二十二色 命の刃
「この前は負けたけど、今回は勝つよ!」
「僕だって負けられない…はあぁぁぁ!」
翠は両手に風を集め始める。
「へぇ~、前よりも風が強くなってるんだね。
見せてあげるよ…生まれ変わった僕を!」
大きく息を吸いだすベチル。
「くっ、周囲の空気が吸い込まれていく!」
息を吸うのを止めると、ベチルは体を丸め輝き出す。
「眩しい…」
ベチルの体から光りが放たれると大人の姿へと成長していた。
「どうだ?これが僕の…俺の本当の姿」
「関係ないよ…ただ倒すだけだから!」
集めた風の玉をベチルへと放つ翠。
「分かってないな」
ベチルが素早く片手を横に振ると風の玉は一瞬で消え去った。
「消えた!?
ならもう一度…あれ?風が集まらない!?」
「俺は風そのもの。
だから君が風を操ることはもう出来ない」
「諦めるもんか!
我が心に吹き荒れし風よ!悪しき全てを消し飛ばせ!」
翠が両手を前に突き出すも何も起こらない。
「俺を倒した技…こうだったか?」
「ぐあぁぁぁ!」
ベチルが片手を掲げると体が引っ張られ苦しみだす翠。
「あっけないな」
「ぐっ…まだ…だ…」
翠は周囲を覆っていた風の中へ飛び込む。
「何がしたいんだ?」
その時、傷だらけの翠が現れ風の刃をベチルへ飛ばす。
「なるほど、俺の風を使ったのか…だが」
向かってくる風の刃を片手で弾くベチル。
「無駄なのがわからないのか?」
「それはどうかな!」
ベチルへ駆け寄ると、空気を口から弾の様に連続で撃ち出す。
「くっ!」
腕で防ぐも徐々に後ろに下がるベチル。
「(このままいけば!)」
「自ら風を生むか…」
ベチルの目が怪しく光ると突然、翠の体が宙を舞う。
「うわっ!」
「落ちろ」
風に包まれながら激しく地面に叩きつけられる翠。
「がはっ!」
「まだ終わりじゃない」
翠の体は何度も宙を舞い地面に落下する。
「…」
「強くなりすぎたか。
先に進んだ二人でもっと楽しむか」
去ろうとしたベチルの背後でゆっくりと立ち上がる翠。
「…い」
「まだくたばらないのか…死ねっ!」
ベチルが腕を振り上げ黒い風の刃を飛ばすも、翠の前で弾ける。
「ん?」
「…ない」
何度も飛ばすが翠に届く事はなかった。
「どうして届かない!?
…風が奴に向かって吹いている?」
「負けない!!」
次の瞬間、翠へと風が集まり始める。
「ばかな!
風の支配が効かないだと!?
なるほど…そういう事か」
体が傷付いていく翠を見て納得するベチル。
「自分が傷付かないように抑えるのを止めたのか。
確かに風を操るなら自分自身も危険が及ぶからな」
「ベチル…僕が倒れるか君が倒れるか…次の一撃で決めよう」
「フッ、面白い」
ベチルも傷付きながら風を集め始めた。
「いくぞ!」
「来い!」
翠は両手を合わせ巨大な風の刃を放ち、ベチルは両手を突き出し槍の様な風を放つ。
「いけー!」
「くたばれ!」
風の刃と槍は激しくぶつかり、周囲を破壊しながら爆発する。
「…うっ」
「…あと…すこ…し…」
翠は地面に転がり、ベチルは体を引き裂かれていた。
「…白…ちゃん…の…とこ…に」
翠は全身から血を流しゆっくり目を閉じる。




