十六色 油断
「…」
窓の外を険しい顔つきで見つめる彩呀。
「社長どうしたんですか?」
「ん?ああ、ちょっと敵の動きが気になってね」
「最近はあまり襲ってこないですね」
「世界各国にもあまり魔が出現していないらしい。
嫌な予感がする」
「皆さんがいれば大丈夫ですよね?」
「あいつらもかなり成長したからな。
後は橙児か…」
「どしたら理解してくれるでしょうか?」
「難しいだろうな」
「あ、買い物に行ってきますね!」
「誰かと一緒に行った方がいいぞ」
「そんな遠くまで行かないですから大丈夫ですよ」
そう言って白は事務所を出ていく。
「雨が降りそう…急がないと」
白は買い物を終えると真っ直ぐ事務所へ向かう。
「ちょっと降ってきちゃった。
…そんな」
川原の側を走っている白の目の前にゼーレが立ちはだかる。
「一人か?
やはり隙を作れば脆いな」
「(逃げなきゃ!でも足が動かない)」
「心配するな。
貴様は殺さずに贄として連れ帰る」
ゼーレはゆっくり白に近付く。
「(声が…出ない…誰か…助けて!)」
白に触れようと伸ばした手を何かに弾かれるゼーレ。
「ほう、こんな芸当も出来るのか」
恐怖で瞑っていた目を開くと白の回りに淡い橙色の壁が出来ていた。
「まずは俺と決着を着けるのが先だろ?」
「橙児さん!」
「そうだったな…」
ゆっくり剣を抜き構えるゼーレ。
「まぁ俺が勝つがな」
銃を抜き連射しながら近付く橙児。
「この程度か?」
「お前がな」
光りの銃弾を打ち落としていたゼーレは突然右側へと吹き飛ばされる。
「ぐっ!(確かに弾は打ち落としていたはず…奴の左手の不自然な位置…そうか)」
「驚いて声も出ないか?」
「貴様は銃からしか光りを操れないと思っていたがカモフラージュだったとはな」
「カモフラージュって訳じゃない。
こいつを通すと照準を合わせやすいからな」
「なるほど…ならば我も見せねばな」
その時ゼーレの持つ剣が黒く輝き出す。
「見せてみろ」
ゼーレは橙児と一気に間合いを詰め剣を振り下ろした。
「何が違…」
橙色の盾で防いだはずが橙児の胸に黒い光りが走り血が噴き出す。
「我が一撃を受けて体を引き裂かれなかったのは貴様が初めてだ。
だが遠すぎたな弱き戦士よ」
「がはっ!(意識が…くそ…)」
「橙児さん!」
駆け寄る白の首を掴み闇へとゼーレは消えていく。
「ま…て…」
激しく降る雨が橙児の周りを赤く染めていった。




