チョコレイト”というやつも美味じゃ!! 他にもアイスも良いなぁ! あとケーキ! ケーキも最高じゃ! 個人的に一番好きなのはタルトじゃがあの多種多様さは素晴らしいの一言じゃ! 飲み物で言ったら他には”マックスコーヒー”も好きじゃな! あれは日本のソウルドリンクじゃな!」

「そのソウルドリンク最近はともかく昔は千葉にぐらいにしかなかったらしいぞ」

「嘘じゃろマジか!!?」


 マジもマジ大マジだよ。多分そうきっと……。


「とりあえずココアありがとな。いい加減帰らないといけないから帰るわ」

「おぉそうか長居させて悪かったの。じゃあまた何処かで会おう」

「おうお前も早く家に帰れよ。もう暗いんだから」

「分かっておるわ。子供扱いするでない」


 本当にこの子供一言多いな。

 別れの挨拶を一声かけて去ろうとすると、子供はたった今思い出したのかと振り返って言った。


「そういえばお主名はなんと言うんじゃ?」

「ん? あぁ俺は雨上透だ」

「なんとお主が透だったとは! これはなんと運が良いのじゃ! 儂も透を探しておったんじゃよ!!!」

「え、俺を?」


 そうじゃ、と名前を聞いた途端子供は満面の笑みで俺に歩み寄り、


「儂は遥か昔からこの星空町に住む神”露音姫(つゆねひめ)”じゃ! 気楽に”神様”と呼ぶが良い!」

 

 どの辺が気楽?


「今日はもう帰るのじゃ。また次の機会に言葉を交わすとするかの。とりあえず一言だけ言っておくのじゃ____」






「透お主このままでいたら一年以内に死ぬことになるぞ」


 言うだけ言って神様(笑)は去ってゆく。残された俺はただ茫然とその後ろ姿を見ることしかできなかったが、


「……確かにこのままでいたら誰かに殺されてもおかしくないな」


 頭の中は何故か落ち着いていた。



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