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親友ポジションに憧れる俺は彼女達に狙われている  作者: 瑞柿けろ
第一章 ここから始まる親友ポジション
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第19話 人生初のラブレター!? うひょー!




「透帰ろー!」

「おうそうだな」


 帰りのホームルームを終えると、待っていましたとばかりにすぐ、心が俺の席にやってくる。

 まだ帰る準備を済ませていなかった俺は素早く支度を済ませ心と共に教室を後にした。


 いつものように親友と、いつものように家へ帰る。今日も色々なことがあった。

 相変わらず愛の重たい心、他にも真白と昔ほどではないが普通に話をしたり、それに杏理のお弁当練習の約束と本当に色々なことが起こった。


 だがなんだろう。嫌われていると分かっていた相手と仲良くなれたのは正直嬉しいものがある。


「どうしたの透?」

「なにがだ?」

「ん〜なんか笑ってるからどうしたのかな? って」

「マジで? 気付かなかった」


 どうやら気付かないうちにいつの間にやら笑みを溢していたようだ。

 ただ現在進行形で起こっている大変な事を解決しなければ、と忘れてはいけないこともある。


 そうこうして教室から出てしばらく、昇降口までやって来た俺は下駄箱を開ける。するとそこには靴の他になにやら紙のような物が入っているのが見えた。

 

 瞬間____俺は素早い動きで下駄箱を閉めた。


「? 透どうしたの?」


 まあもちろんのこと俺の行動を疑問に思った心は声をかけてきた。

 俺が咄嗟に隠したのは心にバレてはいけないと本能的に思ったからだ。

 なぜか? それはあの紙がもし”ラブレター”であった場合俺は恐ろしい目に合いそうだからである。

 自惚れに聞こえてしまうかもしれないが、少しでも可能性があるなら回避したい。


 それにこれが心だけでなく景ちゃんにバレても危ないのだ。マジでシャレにならない。


「あ~心悪い先生に用事があったの忘れてたわ。悪いけど先帰っていてくれないか?」

「用事? 大丈夫だよ終わるまで待ってるよ」


 ぐっ……そう来るか。なら、


「いやさ母さんから進路のことで話しとけって連絡来てさ、待たせるのも悪いしだから先帰っていてくれ」

「進路? ……え、透一緒の大学行くよね? 僕達離れ離れ(はなればなれ)にならないよね!?」

「そういうのも含めて話すんだよ。大丈夫離れ離れになんかならねぇよ」

「ほんと?」

「おう本当だ」

「僕……透と離れ離れになったら____ナニスルカ分カラナイヨ……」


 悲報、俺いったい何されるのだろうか。

 予想できること以上のことが起こると考えたら震えが止まらない。

 瞬き一つもせず感情の無い真っ黒な目で見られると、恐怖で身体が動けなくなる。どうにかしないと……そう思った時、廊下を歩く一人の先生がいた。

 そしてその先生から声が掛かる。


「おーう雨上と鍵咲じゃないか。まだ帰ってなかったのか?」

 

 女性特有の少し高くそれでいてやる気の無さそうな声を聞き、俺は脳で考えず本能的に動いて先生へ近づいた。


 それはセミロングの紫色の髪を後ろに束ねた我がクラス担任教師の”奏芽 紫(かなめ ゆかり)”先生、皆からのあだ名は”ゆかりちゃん”である。


「ゆかりちゃん丁度良かった!」

「紫先生ね。なによ雨上いきなり」


 俺はこっそり耳打ちする。


『ゆかりちゃん今は俺に会話を合わせてほしい! お願い!』

『ふーんなんか面白そうだな。……ジュース一本奢りだぞ?』

『ぐぬぬっ……わ、分かりました』


 この女本当に教師なのか? 生徒に要求するってどうなのよ? って、そんなこと今は良い。ジュースの代金分は協力してもらおう。


「ほらゆかりちゃん進路のことで相談したいって言ったじゃないですか! 他にも親に言われた事で色々話したいって」

「んー? ゆかりちゃんー?」

「……紫先生」

「えー? そんなこと言ってたかぁ~? 雨上~」


 このクソ女!! なんてゲスイ顔してやがる!! 畜生こうなったら――ッ!!!


『ジュースもう二本追加します!』

「おーそういえば言ってたな雨上。じゃあ相談室で待ってるから来いよー」

「クッソ! ……はい分かりました紫先生! ____な、見てたろ心? ちょっと俺行ってくるから後で会おうぜ」


 ゆかりちゃんが面白そうに笑いながら手を振って去るのを見て心に言った。すると心は、


「……うん、じゃあ先帰ってるからね透……」


 そう言ってトボトボ悲しそうな背中を見せて帰って行く。

 なんか悪いことをしたような悪い気分になったが今はそれどころじゃないのだ。


 心が校門から出ていなくなるのを見送ると、俺はすぐ下駄箱から紙を取りその正体を見た。


「え……」


 それはラブレターと言うにはあまりに荒々しい物であった。正直なところもっとハートのシールとかが貼ってある方が気分的に良かった。初のラブレターかと思ったんだそんな夢を見ても良いだろう。

 傍から見て分かるくらいショックを受けていると、突如身体が動かなくなり首元にヒンヤリした物が当たる。


 そして聞こえる声____


「見ーちゃった見ーちゃった。心ちゃん悲しそうだったなーこれはナイフが滑っちゃうなーあーあ」

「ちょちょちょちょ!? 真白待ってくれこれには深い事情があるんだ! 待ってくれ!!」

「えーなんだろー聞いてもいいけど手が滑りそうだなー? 心ちゃん可愛そうだったなー泣きそうな顔してたなー」


 ヤバい! ナイフに力が入ってる! マジでヤバイって!!


「真白とりあえずこれを見てくれ!! これをラブレターかと思っちゃったから心にバレないようにしたんだよ!!」

「……? いったい何言って____」


 そう言ってナイフに力を入れようとした真白は俺の見せた紙を確認すると目を見開き言った。


「果たし状??」


 驚き手の力を抜きナイフを戻した。


 そう、俺は人生初のラブレターではなく、人生初の果たし状を貰ってしまったのだ。




        ~おまけ~




 失礼します、とドアをノックして相談室へ入る。


「おー雨上待ってたぞ。報酬は持ってきてくれたー?」

「持ってきましたよ。はいジュース三本、炭酸とかでもいいですか?」

「いいぞいいぞ。ありがとな雨上―!」


 そう言って受け取った飲み物から早速一本開けてゆかりちゃんは飲み始める。

 全く我が担任ながら憎たらしい奴だ。

 

「雨上なんであんなお願いしてきたのか知らないけど、あまり問題起こさないようにしなさいよね?」

「ゆかりちゃん……心配してくれてありがとう」


 なんだ厄介な人かと思ったが、なんだかんだ意外と生徒想いな先生だったのか?


「あれよ? 私にだけは迷惑かけるんじゃないぞ? これ絶対だからな」

「そっちが本音かよ」


 さすがゆかりちゃんブレなさ過ぎて安心したわ。



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