四十三色 襲い掛かる水
彩呀と別れた紅蓮達はパレスの街に到着していた。
「人の気配がないな」
「紅蓮、慎重に進もう」
「分かった」
街を探索し、残す町長の家へと集合する紅蓮達。
「俺が一人でいく。
皆は待っていてくれ」
「何があるか分からないぞ?」
「危険は承知の上だ。
行ってくる!」
慎重に家へ入り、紅蓮は一部屋ずつ調べる。
「最後はここか」
ドアを開けると部屋にはイスに座る藍麻の姿があった。
「藍麻!」
「…くる…な…ぐあぁぁぁぁぁ!」
その時、藍麻の頭上に水色の色結晶が現れ徐々に黒くなっていく。
「どうして色結晶が!?
とにかく藍麻を離さないと!」
紅蓮が近付こうとした瞬間、真っ黒になった色結晶が藍麻と融合する。
「藍麻の体に色結晶が入った!?
どうなってるんだ…」
「…紅蓮」
「藍麻、体は大丈夫なのか?」
「ああ…今までで一番調子がいいよ。
紅蓮」
「どうした?」
「死んでくれないかな?」
「!?」
外に待機していたバステンがドアに手を伸ばした時、壁を突き破り大量の水と共に紅蓮が飛び出す。
「紅蓮!?」
「ごほっごほっ!
はぁ…はぁ…バステン逃げろ!」
紅蓮が叫んだ瞬間、家を水柱が突き上げ中から藍麻が現れる。
「ん? 紅蓮の新しい仲間かな?」
「紅蓮、どうなっている!?」
「わからない…水色の色結晶が黒くなって藍麻と合体した」
「色結晶が!?
まさかあの十黒帝が何か仕掛けていたのか」
「紅蓮、僕を楽しませてくれ!」
藍麻の手の動きに連動して水が龍のようにうねりながら紅蓮を襲う。
「やめろ藍麻!
くっ!」
両手に火の玉を作り、迫ってくる水に炎をぶつける紅蓮。
「そんな火力じゃ防げないよ」
蒸気を上げながらも徐々に紅蓮の炎が押され始めた。
「なんて水量だ…」
「紅蓮を援護しろ!」
弓隊が藍麻に矢を放つも、水の壁に阻まれる。
「邪魔をしないでほしいな」
片手を上げ水を上空に集め、振り下ろすと同時に集めた水をバステン達に叩き付け地面ごと吹き飛ばす藍麻。
「バステン! …ぐ…いい加減にしろ!」
炎が渦を巻き水を飲み込む。
「やれば出来るじゃないか!
次はどうかな?」
「我が心に燃えし赤き炎よ! 全てを貫く拳となれ!」
藍麻へと駆け出しマグマの様に赤くなった右手を突き出す紅蓮。
「我が心に流れし黒き水よ! 獅子の牙の如く全てを砕け!」
獅子の形になった水が紅蓮の拳とぶつかり、周囲に衝撃が広がる。
「ぐぐ…正気に戻れ!」
「僕は正気だよ」
獅子の中から現れた藍麻は、紐の様に水を変化させ紅蓮の体を縛り、拳を反らせ水の獅子をぶつけた。
「うっ…紅蓮!」
地面を激しく転がりながら吹き飛ばされる紅蓮。
「弱いね」
「どうして…仲間だろ!」
「仲間? 僕は紅蓮のいつも真っ直ぐで熱血な所が嫌いだった。
ただ仕事をするってだけの関係だよ」
「許さない!」
「部外者は黙っててよ」
水の塊をぶつけバステンを吹き飛ばす藍麻。
「さあ、紅蓮。
君の最期だよ」
転がる紅蓮の首に水を巻き付け持ち上げ、藍麻は近付いていく。




