四十二色 十黒帝
「眠れないのか?」
神殿の入口に座る紅蓮に声を掛ける彩呀。
「こっちの世界にも月や太陽はあるんだな」
「この世界は様々な世界に通じているからかも知れない」
「みんな無事だよな」
「紅蓮、俺はお前達と出会えて良かった。
人が持つ可能性を知り、これほど信じる事が出来ると分かったんだ。
あいつらは大丈夫! 俺の自慢の息子達だぞ!」
そう言って彩呀は紅蓮の頭を撫でる。
「父さん…ありがとう」
「明日は早い、寝れる時に寝ておけ」
「みんな待ってろ!」
翌朝、神殿の前に紅蓮達が集まっていた。
「まず、私と紅蓮にバステンを含んだ小数の隊でパレスの街へ向かう。
紅蓮の話を聞くと連れ去られた仲間は一旦そこに連れ帰るはずだ。
残りの者は各々の色結晶についての調査及び敵の動きを見張ってくれ。
だが決して無理はするな! 自分達の命を最優先だ!
さあ、出発だ!」
「おー!」
全員が一斉に声を上げ散っていく。
「よし、俺達も行こう!」
紅蓮達は馬に跨がりパレスへと向かう。
「陛下、もし紅蓮の仲間がパレスにいなかったら…」
「バステン心配するな。
そうだとしても手掛かりは必ず残っている」
「そうですね。
紅蓮達は我々の希望です!」
「ああ!」
その時、周囲を見回っていた戦士が慌てて戻ってきた。
「陛下! 大変です!」
「どうした!?」
「前方から敵が!」
「数は?」
「それが…」
「いいから陛下に報告しろ!」
「は、はい!
敵は一人!」
「一人? 一人に対して慌てて戻ってきたのか!?」
「待てバステン。
十黒帝だな」
それを聞いた戦士達は青ざめうろたえる。
「お、落ち着け!
陛下、どうしますか? わざわざ戦う必要も」
「いや、どのみち戦う必要がある。
相手の戦力を削ぐには早い方がいい」
「分かりました。
全員、戦闘準備!」
「社長」
「大丈夫だ」
紅蓮達は少し進んだ先で黒い鎧を纏った十黒帝に遭遇した。
「ほう、こんな所で国王に会えるとはな。
いや、元国王か」
「黙れ! 陛下はお前達に国を…世界を渡してなどいない!」
「フッ、現実を理解できぬとはな。
まあいい、赤の色結晶と彩呀、貴様の命を頂こう」
「全員、とつ」
バステンが指示を出す前に紅蓮が十黒帝に殴りかかる。
「色の戦士だと?」
「はっ!」
紅蓮の拳を受け止め後方に下げられる十黒帝。
「いや…今までの色の戦士とは違うな。
色結晶の力か? 少しは楽しめそうだ!」
十黒帝の拳と紅蓮の拳が激しくぶつかる。
「お前達の好きにはさせない!」
「粋がるな!」
両者の蹴りと拳が激しくぶつかり合い、大気を揺らす。
「あの十黒帝と渡り合っている。
凄い…凄いぞ!」
「まずいな」
「陛下?」
徐々に紅蓮の手数が減り、防戦になり始めた。
「くっ(スピードも威力も上がっていく…このままだと防ぎきれない)」
十黒帝から距離を置き、炎の塊を放つ紅蓮。
「ぬるいわ!」
軽く片腕で払いのけ紅蓮の目の前に移動する十黒帝。
「しまっ」
「死ね!」
十黒帝の拳が伸び、轟音と砂煙が周囲に広がる。
「父さん!」
「私の拳を受け止めるとはな」
紅蓮の前には彩呀が立っていた。
「バステン! 紅蓮を連れて先へ行け!」
「陛下を残してなど行けません!」
「命令だ!
心配するな、すぐに追い付く」
「私を倒せると?」
「もちろんだ!」
殴ろうとする動きと同時に蹴りを放ち十黒帝を吹き飛ばす彩呀。
「紅蓮、みんなを頼むぞ」
「…分かった!」
紅蓮達はその場から離れていく。
「国王がここまで出来るとはな」
「いや、鈍ってるようだ。
昔ならお前の胴が千切れていたな。
歳は取りたくないものだ」
「口だけか試してやろう。
たっぷり相手をしてやる…十黒帝のレガスがな!」




