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第11話 作戦会議といきましょうか!




「それで琴凪先輩についての作戦会議なんですけど」

「ちょっと待って? え、大丈夫なのか?」

「なにがですか?」


 俺は景ちゃんの言葉を遮り言った。


「いやさ、こうして景ちゃんと一緒にいるわけじゃん? 当の本人の琴凪にはバレてないのか?」

「それは大丈夫です」


 景ちゃんは俺の不安を他所に軽く言い切り、俺はそれに疑問を返した。

 それはそうだろう。学校内ですら複数回攻撃して来た琴凪が景ちゃんの所に来たからと、襲って来ないとは限らないのだ。


「琴凪先輩は鍵咲先輩と一緒にいます」

「心とか? そう言えば一緒に買い物に行くって言ってたな」


 俺は心との会話を思い出し言葉を溢す。

 

「あれ? 今『一緒にいます』って言ったよな? 何で知ってるんだ?」

「そこはほら、私の特殊能力的なやつですよ」


 そう言って景ちゃんは懐からスマホと何やら小さな機械を取り出した。俺はそれが何か分からずに素直な感想を言った。


「それは?」

「これは私の特殊アイテムです! これがあればこの機械を付けた相手の居場所が分かるんですよ!」

「んー! まさかの発信機!」


 特殊能力もクソも無く、シンプルに科学の結晶の発信機であった。

 それをまるで自分の物のように掲げて見せつけるとは、さすが景ちゃんどっかの猫型ロボットのようだ。

 

「ちなみにこの発信機は心先輩に付けました。琴凪先輩に付けたかったですけど、あの人も一応プロの暗殺者なので難しかったです」

「それでどうして琴凪が一緒だと分かるんだ?」

「この発信機は盗聴機能もあるんです。今も心先輩と琴凪先輩の話し声が聞こえますよ。基本心先輩が先輩の話ばっかりしています」


 全く心は琴凪の前で勘弁してくれよな。


「それを聞いて琴凪先輩の声が物凄く低くなってます」


 全く心は琴凪の前で勘弁してくれよな!!?



「なるほど、なかなか困った状況なんですね」


 だろ、と俺はため息を溢し返す。

 景ちゃんに現在の状況について話をして整理すると、俺に今起こっている事が表面化された。


 その一、親友が突如女性になって帰ってくる。

 その二、その親友から愛の告白をされる。

 その三、親友メンヘラ化


「ここまでが心先輩ですか。なかなかですね」

「だろ?」

「でも先輩いくら私だからとはいえども、告白された事を第三者に言いふらすのは良くないですよ? 減点ですよ減点」

「えぇ……包み隠さず全て言えって言ったのは景ちゃんだったろ?」


 それもそうですけど〜、と景ちゃんは意地悪そうな笑みを見せるが、そんな姿も可愛らしく思えてしまう。だがそこで終わらず俺は続ける。


「いや俺は景ちゃんのことを信用しているからな、景ちゃんになら俺は何でも話せる」

「……せ、先輩は全く! 本当に全く!!」

「だからこれを見てくれ景ちゃん」


 なんか急に頬を赤く染める景ちゃんだが、俺は気にせずスマホを見せた。

 それを見て景ちゃんは『うわぁ……』と声を出し、


「なんですかこの大量のメッセージは……通知八十四って頭おかしいんじゃないですか?」

「その頭おかしいのが俺の親友なんだよ」

「おっふ……」


 景ちゃん現実から目を背けないで? 背けたくなる気持ちは分かるけどな?


「それでな? しばらく泊まることになったけどさ、心を説得するのは色々大変だったんだよ」

「そりゃそうですよね。そのメッセージ見たら分かりますよ」


 だからさ、と俺は続ける。


「とりあえず一回メッセージ返していいか? なんだったら電話しときたい」

「え、ダメですよ? 私と一緒にいるのに他の女性に連絡するとか許しませんから。ささ、次は問題の琴凪先輩ですよ先輩」

「ここで心に返信しないと別の問題が生まれるんだけど?」


 仕方ない。とりあえず適当にスタンプでも押そう。

 そう思ってスマホを操作した時、景ちゃんはすかさず俺の手から素早い動きでスマホを取り上げた。瞬間、何らかのスタンプを送ったであろう音が____


「話が終わるまでこれは没収します」

「せめて何を送ったのか見せてくれ……」

「さて琴凪先輩の問題は一つです。あの人は心先輩と先輩が付き合うのを望んでいる。ここまでは良いですか?」

 

 ……無視かよ、と仕方なく返事をすると景ちゃんは話を進める。


「で、先輩がそれを断ったから狙われているわけですよね。さすが先輩モテますね」


 今それ言われても嬉しくないからな?


「本人にハッキリ断ったわけじゃないけどな? ていうか心が返事はまだ良いって言ってるしな」

「はいはい。とりあえず、しばらく私が一緒にいますので琴凪先輩のナイフとかで何かしそうな時は任せてください」

「ありがとうな。えっと……それ以外はどうすんだ?」

「後は先輩がなんとかしてください」


 なるほどなるほど……


「なんとかとは?」

「そこはほら先輩の話術で」

「あのなに話してもナイフ投げてくる女に話術って冗談だろ?」

「だからナイフは私がなんとかしますよ」


 ナイフは、ってなんだよ。その他にもありそうな含みのある言い方は……


「……分かった頑張ってみる」

「さすが先輩です! ではでは話は一旦終わりにしてご飯にしますか。と言っても先輩一つ調味料を切らしているので買ってきてもらってもいいですか? すぐ近くにスーパーがあるので」

「おう、泊まらせてもらう立場だしな行くよ」


 俺の了承を得ると景ちゃんが礼を言いきる前に『その前にスマホを返してくれ』と食い気味に言うと渋々返してくれた。

 よし! これで返信を返せる! そう考えメッセージアプリを開いた瞬間____

 

「……なんだこれ」


 さっき何かのスタンプが押された気がしていたが、どうやら本当に送られていたようだ。しかもスタンプのキャラが嘲笑っている感じの『笑』スタンプがだ。

 その後に心から送られた怒りのメッセージは二十を超えるが、俺にはとある一つのメッセージが目を惹いた。


【月曜日覚えてろ】


 そっとスマホを閉じる。俺はこれから金曜、土日と景ちゃんの家で泊まる訳だが、もう帰りたくない気持ちがヤバい。


「どうしました? 先輩?」


 放心している俺を心配してか話しかけてくれる景ちゃん。俺は天井を見上げ、手で顔を覆うと震える声で言った。

 

「……スマホぶっ壊して行方を晦ましたい」

「変なこと言ってないで、買い物行ってきてください」

「え、冷たくない?」



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