残された者たち
僕はレクサの隣に立ちながら、口を開いた。
「ねえ、レクサ。どうやって、ここに来たんだ?」
レクサは遠くを見るように目を細めてから、ゆっくりと話し始めた。
「私ね、実は一つだけ魔法が使えたの」
「魔法?」
「ええ。物を向こうの世界に送る力。
最初は、ただの偶然だと思ってた。でも」
彼女は小さく笑った。
「ふと気づいたの。アナタがここに来たあと、試してみようって」
「試す……?」
「ええ。あの瓶を、送ってみたの」
その瞬間、記憶が蘇る。
突然、宙から現れた瓶。
あの違和感。あの手触り。
「……そうか」
僕は小さく呟いた。
「瓶のこと、覚えておいてって言ったのは」
「そういうこと」
レクサは笑って頷いた。
「あれが繋がりになると思ったの」
「そして、イートンが、私たちの世界を食べ尽くす前に、可能な限りの人間を、こっちに送ってみたわ」
彼女は続ける。
「どれぐらい上手くいったかわからないけど、私たちの世界の住人の1部は、ここにいるはず」
遠くのどこかに視線を向ける。
「ルーランやリタたちもみんな、そうやって連れてきたのよ」
やがて、僕はふと思ったことを口にした。
「そういえば、よく、僕の居場所がわかったね」
レクサは少しだけ笑った。
「瓶を、アナタの手元に送れた」
その言い方は、確信に満ちていた。
「その『手応え』があったの」
彼女は僕の方を見る。
「だから、瓶のある場所に、私たち自身を送るように念じたの」
「結果――ビンゴだった」
レクサは、ほんの少しだけ、いたずらっぽく笑った。




