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親友ポジションに憧れる俺は彼女達に狙われている  作者: 瑞柿けろ
第一章 ここから始まる親友ポジション

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第30話 放課後デートは爆弾と共に




 学校を離れ、乱華ちゃんとの帰り道。

 本来であれば、近くのアパートに帰るだけだったのだが、突如アクシデントが発生していた。

 隣に視線を向ける。

 隣と言っても、彼女との身長差がある為、やや下向きに見つめる形になった。

 すると、乱華ちゃんは俺の視線に気付いたのか、意地悪そうな笑みを見せる。チラリと見える八重歯に思わず心がときめいてしまったわけだが、


「んだよジロジロ見て」

「あ、いや別に……」


 こんなにも可愛らしい外見をしておいて、どんだけ男らしい口調で話すんだよ。ガラ悪いし。

 

「ところで乱華様ちょっと聞いて良いか?」

「んだよ」

「俺は今乱華様を家に送るために一緒に帰っているんだよな? あの山に方にある神社の方だろ?」

「そーだな」


 じゃあ聞くけど、と言葉を続け疑問を投げかけた。


「なんで俺達は逆の方向の商店街にいるんだ?」


 そう。俺達は現在何故だか知らないが、神社とは全く別の方向にある商店街を歩いていた。

 何故だか知らないと言うのは、学校を出た時点から腕に抱き着いた状態の乱華ちゃんに引っ張られ先導される形で歩いていたからなのだが、女子に抱き付かれるのは嬉しいものである。相手が貧乳(断崖絶壁ちゃん)でも……。


「おい、今変なこと考えなかったか?」

「そ、そんなことないでござるよ……?」

「なんでござるなんだよ。口調バグってんぞ」


 いやそれ特大ブーメランだからな? って言いたいけど後が怖いから辞めておこう。言ってやりたい。ツッコミを入れてやりたいけど自分の命が大事だ。

 首のチョーカーを撫で改めて自分の命が握られているのを実感していると乱華ちゃんが不敵な笑みを浮かべ、


「なぁ私達は付き合い始めたよな」

「ま、まあ強制的だけどな」

「あ? 不満か?」

「い、いや乱華様と付き合えて幸せです!」

「おうそうだよな。そうやってもっと私を喜ばせろ」


 なんだろうその台詞……こんなに小さくて可愛い後輩なのに大魔王にしか思えなくなってきたわ。

 

「で、まだ分からねぇか?」


 乱華ちゃんは俺に何かを気付かせたいようだがどう考えても残念ながら乱華ちゃんが何を言いたいのかよく分からなかった。

 そんな俺の態度に痺れを切らし『ったくしょうがねぇな』と笑いながら言い放った。


「放課後デートはもう始まってんだぞ? 楽しまなくてどーすんだよ♡」

「マジかもうデートは始まっていたのか……」


 こうして俺の人生初のデートが始まった。



「おー乱華ちゃん! 学校帰りかい? 何か買ってくか?」

「おじさんごめーん! 今ちょっと用事あるからまた買いにくるねー!」

「乱華ちゃん頼まれてたお花今日神社に持って行くね」

「いつもありがとうおばあちゃん!」


 商店街に入り歩くたびに店の誰かしらに声をかけられ、乱華ちゃんはそれに笑顔で応える。そんな姿を眺めていると、乱華ちゃんは俺の視線に気付き額に皺を寄せた。


「んだよ……」


 正体を知っている俺に可愛子ぶって話す姿を見られ、明らかに嫌そうな態度をとる乱華ちゃん。俺はその姿に思った事を口にした。


「あ、いや可愛いなと思ってな」

「ふーんそうか……って、ハァァ!?」

「ちょ、うるさいうるさい! 耳元で騒ぐなって」

「いやお前が変なこと言うからだろ! ……お前さっきの見てたよな? あれのどこが可愛いんだよ。私の本性知ってる癖に……“それ”を外してもらう魂胆が見え見えなんだよ」

「外してもらいたいのは事実だけどな」


 割とマジで、とそこをハッキリ強調し、


「最初は驚いたよあまりのギャップにな、でももうそんな気になんなくなってきたし可愛いって思ったのも事実だぞ」

「お前ヤバいな首に爆弾付けられて脅迫されてる状況なのに……頭大丈夫か??」


 その爆弾を付けてきて脅迫してきた張本人に言われるとは思わなかったわ。逆に聞くけど頭大丈夫かな?


「正直爆弾には焦ったけど、ここ最近色々命の危機があったからあまり動じなくなってきてな……」

「……爆弾で動じないお前の状況が心配だけれど?」


 なんだったら君のせいで間違いなく皆との関係悪化したけどね? 心になんて説明しようか考えただけで帰るの怖いもん。と言ってやりたいがとりあえず話を進める。

 

「乱華様にも心配する良心があることが分かって俺は安心したよ。ま、それは置いといて話戻すけどさ乱華様は関係を保つ為に猫被ってるだけだろ? 騙すとかじゃなくて」

「まーそうだけど……」

「誰もが皆本音で話せるわけじゃないし、別に自分の内面なんてわざわざ見せなくて良いんだよ。長く関係を続けたいとか、この人なら見せても良いっていつか自分で決めればいい」

「……」


 黙って話を聞く乱華ちゃんに俺はハッキリ言った。


「さっきは猫被ってるとか言ったけどさ、悪いことじゃないだろ。そうやることで円満に人間関係が回れば良いと思うし」

「……私はただ誰にも嫌われたくないだけだよ」

「良いと思うぞそれ。嫌われたくないから”嫌われない自分を作る”それを嘘と捉える人もいると思うけど、俺はそれは頑張ってて凄いと思うよ。その頑張ってる姿がなんか可愛く見えただけだ」

「……さっきからやたら上から目線だな」

「これでも歳上だからな」


 一歳しか変わらないだろ、と乱華ちゃんがぼやいているがまあ良いだろう。

 

「まああれだよ。あまり無理すんなよ後輩? なんかあったら愚痴ぐらい聞いてやるよ」

「誰がお前に話すかよ。……お前って呼ぶのもめんどくさくなってきた。おい”透”」


 突如乱華ちゃんの口から溢れた自分の名前に驚いていると、乱華ちゃんは照れくさそうに頬を指で突きながら、


「その”様”ももう気に食わないから辞めろよ。命令な」

「じゃあ乱華ちゃん」

「ちゃんもやめろ」

「……乱華?」

「おう透……」


 何故かお互いに顔を直視出来ず地面に目線を逸らす。なんか物凄く小っ恥ずかしくなってしまった。

 しばしの沈黙の後、意を決して俺は乱華に手を差しだす。


「いつまで続くか分からないけどやるなら本気(マジ)だ。よろしくな乱華」

「……チョーカーがある限り私の物だからな……よろしく透」


 強く握手を交わした俺達は本当に僅かにではあったが分かり合えた気がした。


「試しに外したりなんかは……」

「ない」


 ですよねぇ……。






        ~おまけ~






「じゃ、じゃあせっかく放課後デートしてるわけだしなんか奢るわ……。乱華たい焼き食べるか?」

「え? ……あ、あぁ欲しい」

「あんこで良いか?」

「え、嫌だ。クリームにしろクリーム」


 あの初々しさは何処はやら一瞬で元に戻る乱華。その姿に不覚にも笑みが溢れてしまった。

 たい焼き屋のおっちゃんに注文をし、二人分のたい焼きを貰うと片方を乱華に渡す。そして二人で食べ始めようとした時____何かが俺の持つたい焼きを通過しその直後、


 パァンッ!!


 俺のたい焼きが爆散した。


「えっ?」


 跡形もなく吹き飛ぶたい焼き、残ったのは俺の手が添えてあった下半身の“尻尾”のみ。

 俺の額から汗が滴り事の重大さが、思考が追いつかない俺の頭にゆっくりだが確実に流れ込んで来る。

 

 ようやく始まったようだ。


 残された尻尾だけを口に頬張り僅かに入ったあんこを噛み締め俺は悟った。


 俺、今日死ぬかもしれない!!!


「へ、透食べるの早っ」

「あぁ聞いてくれ乱華。さっき俺のたい焼きが爆散してな?」

「なに馬鹿なこと言ってんだよ」


 いや信じてマイハニー??



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