三十九色 地底湖へ
「ここら辺でいいだろう」
バステンは焚き火を起こし、臭い消しの草を投げ入れる。
「焚き火なんかしてまた怪物が襲ってこないか?」
「本当に何も知らないんだな。
さっきのレティラみたいな凶暴な色獣は臭いだけで獲物を感知する。
臭いを消さずに森を歩くのは自殺行為だ」
「そうだったのか」
「…お前はどこから来た?」
「俺は…」
紅蓮は彩呀の事や仲間の事、白と漆黒の女王の事を全て話した。
「なるほどな。
陛下が滞在しておられた世界の人間だったか。
この世界に何が起きたか簡単に説明しよう。
ある日、漆黒の女王が現れ城を占拠した。
色の戦士や守護を任された我ら戦士隊は戦ったが、女王が呼び出した漆黒の騎士団には敵わず…」
「そんなに強いのか?」
「下っ端共は大したことはない。
だがそれを指揮していた十黒帝は次元が違う。
色の戦士は次々と敗れ、逃れた戦士隊はそれぞれの色結晶を守護する為に散り散りになった」
「色結晶?」
「色の力を司る巨大な水晶だ。
あれが存在するからこそお前達、色の戦士は色の力を使うことが出来る。
お前の仲間が動けなくなったのも色結晶に何かあったのだろう」
「色結晶は何個あるんだ?」
「存在が確認されているのは八個。
赤青緑黄紫橙水色、そして白だ。
黒が存在したと言われていたが、現在は所在不明」
「俺が動けるって事は赤は無事って事なのか?」
「そう言う事だろうな。
私は色結晶を確認するためにあちこちを廻っていた。
しかし、赤の色結晶が落ちるのも時間の問題だろう」
「赤の色結晶は何処にあるんだ?」
「ここから川沿いに下ってその先にある地底湖を抜けた先だ。
だが地底湖には魔物が住んでいる。
本来は別の道を使うが、今はそこを通るしか道はない」
「社長…国王達は見かけてないのか?」
「陛下とミネルバ様がおられれば何とかなったかも知れん。
私はこちらに帰っておられる事すら知らなかったからな。
ご無事ならいいが」
「あの二人なら大丈夫だ!」
「フッ…お前が言うと不思議とそう思えるな。
紅蓮だったか、私に…いや、この世界の為に力を貸してほしい!」
頭を深く下げるバステン。
「止めてくれ、俺達は最初からそのつもりで来てるんだ。
むしろこっちから頼みたいくらいだよ」
「ありがとう。
夜が明けたら地底湖を目指そう。
なんとしても赤の色結晶は死守する!」
「ああ!」
二人はそこで眠りにつき朝を迎えた。
「確か川沿いに下るんだったな?」
「ああ、そう遠くはない。
色獣は臭い消しで何とか大丈夫だろうが、問題は漆黒の騎士団だな」
「蹴散らすまでだ!」
「頼もしいな。
行こう」
二人は川沿いを進んでいき、騎士団に会う事もなく地底湖の入り口へたどり着く。
「嫌な気配がするな」
「ここを通る者は滅多に居ないからな」
ひんやりとした空気が吹いてくる洞窟の中へと二人は入っていった。




