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第15話 真白「嫌い! 本当に大っ嫌い!」




 景ちゃんで一泊した次の日、俺はコンビニに来ていた。ちなみも一緒に景ちゃん来ようとしたが適当な理由をつけて一人で来たわけだ。


 女の子の家で一泊とはいえ何もなかった。

 景ちゃん程のストーカーになると、どうやら人生設計がだいぶ出来ている様で、今はイチャイチャしたい時期らしい。


 なんといっても景ちゃんの感覚では俺達は好き同士の恋人一歩手前らしいからな。

 やべぇ……俺の周りにはヤバい女の子しかいないのかよ……。


 どうしたもんかと考えながら買い物を済ませ店を出た時、


「「あ」」


 目の前に暗殺少女 琴凪真白が現れた。



「えっと……おはよう琴凪」

「おはようとー君」


 言っても昼前だけどね、と言う琴凪はそのまま言葉を続けた。


「どうしてここにいるの? とー君の家からこのコンビニ遠いよね?」

「ん? あーいや買いたいものがあってさ、探してたらここまで来たんだよ」

「にしてはどこにでもある飲み物しか買ってないみたいだけど?」

「……」


 よく見てやがる。適当に嘘をつくんじゃなかった。

 景ちゃんの家に泊まっていたことがバレるわけにはいかないと嘘をついたがミスったかもしれない。俺はすかさず話を変えた。


「琴凪も熱心だな。そんなに俺のこと殺したいのか?」

「……殺したいのは事実だけど、勘違いしないでねとー君。今日の私は用事があるだけなんだよ」

「用事? どんな?」

「……言う必要あるかな?」


 俯き嫌そうな表情を見せる琴凪に俺は更に言葉を続ける。


「いやまあ言いたくなければいいけどさ、なんか泣きそうな顔してるぞ? 困ったことでもあるのか?」

「……別にとー君に関係ないよ」

「言ってみろって、言うだけならタダだろ?」

「……」


 琴凪はしばらく黙っていると、ため息を溢し諦めた様に語り出す。


「……昨日、心ちゃんと買い物行ったりしたんだけどね。その時買った物を無くしちゃったの……」

「無くした? 何を無くしたんだ?」

「……熊のキーホルダー」

「熊? へ〜意外と可愛い趣味してんな」

「……殺す」

「待て待て待て! 今ナイフを出すな!」

 

 周りの目があるだろう、と琴凪の手を押さえる。

 勘弁して欲しい、コンビニの定員や客だっているんだ。なんだったら店を出たばかりなのだ道行く人もいる。

 そのように理由を伝えていると、ようやく理解したのか琴凪はナイフをしまった。


 俺はそれを見て安堵し、


「じゃあ行くか」

「え、何処に?」


 突然のことに困惑した様子の琴凪に告げる。


「探すんだよ。行くぞ」

「……」

「……なんだよ」




「とー君のそういうとこ本当に嫌い……」

「なんでだよ」







 嫌そうな顔をしている琴凪に着いて行き、昨日心と行った店など場所をひたすら通って探している。かれこれ二時間くらい探しているが見つからない。

 メッセージアプリをソッと見ると、景ちゃんからいつまで経っても帰って来ないことが気になったのか幾つかメッセージが来ていた。

 俺はそれに対してただ一言送る。


【ただいま作戦遂行中】


 それもすぐ既読になり、全てを察したのか景ちゃんから【了解】と送られてきた。

 さすが景ちゃんストーカーなのを除けば空気も読めるし頼りになる存在だ。


「ねぇとー君」


 と、スマホをしまうといつの間にやら公園に着き、目の前で歩いていた琴凪から声が掛かった。


「なんで一緒に探してくれるの? 自分で言うのもなんだけど私とー君のこと殺そうとしてるのに」

「自覚あるならやめてくれない?」


 それは無理、と即答される。

 なんでだ。


「まああれだよ。殺されるのは困るけど、それは心の事を想ってのことなんだろ? だったら俺は死なないように頑張るだけだよ」

「……って言いながら後輩の手を借りてなかった? というかあの子なんなの一体……」

「……お、俺もよく分からないんだ」


 ふーん、と素っ気なく答える琴凪は再び口を開く。


「それに心の友達が困ってるんだ。俺はアイツの親友だからな手伝うのが俺のルールなんだよ」

「……とー君が心ちゃんと付き合えば私は手を出さないけど」

「それは無理な話だな。心には俺と関係ないところで幸せになって欲しいんだよ」


 幸せになって欲しいってとこは琴凪と変わらないだろう? と言うと僅かに顔を見せた琴凪はなかなか怖そうな顔をしていた。

 だってしょうがないだろう。もし仮に心と付き合ったとしたら今度は景ちゃんが恐ろしい。


 いや本当にあのストーカーを本気させるのは絶対危ない気がする。


 そう思い景ちゃんのことを考えあることに気づくと、俺は地面に目を向けた。

 

「俺も心のことが嫌いなわけじゃないんだ。まだ戸惑ってるんだよいきなり親友が可愛い女の子になってさ」

「……可愛い……そうは思ってたんだ?」

「そりゃ思うわ。うちの親友可愛過ぎだろって」

「……私の幼馴染でもあるんだけど……」


 頬を赤く染めて口を尖らせ言う琴凪。

 お、なんだ? 嫉妬か?


 さすが心好かれ過ぎだろ、とアレ? もしかして、


「琴凪はあれだろ」

「ん? どうしたの?」

「心の事まだ好きだろ」




「ななな! なにいきなり!?」

「いや見てたら分かるしな、そんな驚くことか?」


 顔を真っ赤にしてナイフを持つ琴凪はかなり慌てている。俺は思ったことを告げた。


「そのままで良いだろ」

「……なに言って」

「心が俺のこと好きだからって、お前が諦めなくていいだろ」

「……」

「琴凪は嫌だろうけど俺だって一応お前の幼馴染なんだぞ? お前は色々我慢し過ぎなんだよ」

「……」

「優しいよな本当」


 黙り込む琴凪に俺は先程()()()物をぶら下げ見せた。

 あっ、とそれを見て琴凪は声を漏らす。


「これだろ熊のキーホルダーって、さっきそこで落ちてたぞ。ほら」


 ありがとう……、とそれを受け取った琴凪は大事そうに両手で握りしめる。


「可愛いな」

「え、何いきなり!?」

「あ、いやキーホルダーがな?」

「……死ね」


 無言でナイフを投擲する構えをとる琴凪から俺は即座に離れ、


「じゃ、じゃなこれで大丈夫だな! またな琴凪!」

「嫌い! 本当に大っ嫌い!」


 殺す絶対殺す! と叫ぶ琴凪からすぐ距離を取り走り出した俺、久しぶりに結構琴凪と話したがなかなか可愛いところのある暗殺者だな。

 だが照れる度にナイフを構えられたらたまったもんじゃないな。すると背後から琴凪の大声が届く。


「真白だよ! 昔は呼んでくれたでしょ! また呼んでねー!」


 本当に久々に可愛い幼馴染を見れて嬉しいな。



 こうして作戦一回目が終わった。



 

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