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親友ポジションに憧れる俺は彼女達に狙われている  作者: 瑞柿けろ
第三章 体育祭&杏理編

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第103話 新鮮な空気を吸う為に酸素吸入口を作ったんだよ!



「杏理久しぶり……って、お前怪我してんじゃないか!? 大丈夫なのかよ!?」

「その言葉そっくりそのまま返すわよ!? アンタだって肩に穴開いてんじゃないの!?」

「これはあれだよ! 新鮮な空気を吸う為に酸素吸入口を作ったんだよ!」

「肩に!? アンタどんな特殊性癖持ってんのよ!!」

「特殊性癖!!?」

「「って……痛い」」


 人のことを変態みたいに言わないでくんない?

 運良く真実の呪いの判定を回避したというのに俺の痩せ我慢は杏理には全く通じず、別の意味で心配されてしまった。解せぬ……


「ねぇ……」

「ん? どうした?」


 二人ともお互いの身体を心配し、ハイテンションのまま話して二人同時に身体の痛みによろける。似た者同士な状況の中、杏理は静かに呟いた。


「なんで来てくれたのよ……」

「……」


 杏理がそう尋ねてきたことに俺は僅かに黙る。

 どこか機嫌が悪いというか、怒っているのか、心から心配をしているのか、なにやら様々な感情が入り混じった様な表情だ。

 

 だから俺はハッキリと告げる。


「約束したからな」

「……約束?」

「そうだ」

「もしかして私が会いたいって言ったか____」




「いい加減約束の”回転寿司”を守らないと姫に襲われそうだからな」


 と、握った拳から親指だけ出し、背後にいる者の存在を知らせた時、後ろで待っていた奴は声高らかに不満を訴えた。


「もう我慢できないのじゃ! 寿司! 儂は寿司が食べたいのじゃ!! これはもう中トロなどとは言ってはいられぬぞ!! 大トロじゃ! 儂は大トロを浴びるほど食らうのじゃ!!」

「うん、それは良いね。なら私は雲丹が良いかな」

「うむ良いぞ天!! 透の奢りじゃ好きに食え!!」


 なんかとんでもない会話してない? 財布と相談する前に通帳と相談しないといけなくなるからね?? 良いのか? 次の仕送りまでもやし生活だぞ?

 とりあえず、今は杏理だ。


「と……と、まあなんか言ってるけど寿司は皆で行くからな。杏理がいないといつまでも行けないだろ?」

「……雨上なんか嫌い」


 え、何故に? 理不尽過ぎない?

 何故嫌いと言われたのか困惑していると、古びた建物の内装を眺めながら天が呟いた。


「驚いたね。この町にこんな建物があったなんて……ずっと町に住んでるのに気付かなかったよ」

「確かにな、まー言ってもここかなり町外れだから知らなくて当然感はあるけど」

「お主らはもう少し自分の生まれた町に興味を持たぬか……全く……」


 と言っても自分の住む場所を隅から隅まで知っている者はどれだけいるのだろうか? 意外と近場でもちゃんと知らないとかよくあることだ。


「普段通らない道に行ってみたら家から数分の場所に小さい公園がある的なやつかな?」


 さすが天だ。例えが分かりやすい。


 さて、


「一刻も早く帰りたいな。杏理の怪我も心配だし、あんな危険な奴はいつまでも町に残しちゃいけない」

「雨上の怪我は? 明らかに駄目そうじゃない」

「俺はあれだよ」

「あれってなによ」

「ほらあれだよ……アドレナリン出てるから……」

「アドレナリンってそんな便利アイテムみたいな扱いじゃないわよ??」


 杏理から心配そうな眼差しが浴びせられるが、実は姫をお姫様抱っこで運んでここまで来てる間に力を使ってもらって痛みを軽減している。

 と、言ってもさっきまで程じゃないだけで痛いのは変わらないけどね?

 

「杏理はどうなんだ? その腕……」

「えぇ……折れてるみたい」


 何処かで買ったのであろう綺麗な包帯で杏理は自身の右腕を固定し、左足は曲げずに伸ばして動かないようにコチラも固定している。

 

 俺は後ろにいる姫に目を向けてみた。


『姫……杏理の怪我……』

『無理じゃ』


 姫は俺の考えを先取りし答える。


『お主の怪我と時間停止で力を使い過ぎてしまった。これ以上は厳しいのじゃ』

『そ、そっか……悪かったな……』

『……あーもう仕方ないの』


 渋々といったところか、姫は俺達の側までやって来ると杏理には手を伸ばし、


「のう杏理ちょっと良いか」

「な、何よ……」

「儂と手を繋ぐぞ」

「なんでよ?」

「儂がお主と手を繋ぎたいのじゃ。今度はいなくならないようにの」

「……お寿司食べたいから?」


 そうなのじゃ、とハッキリ言い切った姫に杏理はクスリと笑みを溢す。


「そうね。今度こそ打ち上げしないと」


 ようやく杏理の笑顔が見れた。

 姫曰く、直接姫に触れているだけでも充分回復の効果があるようだ。

 なんだかえーと『偉大な神の儂と接しているだけでそれだけで癒しの力が____』なんとかかんとか、などと言っていたが正直覚えていない。


 よしそれじゃあその露音姫様の力でパッパッと解決してもらおうじゃないか。

 さすが神様頼りになるぜ! こういう時の為に養ってやってると言っても過言ではないしな。


 ほな露音姫様お願いしまーーす!!!


 ……

 …………

 ………………


 ____と思っていたのだが、見た限り姫の体調があまり良くない様子なのが現状だ。

 現実的に考えて時間停止とはどの範囲の停止なのだろう。俺の予想でしかないがおそらくかなりの規模の筈、更には俺の傷を癒してくれたからかなり負担をかけてしまった。

 でもどうしたら良いのだろうか……流石に武装した殺し屋を一般人の俺がどうすることは出来ないだろう。


 ならどうしたら……


「のう透よ」

「ん? どうした姫?」

「困っておるのか?」

「おう」


 そりゃな、どうしたもんかと考えていたところだ。

 すると姫は俺に手を差し出し「携帯を出せ」と言うので、大人しくスマホを渡すと姫は呟く。


「透はもっと人を頼る事を覚えるのじゃ。お主の周りには頼りになる者がいっぱいおるじゃろうが」


 そう言ってスマホを返してくれた姫が操作していた画面を見てみるとそこには、




【透お兄ちゃんが困っている。助けて欲しいのじゃ】




 この場にいない心や真白、乱華と景ちゃんに向けてメッセージが送られていた。


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