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親友ポジションに憧れる俺は彼女達に狙われている  作者: 瑞柿けろ
第一章 ここから始まる親友ポジション

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第22話 星詠み神社の巫女が勝負を仕掛けてきた(果たし状)




「やっぱり先輩だったんですね。場所の指定が武道場だったんでそうかと思っていましたよ」

「ん? ああそうか済まない。名前を書いたつもりでいたんだが忘れてしまったようだ」


 よく私だと分かったね、と素直に謝罪する先輩に調子が狂ってしまう。

 成績優秀でスポーツ万能、さらには性格も良い本当に完璧な先輩なのだが、今現在が真剣な面持ちではあるがコチラに優しい笑みを向けてついでに刀も向けている。なんだったら笑みの方がついでかもしれない。

 

 なんだこの状況、美少女から刃物を向けられるなんてこんなこと普通じゃないだろ。

 ……って、ここ最近の俺からしたら少しも変じゃなかったわ。もはや刃物慣れっこまである。世の先端恐怖症には申し訳ない限りだ。


 すると俺はそこでふと思い出したことを聞いてみることにした。


「そういえば先輩に一つ聞きたいんですが」

「なんだい?」

「俺に書いたのってあの果たし状だけですか? 俺が来なかった時の為にもう一枚書いてたとかは……?」

「ん? いいやそんなことはしてないよ? 君は必ず来ると思っていたからね。これでも私は君のことを高く買っているんだよ」

「そうなんですか? ならその刀は置いて話し合いで解決できませんか?」


 あははそれはできない相談だ、と先輩は笑ってはいるが視線を俺から離す気はないらしい。

 それにしてもなるほど先輩はあのラブレターを知らないのか……なるほどなるほど、


『これは本当にマジのラブレターなのでは!?』


 あまりの嬉しさに思わずにやけてしまう。


「ん? どうしたんだいいきなり笑って?」

「え!? あーいや別に!?」

「先輩?」


 あ、危ない危ない。つい表情が緩んでしまった。

 景ちゃんにバレたらヤバいから気をつけなくては……、そう考えていると、


「どういうことなの……?」


 唐突に背後から声が聞こえた。振り返って見てみるがその正体は分かる。


「どうして天さんがとー君に刀を向けているの?」


 そう言って戸惑っている真白に先輩は気付いたようだ。


「やあ真白君こんばんわ、君がいるなんて驚きだよ。どうしたのかな? こんな時間にこんな所にいたら危ないよ? 最近は物騒なんだ通り魔が出たらしいしね」


 俺からしたら通り魔は先輩っすよ、とつい言うと先輩は声に出して笑った。


「それは言いえて妙だ。上手いね雨上君」


 先輩笑えないっす……

 

「それに君もやはり来ていたんだね。海野君」

「こんばんは東鐘先輩」

「うんこんばんは海野君。それでどうなのかな? 君はまた止める為に来たのだろうか。それは非常に困るな、これは私と雨上君の決闘だからね」 

「……先輩知ってます? 決闘って罪に問われるんですよ?」

「え、そうなの? ……あ、いやもちろん知っていたよ?」


 おい先輩? 今『え、そうなの?』って聞こえたからね?


「ていうか景ちゃんちょっと待って? それ確か応じた方も罪に問われちゃうから……って、俺の記憶が正しければ立会人になるのも罪になるからね?」

「え、じゃあ私ヤバいよ! どうしよう罪に問われちゃうよとー君!」

「とりあえず落ち着け真白」


 思ったより取り乱す真白を落ち着かせていると、景ちゃんは言葉を続けた。


「先輩方大丈夫ですよ。誰にも言う気ありませんし、それに____先輩が負けるわけありませんから」

「凄い自信だね」


 そこで真白も続ける。


「天さん私はただついて来ただよ。これでも幼馴染ですから」

「別に貴女いなくてよかったですけどね」

「通り魔ももし真白を狙ったりしたら終わりだな。運の無い自分を呪いたくなるな」

「ちょっと二人共聞こえているからね?」


 やば真白さん眉間に皺が寄ってらっしゃる。全くもう、と真白は呆れてため息を溢すと、


「それで? 先輩はどうしてこんなことを?」


 再度先輩に声をかける。

 

「……細かいことは言えない。ただ私は”星詠み神社(ほしよみじんじゃ)”の者として、神に仕える巫女として心君が女の子になった原因を作った雨上君、君をこの手で始末させてもらうよ」

「まーた心絡みですか……」

「また?」

「あーいや気にしないでください。こっちの話です……」


 どうしたのかな? と不思議そうにコチラを見る天先輩。

 そりゃ言えるわけない。心関係で絡んできたのが先輩だけじゃなくて後ろにいる真白もなのだから……。

 でも俺は先輩の言った”巫女”という言葉に何故か強く惹かれた。


 すると先輩は刀を鞘に納め構え直し、


「さてと、ではいつまでも話してないで始めるとしようか」

「そうですね。……ちなみに先輩は(それ)を使うんですか?」

「うんそうだよ。雨上くんは“それ”かい?」


 はい、と先輩の問いに俺は素直に答え、背負ったケースから”金属バット”を取り出し構えた。

 先程野球部の部室から拝借してきたのである。ちなみに鍵が掛かっていたのだが景ちゃんの腕力でぶっ壊した。


「これさえあれば先輩の刀も怖くな____」

「ッ!!!」 


 瞬間、勢いよく風が吹いた。

 なにが起こったかよく分からないでいると、目の前の天先輩がいつの間にやら抜刀していた。先輩は目を閉じ再度ゆっくりと納刀する。

 

 そこである疑問に気付いた。先程まで手に持っていた金属バットがやけに軽かった。ゆっくりとバットに目線を向けると、何故かグリップから先がない。

 困惑していると甲高い金属音が武道場内に響き、音の聞こえた先を見ると壁に当たり畳に転がる銀色の塊があった。

 

 いやあれ……金属バットの上の部分じゃね?


「この刀は星詠み神社の巫女に代々継承される名刀”枝垂桜しだれざくら”……バットなんかで止められるとは思わないことだね」

「あ、はい。たった今止められないのを思い知りました……」


 どうしよう景ちゃん……、と後ろに助けを求めると、


「はぁー、なに情けない声出してるのとー君……これでも使って」


 真白はそう言うとコチラに何かを投げる。その畳に突き刺さった“ナイフ”を俺は掴んで構えた。


「私のナイフは特製だからそうそう壊れないから……無理だと思うけどやれるだけやってみたらいいんじゃないかな?」

「……ありがとう真白……」


 準備は出来たかな? と真白に礼を言う俺を待ってくれていたのか先輩はコチラに改めて確認してきた。俺は静かに頷く。


「やっちゃってください先輩!」

「おう景ちゃん!」


 普通に始めようとしているが無策で決闘しようなんてそんなことある訳ない。

 見せてやるよ俺と景ちゃんで考え出した作戦! その名も____




 『『”H.M.T.作戦”!!!!』』



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