二十三色 紅い氷
「我が心を覆いし氷よ…時を凍らせ全てを砕け!」
周囲に冷気が立ち込め蒼司の姿が見えなくなる。
「以前はこの力に破れたのだったな」
テルガルドが周囲を警戒しながら一歩進んだ瞬間、無数の氷が体を貫き氷に覆われた。
「今回は速攻で終わらせる」
「以前よりも遥かに強くなっている。
だが、それは我も同じ事」
体が溶け始め液体になり氷を吹き飛ばすテルガルド。
「体は変幻自在だったか。
なら完全に凍らせてやる」
蒼司はテルガルドの体が戻る前に間合いを詰め触れると、触れた部分から凍らせていく。
「我が…体のみを…凍らせ…」
テルガルドの体は青白くなり動かなくなった。
「体の隅々まで氷の根を張った。
俺の勝ちだ」
蒼司が去ろうとすると、テルガルドは何事も無かったように動き始める。
「これが氷の力か」
「ばかな!?動けるはずが」
「ん?ああ、こう言う事だ」
テルガルドが腕を横に振ると地面が凍っていく。
「!?」
「氷の根とやらは我と融合して貰った。
そうだな、氷鉄のテルガルドとでも名乗るか」
「くっ!なめるな」
「やめた方がいいぞ」
蒼司はテルガルドの体に触れ力を込めるも何も起きず、逆に自分の手が凍り始めた。
「なっ!」
「だからやめた方がいいと言ったのだ。
自信とは諸刃の剣」
テルガルドの体から伸びた剣に体を貫かれる蒼司。
「がはっ」
「氷でギリギリ急所を守ったか。
次は守れるかな?」
無数の剣がテルガルドから伸び、蒼司は掌に氷の柱を伸ばし体を離して難を逃れた。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「完全に手を凍らせておくべきだったか」
「(氷が通じなくなった…奴を砕いても再生される)」
「何を考えても無駄だ」
氷と鉄で出来た剣を手にテルガルドは蒼司に襲いかかる。
「くっ!」
氷の槍で受け止めるが簡単に砕かれ追い詰められる蒼司。
「なんだ?逃げるだけしか出来ないのか?」
「(氷だけだと砕かれる…なら)」
振り上げたテルガルドの剣へ蒼司は槍を突く。
「無駄な…剣が砕けた?」
剣を砕いた槍は赤に染まっていた。
「自信とは諸刃の剣だったな」
蒼司は素早い突きでテルガルドの肩を貫く。
「っ!
なるほど、自分の血を混ぜたか」
貫かれた肩を自分で砕き、再生させるテルガルド。
「これなら強度は十分なようだな」
「確かに強度は増したがただそれだけ。
我を倒すのとは無縁の話だ!」
両手に剣を持ちテルガルドは猛攻で蒼司を押し始める。
「(こいつの言う通りだ。
再生されれば同じ事…どうする…)」
「どうした?それが貴様の限界か!」
「なめるな!」
槍が左の掌を貫くも右の振り下ろされた剣で、肩から腰まで切られてしまう蒼司。
「ぐはっ!」
テルガルドは槍から手を抜き蒼司から距離を取ると、腕を切り落とし再生させる。
「なかなかだったがその程度か」
「くっ…(しかし、奴はどうして止めを刺さなかった?
それにわざわざ腕を切り落として再生。
俺を斬る度に剣も捨てて新しい物に持ち変えている。
前に無かった吸収の力が原因…制御出来ない物だとしたら…)」
「そろそろ終わらせよう」
「…そうだな」
蒼司は赤い氷の龍を作り出す。
「そんなに血を使って大丈夫なのか?
顔色が悪いぞ」
「問題…ない…行くぞ!」
龍が突進し剣で切ろうとした瞬間、無数の矢へと変化し切り払っていくテルガルド。
「こんな物!」
「お前は血が弱点だ。
鉄である自分を錆びさせるからな。
だが、以前はたいした問題でもなかったが今のお前は色んな物を吸収してしまうんだろ?
自分の意思とは関係なしにな」
「気付いたか。
だが、貴様の血が持てばの話しだがな!」
テルガルドは体から腕を増やし無数の矢を圧倒し始める。
「まだまだだ!」
蒼司はテルガルドの周囲を駆けながら赤い氷の矢を放っていく。
「この程度!」
「終わり…だ…」
テルガルドの頭上に移動し頭を鷲掴みにして赤い氷を覆わせていく蒼司。
「貴様…死ぬ…気…」
全身が錆びていき無数の矢が突き刺さり、地面に倒れ砕け散るテルガルド。
「…なん…とか…倒せ…早く…いか…」
体から血の気が引き、蒼司は地面に倒れた。




