十五色 戦いの価値観
合宿を終え紅蓮達は事務所に帰っていた。
「じゃあ紅蓮、蒼司頼んだぞ」
「はい!」
二人は事務所を出ていく。
「アイドルは大変だなぁ」
そう呟きソファーに寝転びながら雑誌を読む橙児。
「お前もしてみるか?」
「フッ…冗談はやめてくれ。
戦いに身を置く人間がアイドルだなんて馬鹿げてる」
「お前は何もわかってないんだな」
「分かってるさ。
力を持つ人間は戦いに集中すべきだ。
あいつらは弱いから責められないように人気集めだろ」
「もう少し戦いとは何か学ぶべきだな」
「戦いとアイドルがどう繋がるのかさっぱりだ。
出てくる」
橙児は不機嫌そうにソファーから起き上がり出ていく。
「困ったやつだ」
事務所を出た橙児は近くの商店街を歩いていた。
「あ、この曲COLORSの新曲だよ!」
「本当だ!COLORSいいよね!」
「そんなにいいのか?」
楽しそうに話している女子高生に話し掛ける橙児。
「え?(イケメン!)
お兄さんCOLORS知らないんですか?」
「海外が長かったからね」
「そうなんだ。
COLORSはみんな個性豊かでかっこよくて皆を守ってくれてるんですよ!」
「命懸けで私達を守るアイドル!
最高だよねー!」
「うんうん!」
「もし彼等が守れなかったらどうする?」
「え?」
「アイドルなんかしていて人を守り抜けるかな?
半端な奴は半端な事しか成せないと思うけど」
「何それ?COLORSの事何も知らないのに偉そうな事言わないでよ!
お兄さん顔は良くても中身最低。
行こ」
「うん」
「そうやって幻想を抱いてりゃいいさ。
必ず後悔する時が来る」
橙児は商店街を抜け街中を散策していると子供達と遊ぶ白と藍麻を見つける。
「アイドルの次は子守りかよ」
「あれ?橙児さん!」
白が橙児を見つけ駆け寄っていく。
「アイドルはお気楽でいいな」
「え?ああ!
あの子達は社長が経営する施設の子供なんです」
「彩呀さんが?
初耳だな」
「魔に襲われて両親を亡くした子供達で。
藍麻さん達は手が空いた時は相手してあげてるんですよ」
「ふーん。
ま、アイドルなんかしてるからあの子供達の親を守れないんだろうな」
「違います!
皆さん全力で守るために戦ってるんです!
確かに完璧に守るのは難しいけど…それはアイドルだからとか関係ないはずだから。
橙児さん…そんなにアイドルはダメですか?」
「ダメだな。
そんな事をしている暇があるなら腕を磨いた方が賢明だ。
アイドルなんかで人は守れない」
「確かに戦う力を鍛えるのは大事だと思います。
でも敵を倒せば戦いは終わりですか?
傷付いた人達の心を癒すのも戦いだと思います!
COLORSの活動で多くの人から少しでも不安や恐怖を取り除きたい。
皆さんはそんな気持ちでアイドルをしてると私は思うんです」
「理解できないな。
俺は世界を廻りながら戦ってきた。
戦う力を持つ人間は戦いの中だけに存在価値があるんだよ。
それなのにアイドル…ありえない」
「橙児さんは一人でずっと辛い思いをしてたんですね。
けどこれからは」
「やめてくれ。
俺は馴れ合う気はない。
辛い思い?笑わせる!
辛いも何も敵を倒す悦びしか俺にはない」
橙児はそう言って去っていく。
「橙児さん…」
「俺は力さえあればいい」
独り橙児は街中に消えていった。




