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親友ポジションに憧れる俺は彼女達に狙われている  作者: 瑞柿けろ
第一章 ここから始まる親友ポジション

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第33話 スマホの通知と迫る危機




「じゃあ俺はここで失礼するわ」

「透さんあまりおもてなし出来なくてごめんなさい」

「良いよ気にすんな。あれだよ彼女を家に送るのは彼氏の勤めだろ? お茶も飲ませて貰ったしな、美味しかったよ乱華の入れてくれたお茶」


 先輩……、と俺の言葉にどこか嬉しそうな表情を見れる乱華。

 てかそんなことよりも聞き慣れてしまったからなのか乱華の丁寧な言葉遣いに物凄い違和感を感じる……。何故乱華がこんな態度かというと俺達二人だけではないからだ。


「ごしゅ……と、透君また来るといい。いつでも歓迎しているよ」


 そう言葉を僅かに詰まらせ笑顔を見せる先輩。俺を見送る為に乱華だけではなく、姉の天先輩も一緒にいるから乱華は本性を晒していないというわけだ。


「ありがとうございますメス……そ、天先輩……」

「二人はなんで言葉を詰まらせてるの?」

「「気にするな」」

「? 分かった」

「それと乱華、明日迎えに来るからそれまで待っててくれよ」

「へ? あ、うん。分かりました」


 乱華変なところに勘付かないでくれ……。俺も天先輩も別の呼び方に慣れ過ぎていて今更直すのが難しいんだよ。とりあえずなんとか話を変えれて良かった。







 なんとかバレることなく東鐘家を後にし、道を進み神社の方までやって来ると、


「待ってくれないかご主人様!」


 先程別れたばかりの天先輩が小走りでこちらに向かって走ってきた。


「どうしたんですか先輩? ……というか割と大きめの声でご主人様呼びやめてくんない? 誰かに聞かれたらどうすんだよ」

「その時は正式に”彼が私のご主人様です”と声高らかに告げて皆に広めていこうと思っているかな」

「なにその俺にだけホラー的展開!?」

 

 ただでさえ今現在景ちゃんと心がどういう状況になってるか分かってないのにこれ以上複雑化しないでくれない? 泣きたくなるわ。

 勘弁してくれ、と呆れて頭を抱える俺に天先輩は自身のスマホを近付けて言った。


「そ、そのご主人様……嫌だったら嫌で良いのだけれど、できれば連絡先を交換してもらえないだろうか……?」

「先輩すいません。俺スマホ持ってないんですよ」

「そうなのか。 ……ん? その手に持っているのはなんだい?」

「……んー」


 先輩の言葉を聞き目線をソッとやると、液晶の付いた板状の黒い見覚えのある携帯端末が手元にあった。ていうか俺のだった。


「それはスマホじゃないのか?」

「あ、はい」

「……交換してもらえるかな?」

「いやまぁ……正直先輩に連絡先を教えたくないのが本音なんですけど」


 そう発言した瞬間俺は後悔した。いけないまたこの変態の喜ぶようなことを言ってしまったと、だが先輩様子は少し違った。


「……そうか嫌なら別に良いんだ。悪い事を言ってすまなかった。気をつけて帰ってくれ……」


 今までに見た事ないくらい悲しそうな顔で去ろうとする先輩。

 いやなんでこんな時だけ割と本気で悲しんでんだよ、と心底思った。この変態めんどくせぇと、


「と思ったんですけどやっぱり交換してもらえません!? 先輩と話したいなーって思ってたんですよー!!」

「そ、そうかい? な、なんだご主人様にも可愛らしいところがあるじゃないか! 仕方ないねぇじゃあ交換してあげよう!」


 うっざ! この変態うっざ!!

 自分のスマホの画面にQRコードを表示させ先輩のスマホでそれを読み込むとお互いに連絡用アプリに”友達”として追加される。こう考えると乱華より早く天先輩と連絡先の交換をしてしまっているが、気にしなくて良いだろう。


 バレないようにしようと決めたけど……。


「そう言えばご主人様なんでも相談して来てくれていいんだぞ!!」

「え、なにをですか?」

「決まっているだろう! ____乱華の“ストーカーに関する事”でだよ!」

「あ……はい。わ……かりました……」

「よし! ではまたなご主人様!」

 

 俺に耳打ちすると先輩は自分の家へと走って帰って行く。取り残された俺は一人先輩に伝えた話を思い出してみることにした。



『なに? フリだと? いったいどういう事だご主人様』


 先輩に付き合ったフリをしているんだと告白した時、変わらず殺意を漏らしている先輩に俺は生唾を飲み込んで喉を潤わせ伝える。


『実はですね先輩。乱華は今ストーカーの被害に遭っているらしいんです』

『なに? ストーカーだと?』

『はいそうです。まだハッキリとは分かってないらしいですけど、ストーカーに付き纏われているみたいで、それをなんとかする為に俺と付き合うフリをすることにしたんです』

『……それは乱華の案かな?』


 いえ俺の案です、と嘘に嘘を重ね応えると先輩は続けて言った。


『なるほど。……一つ聞きたいのだがそれは付き合うフリをする事で逆に相手を逆上させる結果に繋がる可能性はないのか? 本当にストーカーだとしたらそれくらいのことはしておかしくないだろう』


 ぐっ……雌豚でも流石完璧生徒会長だ、頭の回転が速いな。だが俺も伊達に今まで嘘ついてきたわけじゃない!


『先輩の言いたいことも分かります。ただ乱華が言うには被害という被害もまだ殆ど出てないらしいんです。”多分付き纏われてる”だけでちゃんと相手の姿も把握できてないみたいで、確証はないけど限りなく”黒”に近いかも? って状況らしいようです。乱華曰く』

『ふむ……敢えて誘き出して解決する。そういう事かな?』


 その通りです、と俺は応える。


『先輩は良い意味でも悪い意味でも影響力のある人です。そんな先輩の妹に何かあったら”ただの大事じゃ済まされない”ここまであまり姿を見せないストーカーなら既にそこまで頭を使って考えている可能性があります。感情的に動きずらい相手なら敢えて感情揺さぶって捕まえてみせます』

『なるほど……』


 先輩は再び手を顎に添えて目を閉じ思考する。

 まああれだ、よくここまで有る事無い事言葉が出てくるわ。我ながら詐欺師に向いているな。

 そしていまだ思考し続ける天先輩に俺は最後の一押しをする。


『乱華が言わなかったのは今年受験生の先輩のこと気を遣ったから、できればこのまま気付かなかったことにしてくれると嬉しいです。乱華の意を汲んでください』


 どうだ!? 妹が自分の事を想ってした行動となれば無視できないだろう!? おまけにこれなら良心に問いかけているのもあって、乱華に追求することもないだろう!! 完璧じゃない!?


『……私のことを思っての事なのはよく分かった。この事は聞かなかったことにしよう。本当にご主人様は優しいな……』


 うっしゃ!! 俺は先輩に見えないように小さくガッツポーズをする。

 刀から手を離すと先輩は先程までの怖い顔を崩して笑みを溢し言った。


『でもいくら嘘でも勘弁して欲しいものだね。付き合う? ふっ笑えないね。こういうことは事前に話してくれないと次は許さないからねご主人様』

『あ、はい……』


 なんでまた刀向けているんですの??



 とりあえず根本的な解決はしてないが、ひとまずこれで天先輩を止める事に成功したわけなのだ。

 疲れたよパトラッシュ……、いや本当割とマジで疲れた。刃物向けられるのに慣れ過ぎて動じなくなった自分になんか悲しさを覚えてきたわ。


 そしてまだ問題がある。スマホの連絡用アプリを見ればその問題が分かるのだが、


【未読三件】


 この未読はさっき速攻で天先輩から送られてきたものだ。早速未読無視しているのだが、それよりも重要なことがあった。


「心と景ちゃんからの連絡がない……」


 そう、いつもウザいくらい連絡してくる二人から今日は一回も連絡が来てないのだ。その異常性に恐怖する。


「……やばい。どうしよう家帰りたくない……」


 心も怖いのだが、今まで味方だった景ちゃんがもし敵になったら? そんな事を考え俺の身体は既に尋常じゃない程に震えていた。



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