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親友ポジションに憧れる俺は彼女達に狙われている  作者: 瑞柿けろ
第一章 ここから始まる親友ポジション
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第12話 不審者さんだー!



「ありがとうございましたー」


 レジで支払いを済ませて店員さんからの挨拶後、スーパーを出ると時間は六時を過ぎ周りが暗くなってきた。俺は手にぶら下げた袋を見下ろす。

 中に入ったソースとマヨネーズ、それに鰹節と見覚えのある材料に夕飯の内容を考えると口元が綻ぶ。


「夕飯はお好み焼きとみた」


 そう夕飯の予想をし、マンションまで帰っているとスマホからメッセージアプリの通知が響く。スマホを覗くとそこには”杏理”の二文字。


【聞いてよ透えも〜ん!】


 しょうもないメッセージに気が抜け思わず笑ってしまう。

 今まで杏理とは関わっていなかったが、どうやら彼女は一回興味を持った相手には大分距離感が近いようだ。

 

【どうしたんだい? 杏理君?】

【女の子に君付けはなくない?】


 さっきのノリはどこへやら、急に冷静なメッセージを送ってくる杏理に思わずツッコミを送るとそれすら華麗にスルーして再びメッセージが送られてくる。


【さっきまで心太郎と通話してたんだけどね】

【おう】

【聞いても驚かないでね?】


 こうやって普通にメッセージを送ってくるが、おそらくだが杏理はまだ”心”のことを受け入れられていない。

 見れば分かる。だって”心太郎”って言ってるし……とりあえず置いておくとして、


 俺は滅多な事がない限り動じないぞ、と送るとすぐに既読が付く。

 そこからしばらく返事がないが、杏理のやつなにを溜めているんだ? 相当な事じゃない限り俺が驚くわけ____


【心太郎好きな人がいるって!】


「ファーー!?」


 俺の手からスマホが滑り落ち、すかさず掴み直す。

 あっぶな! 危うくスマホ落とすところだったわ! 俺が動じるレベルの相当な事だった!


【やっぱりいくら女の子になっても好きなのは女の子なのよ! どうしようもしかしたら私かもしれないわよ!! どう思う透!?】

「……」


 ごめんなさい。その好きな人まず間違いなく俺です……。


 今このメッセージすら杏理はニコニコしながら送っているに違いない。どうしようか……。

 悩んでいるとコチラの無反応に対するメッセージが送られてくるが、俺は即座にメッセージを送った。


【悪いな眠くてウトウトしてたわ。話の途中で悪いけど寝とくわ】

【え、寝るってアンタまだ六時過ぎだけど? お、おじいちゃん過ぎない?】


 マズった。流石に無理があったか。


【まあでも明日出掛ける用事あるとかアンタも色々忙しいわよね? ごめんなさいね? 明日またメッセージ送るからまた話しましょ。お休みなさい】


 え、めっちゃ良い子だこの子。

 今まで態度悪くて苦手だったけど凄く良いやつだ。

 ただその好きな人の件がバレたらヤバイ予感がする。この事も景ちゃんに話しておかないと、そう思いスマホを閉じた時だった。


「止まれ」


 街灯に照らされた人気のない道に突如前方から響く声。それは声が篭っていて性別が分からない。

 服装はダボダボなパーカーを着てフードを深々と被っていて、ただでさえ暗いのにより分からなくなっている。


 何より恐ろしく俺の目を引くものがそのフードの奴の腰にあった。

 そいつはそれを鞘からゆっくり引き抜くと俺に向けて構えて言い放った。


「君には悪いがここで死んでもらう」


 フードのそんな言葉と共に、月と街灯に照らされたのはまさかの”刀”だった。


 俺が何をした……。







「____ッ!?」

「……チッ」


 目にも止まらぬ速さで俺の横を上段切りが通り過ぎる。

 するとフードはすぐさま距離を取り、再度踏み込み刀を振るう。早い、早いが……


 なんだろう読み易い感じがする。

 最初は琴凪かと予想したがアイツならわざわざ隠す事はしないと思うし、わざわざ姿を現さないと思える。

 というか琴凪(アイツ)の方が明らかに上手い。真剣は怖いが正直逃げに徹していればそうそう当たることはないと思う。


「……」

 

 いやなんだろう。我ながらこんな状況に適応していて悲しくなったが、


「なんだろう? この感じ」


 刀を振るうその姿に何故か既視感を覚えた。

 実際に身近に刀を持っている奴なんかいれば一生忘れない。


 でも何処かで____あれ、もしかして?

 

 俺にずっと避けて続けた結果、焦りからか息を切らすフードの刀から離れると俺は疑問を投げかけた。


「もしかして……東鐘先輩ですか?」

「ッ!?」


 俺の質問にしばらくフードは黙っていたが、先程まで構えていた刀を一度鞘に納めフードを取った。

 現れたのは長く濃い緑色の髪、可愛いというよりは綺麗で凛とした吊り目の女性、思った通りではあるがやはり俺を襲ったのは”東鐘 天”生徒会長であった。


 俺は緊張感もなく、自分の予想が当たったことに喜び笑ってしまう。


「やっぱり先輩でしたか」

「……よく分かったね雨上君。なんでか聞いて良いかな?」


 その言葉に俺は指で頬をかきながら答える。


「勘だったんですけど、刀を振っている姿ですかね?」

「姿?」

「はい。ほら今日武道場で先輩の素振りを見たじゃないですか? だから似ているなって」

「……なるほどね」


 俺の話を聞き、先輩は納得したようだった。

 少し落ち着いた先輩に俺は気になった事を聞いてみた。


「先輩なんで俺を襲って来たんですか?」

「……」

「俺、なんか先輩に酷いことしましたか? といっても俺は先輩達と基本関わらないから恨まれる事ないと思うんですけど」

「……」

「先輩教えて貰えませんか?」


 どんなに質問をしても先輩は俯いたまま黙っていた。俺はその間にコッソリ景ちゃんにメッセージを送り助けを求める。

 なんとか気付かないでよかった、と送り終え安堵していると、ようやく先輩は口を開いた。


「君は心君からなんと言われた? どうして女の子になったか」

「え、神様に変えてもらったって」

「そんな簡単な話をしているんじゃないっ!!!」

「!?」


 周りは住宅街、いくら夜とはいえまだ六時くらいだ。気付く人がいてもおかしくない。

 だが、いつもの先輩とは思えないいきなり叫ぶ姿に俺は思わず驚いてしまうが、先輩はそのまま続ける。


「雨上君……君は知らないと思うけどね私はこの街の神社に住んでいてね。分かりやすく言うとその神社で”巫女”というものをしている」

「な、なるほど」

「信じるのも信じないのも自由だけどね。でもねやはりいるんだよ。神様っていう存在は」

「そうなんですか……」


 過去にファンタジー要素のあるギャルゲーをしたことあるから、俺もいないとは思わないけど……つまりどう言う事だ?


「まあ、君に詳しく話をするつもりはないけどね。心君が女の子になったのは神様の所為ではあるけどね____君のせいでもあるんだよ」

「え、どう言う事ですかそれ」


 そして、と俺の言葉を無視して先輩は言い放った。


「私が君を殺したいのも君のせいだ」


 先輩は再度鞘から刀を抜き俺に向ける。


 どう言う事だ? 心が女になったのが俺のせい? 心が俺に嘘をついたってことか?

 先輩の言葉に戸惑っていると背後から声が響く。その声は俺を安心させるもの。


「全く先輩は買い物もまともにできないんですか? これはプリン買ってもらわないとですね」

「景ちゃーーん!!」


 背後から現れるエプロン姿の景ちゃん。もうなんだろう。

 景ちゃんの安心感がヤバい。



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