三十五色 別れ
「漆黒の…女王」
「元に戻っただけでなく黒一色に染まった事で力が溢れてくる!」
「何をする気だ? まさか人間界を!?」
「人間界? こんな世界に興味などない!
私が…我が憎いのは色彩の園に住む者だけだ!
私を黄泉に送り、自分達は苦労もせず暮らしている。
そんな者達に地獄を見せてやろう!」
「待て! 灰!」
彩呀が近付こうとした時、黒い蛇が襲い掛かる。
「危ない!」
紅蓮達の力でギリギリ攻撃を防いだ。
「すまないお前達」
「さらばだ…我が最愛にして最悪な兄よ」
夜空の闇と同化し女王は姿を消した。
「社長、どうなってるんだ?」
「…」
「社長!」
「彩呀、もう話すべきじゃないかい?」
「そうだな…私は色彩の園と呼ばれる世界の王だ」
「社長が王様?」
「そうだ。
ミネルバは園を守る戦士長で、今は私の護衛をしている」
「なんだか訳が分からなくなってきたぞ」
「黄理、後で僕が説明するから今は黙る」
「はい」
紫劉に注意され黙る黄理。
「色彩の園はこの人間界や色んな世界の色を管理している。
色がなければ無と同じになってしまうからな」
「彩呀は王でありながら色んな世界を直に見て、異変がないか調べてたんだよ。
そんなある時、この人間界にたどり着いた。
あんた達人間は自らで色を作り出し、私たちが知らない色までね。
この世界に興味を持った彩呀が旅をしていると不思議な力の素質を持つ者達に出会った」
「不思議な力?」
「あんた達が使っている色の力さ。
本来、その力は色彩の園に住む者でも扱える者は少ない。
そして私と彩呀はそんな人間を鍛え、この世界を守る為に備えさせた」
「だから俺達以外にも力を使える人間がいたのか」
「あんた達はまだ子供だったから、難しい話は出来なかったから教えてなかったんだよ。
私達は人間を鍛える内にこの世界に愛着が湧いてね」
「王である事すら忘れていた。
孤児のお前達を育てる楽しさを覚え、色彩の園の事や灰の事も頭から消えていた。
そんなある日、魔が現れた…私に対する罰だと思った。
しかし、お前達はアイドルを続けながら魔と戦い、その魔を操るゼーレのような者達すらも退けた」
「二人のお陰だ」
「蒼司の言う通りだ。
二人が居なければ世界は滅んでいた」
「蒼司、紅蓮ありがとう。
だから次は私がお前達を守る番だ」
「彩呀、帰るのかい?」
「ああ、色彩の園に何かあればこの人間界も無事では済まない」
「なら俺達も行く!」
紅蓮の言葉に全員が頷く。
「ダメだ」
「どうして!?」
「あんた達の気持ちは嬉しいけど、これは色彩の園の問題なんだよ。
それに色彩の園じゃあんた達は生きていけない」
「生きていけない? それって?」
「色の力を扱うあんた達は色彩の園の影響を受けちまうからね。
色彩の園に来た瞬間、増大する色の力に体が耐えられないはずだよ」
「そんな!」
「お前達はもう戦わなくていい。
いざという時の為に事務所の事は信頼できる人物に頼んである。
お前達は応援してくれる人達の為に力を尽くせ!
ミネルバ、行こう」
「あの子を止めないとね」
二人は屋上から飛び降りどこかへと去っていく。
「社長! 父さーん!」
紅蓮の叫び声は夜の闇に消えていった。




