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親友ポジションに憧れる俺は彼女達に狙われている  作者: 瑞柿けろ
第三章 体育祭&杏理編

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第104話 頼ってくださいよ







「ねぇ透」


 頭上から怒りの感情が宿った声が降り注ぐ。

 現在進行形で正座をしている俺からしたらその見えない筈の言葉が、まるで物体かの様に身体にのしかかり肩の傷に激痛をもたらす。


 そしてすぐ目の前で俺を見下ろし仁王立ちをする心に目を向けると、彼女は声色を変えずに言った。


「その怪我……ナニ?」

「!!?」


 心の目を見て俺は初めて恐怖を感じ生唾を飲んだ。

 声は確かに怒りに満ちた状態だが、表情は違う。今まで以上に感情を感じさせない漆黒の瞳には黒々とし過ぎて俺を見ているのかも分からない程に冷酷な目をしていた。


 どう誤魔化そうか……、


「実は転んで……」

「おい透お前ふざけんなよ」

「こ、心さん? 口調が戻ってるわよ?」

「いいから正直に話せ」

「あ、はい」


 これは誤魔化して良い雰囲気じゃないな。

 だって心だけじゃなくて真白と乱華、そして普段俺の味方の景ちゃんが心と同様に仁王立ちで睨みつけてくるし……これはマジなやつだ……。


 というかこんな時に限って呪いが発動しないとか……、


「えーと実は……」


 あまり気が進まない、というか正直に話したくない俺だったが、皆の圧に押し潰されそうになりながらここまで起きた事を説明した。


 すると、次の瞬間____


「ふんっ!!!!」

「ヒェ!?」


 事の真相を話し終えた途端、景ちゃんが持ち前の怪力で壁を殴り、途轍もない破壊音と共に壁を殴りつけ大穴を作ってしまった。


「ひ……景ちゃんさん……?」


 もはや敬称が定まってないが、しょうがないだろう。本気でビビってしまったのだから……


「先輩?」

「な、ど、どうした景ちゃん?」

「私じゃ頼りになりませんか?」

「え、いや……」

「僕もだよ透」


 景ちゃんの言葉に割り込むよう、先程の今までにない程に本気で怒っていた様子だった心は悲しそうな表情でしゃがみ静かに語り出した。


「僕さ透に頼って欲しいんだよ。昔からいっぱい透には助けてもらってきたし、こんなこと言っても透は『助けたつもりは無い』って言うかもしれないけど」

「……」


 でもね?


「僕は透に助けてもらったって思ってる。だから透になんて言われようとも……透が困ってたら力になりたいよ……」

「心……」


 心……いや幼馴染の親友から言われた一言に思考が止まり驚いていると、真白と景ちゃんも心に続いて腰を下ろす。


「とー君私もだよ? 覚えてないかもしれないけど私もとー君に助けてもらってるから……もっと頼って欲しいかも……」

「真白……」


 真白良い奴だな……コイツを助けた記憶ないけど……(真顔

 というか、最初に俺を殺そうとしてした筈の真白にまさか頼って欲しいとか言われるとは、世の中何があるか分からないものだ。


 そして景ちゃんの方を向いた時、


「先輩!!」

「おぉ、どうした景ちゃん!!?」


 突然俺に抱きついてきた景ちゃん、周りはその行動を目の前にして何やら騒いでいるが、景ちゃんが耳元で発する言葉に俺の全神経が集中し周りの声は入ってこない。


「私はおそらく誰よりも先輩に助けてもらっているんですよ?」

「え、そうなの? 全く自覚ない」

「覚えてないんですか? ……まぁでも無理ないですね……昔ですし」

「そ、そうなの?」


 高校に入ってから知り合ったと思っていた後輩の景ちゃんだが、どうやら本人曰く過去に面識があるようだ。


 ……んー? まーあれだ。


「記憶にございません」

「そんな政治家みたいなこと言わないでくださいよ♡」

「実は俺じゃなくて秘書がやったとかでは?」

「このまま抱き締めてる力強めて肋骨へし折って良いですか♡」

「う、嘘やん」


 衝撃!? まさかの女子とのハグは死と隣り合わせだった!!?


「昔だけじゃないです。私が今ここにいられるのも全部先輩のおかげなんです。先輩の存在が、香りが、声が、感触が私に生きる力をくれるんです」

「そ、そっすか」

「だから命令してください」

「な、なんて?」




「”先輩に仇なす者は皆殺せ”って」

「ちょっと景ちゃん?? 君は俺のことを魔王とでも思ってんのかな???」(困惑)

「私と一緒にいれば世界の半分を先輩にあげますよ?」


 あ、違った。俺じゃなくて景ちゃんが魔王側だこれ……。

 景ちゃんの精神状態に驚愕していると『いい加減に離れて』と心が景ちゃんを俺から引き剥がし口論を始める。

 

 懲りないな心と景ちゃんも、二人のいつものやりとりに思わず笑うと乱華が、


「私はもう透が傷つけられた時点で相手を許すわけねぇ。本職だろうが手は抜かねぇよ……絶対にぶっ殺す……」

「乱華さん? 落ち着いて落ち着いて?」

「あ?? 自分の好きな男が手を出されたんだぞ? 許せるわけねぇだろうが」


 あ、いやそう言ってくれるのは嬉しいけどね??


 ……でも皆の気持ちは理解できた。

 まさかここまで色々考えてくれていたとは思わなかったな……本当に頼りになる最高な友達だよ。


 姫が言っていた”人を頼れ”の意味が分かった気がする。

 なら俺が言うことは一つしかない。




「皆頼む。俺を助けてくれ」

「「「「もちろん!!」」」」




 杏理を守る為、そして皆で打ち上げに行く為に作戦が始まった。



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