三十八色 異世界の戦士
森の中を進む紅蓮。
「社長とミネルバを探さないと…ん? 煙って事は人がいる!」
煙が見えた場所へ紅蓮は急ぐ。
「焚き火…人はいないのか?」
周囲を警戒しながら焚き火に近付く紅蓮の頭上から人が襲い掛かる。
「うわっ!」
「咄嗟に薪で俺の剣を防いだか。
だがいつまで持つかな?」
「ま、待ってくれ!
俺は争いに来たんじゃない!」
「確かに丸腰で命を狙いに来る馬鹿はいないからな。
だからと言ってお前が味方とは限らない!」
「とりあえず話を」
その時、木々の上から恐竜に似た巨大な生き物が二人を見つけ涎を垂らしていた。
「せっかくの臭い消しがお前のせいで台無しだ」
「何なんだ?」
「グワァオオオオ!」
男が離れると太い尾が紅蓮目掛け降ってくる。
「くそっ!」
「ギリギリかわしたか。
だが、狙いはお前のようだぞ」
怪物は尾を振り回し木々を凪ぎ払う。
「なんて破壊力だ」
「グオオオオ!」
頭を低くすると怪物が紅蓮へ突進する。
「(あの図体でこの速さ!? かわしきれない…)」
「終わったな」
紅蓮は両手を突き出し怪物の頭を掴む。
「無理に決まってる!」
「こんな所で…やられてたまるかっ!」
足から凄まじい炎を出し怪物を受け止める紅蓮。
「炎!? まさかあいつ」
「みんなが待ってる…邪魔をするな!」
頭を殴り吹き飛ばすと同時に紅蓮は炎で怪物を呑み込む。
「やはり色の力か」
「はぁ…はぁ…(前より力が増してる気がする…)」
「レティラを殺るとはなかなかだな」
「レティラ?」
「この黒焦げの怪物だよ。
しかし、色の力を持ってるとはな。
色の戦士は全員捕縛されたと聞いたがまだ逃れたのがいたか」
「あんたはあの黒い騎士の仲間か!?」
「冗談じゃない!
手足をもがれても俺は女王の軍門に降るものか!
俺は気高き色彩の園の第三戦士隊隊長バステンだぞ!」
「第三戦士隊隊長?
ミネルバの仲間って事か」
「ミネルバ様を知ってるのか!?
何処だ! 何処におられる!?」
「待ってくれ、俺も探してるんだ。
一体この世界で何が起きた?」
「何も知らないのか?
…とりあえずここは危険だ。
向こうに川があるからそこに行こう。
それと臭い消しの草を体に塗っておけ」
バステンは萎びた草の束を差し出す。
「分かった」
全身に草を擦り付け川へと紅蓮達は向かった。




