三十四色 憎しみの妹
「な、何とか大惨事にならなくて済んだな」
「お前達、どうして邪魔をするんだ?」
「ほんとだよ」
「無自覚が一番恐ろしいな」
「今日の主役は白ちゃんだよ!」
「そうだったな。
すまなかった白…!?」
彩呀が白の方を見ると黒い物に巻き付かれていた。
「白!?」
紅蓮達が駆け寄ろうとすると、足元から黒い棘が伸び行く手を阻む。
「なんだ!?」
「邪魔しないでもらえるかしら」
その時、地面から黒い服を着た白と瓜二つの少女が現れた。
「白が二人?」
「私は…黒と名乗りましょうか」
「白を離せ!」
「ダメよ。
これから私達は元に戻るんだから」
「元に戻る?」
黒は彩呀を見つめ笑みを浮かべる。
「お元気そうで何よりです…兄上」
「兄上?」
「彩呀、あの子…」
「灰…なのか?」
「ええ! 覚えていてくださったんですね!」
「妹を忘れる訳がない!」
彩呀の言葉を聞き、冷たい視線を向ける黒。
「忘れる訳がない?
一度も会いにも来なかったくせに…嘘つき!」
地面から黒い物が彩呀へ襲い掛かるも紅蓮達によって防がれた。
「社長の妹さん何ですか?」
「ああ」
「灰、あんたどうしてそんな姿に?」
「ミネルバ、久し振りね。
この姿? 私にも分からないの。
黄泉の狭間で魂の選別をしていたある日、体に激痛が走り気が付いた時は二人に別れていた」
「じゃあ、白も灰なのか?」
「そうよ。
そして人間界へ落ちる時、この子は穢れていない魂に触れていき私は穢れた魂に触れていった。
この子は記憶がないようね」
「どうしてこんな事を!?」
「穢れた魂に触れたせいでしょうね。
兄上…いえ、全ての存在が憎い!」
「自分をしっかり保つんだ!
お前はすごく優しい子だった!」
「うっ…兄上…私は…」
「穢れに負けるな!」
「くくく…あーっはっはっはっ!
な、訳ないじゃない」
「灰!?」
「私はずっと一人で来る日も来る日も魂の選別を繰り返していた。
私はただの装置なのよ!
こんな仕組みを作った世界が憎い! だから全てを壊す!」
「どうして今なんだ!?」
「この子が先に落ちた後、何かが人間界の入口を塞いでいたの。
そうしたらこの間、突然開かれこの子を感じた」
「ギベーリの影響か」
「そうしたらこの子がすごく楽しそうだった。
けど、それももう終わり。
さあ、私と一つになりましょう」
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!」
白の胸に腕を突き刺す黒。
「させるか!」
「色の戦士風情が邪魔をするな!」
駆けてくる紅蓮達を黒い物が次々と襲ってくる。
「くそっ! これじゃあ前に進めない!」
「灰、やめるんだ!」
「どうして? 元に戻るだけよ?」
「…みん…な…助け…」
白の体へと黒が吸い込まれ黒い物に覆われた。
「白!」
白を覆った黒い物にヒビが入り砕け散る。
「灰…」
「違う…私は漆黒の女王」
黒いドレスを身に纏った妖艶な女性が姿を現した。




