三十七色 黒い世界
橙児の糸を辿り山の中にある小さな池を見つける。
「この池が入口か?」
「俺の糸が続いているって事はそうだろうな」
「どうする紅蓮?」
「飛び込むしかないな」
一人ずつ池へ飛び込み、水中を泳いでいく紅蓮達。
「!? (体が吸い込まれる!)」
何かに水が吸い込まれ紅蓮達も流れに飲まれていく。
「うわっ!」
小さな池から放り出されるように紅蓮達は飛び出す。
「いてててて…みんな無事か?」
「全員大丈夫そうだ。
ここが色彩の園…けどなんだか変だな」
紅蓮達の目の前には黒い木々や草、空が広がっていた。
「色彩の園って言うくらいだからもっとカラフルなのを予想してたんだがな。
とりあえず近くに村はないか調べ…どうした!?」
紅蓮が振り向くと苦しそうに全員が地面に倒れている。
「な…なぜか…力が…」
「しっかりしろ!
どうして俺だけ…人を探してくるから待ってろ!」
周囲を見渡すと黒い馬に乗った黒い鎧の一団を見つける紅蓮。
「おーい!」
「なんだ?」
「おーい!
仲間が急に苦しみだして助けてほしいんだ!」
「貴様、どこの者だ?」
「どこって…(異世界から来たなんて言えないか…)」
「怪しい奴だな。
捕らえろ!」
紅蓮は黒い騎士達に囲まれる。
「待ってくれ!
争うつもりはない! 仲間を助けてほしいだけなんだ!」
「素性も分からない奴を信用できるか!
まさか反逆者じゃないだろうな?
おい、こいつ以外は殺して構わない!」
「なっ!?」
数人が紅蓮から離れようとした時、炎の壁が立ち塞がった。
「これは!?」
「仲間に手を出すな」
「色の戦士なのか…全員撤退! 本隊に連絡だ!」
黒い騎士達は去っていく。
「なんだか分からないがここは危険だな」
全員の元へ戻り、蒼司を担ぐ紅蓮。
「みんな少し我慢してくれ。
ここから離れないとまずい」
「紅蓮…一人で…逃げろ…」
「何言ってるんだ!
あいつらは危険だって分かる。
こんな所には置いておけない!」
「お前…まで捕まったら…意味が…ない。
状況を…把握して…助けに…来てくれ」
「命の保証なんてないんだぞ!」
「色の力を見て…逃げたなら…特別な理由が…あるのかもしれない」
「けど!」
その時、大勢の馬が駆けてくる音がする。
「早く…行け!」
紅蓮の背中を押す蒼司。
「みんな…すまない!」
「信じ…から…な…」
黒い騎士達が蒼司達を格子付きの荷馬車に乗せ去っていった。




