十二色 成長する風
翠は向かってくるベチルに大きな風の刃を放つ。
「そんなんじゃ傷付けられないよ」
ベチルが人差し指一本で風の刃を受け止めると形を変え小さな風の刃が襲う。
「なめてると怪我するよ」
「ふーん…ちょっとムカついた」
破裂したような音と共にベチルの姿が消え、背後に現れたベチルが黒い風の玉をぶつけ吹き飛ぶ翠。
「ぐあっ!」
「弱いなぁ。
この程度ならすぐ終わっちゃうよ」
「(見えなかった…もう一度受けたら危険だ。
なら! )」
立ち上がり両手を横に広げ翠は目を閉じる。
「何をしたって無駄だよ!」
再び破裂音と共に姿を消すベチル。
「見えなくても!」
ベチルが翠の背後に回った時、巨大な竜巻が翠の回りに出現する。
「確かに近付けない…でも」
ベチルの目が輝くと翠の竜巻を覆うように逆回転の黒い竜巻が現れた。
「くっ…僕の竜巻が消えちゃう」
必死に抵抗するも竜巻は消え黒い竜巻に飲み込まれ空に打ち上げられる翠。
「そのまま潰れろ!」
黒い竜巻は更に翠を飲み込み地面に叩きつけた。
「へぇ、まだ動けるんだ」
翠は傷だらけの体を起こす。
「我が心に吹き荒れし風よ!悪しき全てを消し飛ばせ!」
甲高い音が周囲に響く。
「何の音?」
「すぐわかるよ」
「ま、いいか。
バラバラにしてあげるよ!」
ベチルが黒い風の刃を翠にいくつも投げるが途中で弾けるように消えてしまう。
「ん?なんで消えちゃうんだろ?」
「ベチル…君とは仲良くなれたかもね」
翠が左手を強く閉じるとベチルの周囲に青白く輝く風が現れた。
「さっきの音はこれか。
僕に気付かれないように弱く風を集めてたんだ」
「違う…風が強すぎたから見えずに音だけだったんだよ」
「強すぎたから?
こんなの吹き飛ばして…あれ?風が出ない」
「そこは僕の風の中だから…真空になり君は死ぬ」
「死ぬ?冗談も…体が痛い!
全身が引っ張られる!」
「終わりだよ」
ベチルの叫び声が響いた瞬間、青白く輝く風が消し飛ぶ。
「どうして!?」
「なるほど。
お前達は戦いで一気に成長する戦士か」
傷だらけのベチルを脇に抱え剣を構えたゼーレがいた。
「僕の風を切り裂いた…」
「さて、こちらもやられてばかりはいられぬな。
死ね」
一瞬で翠の前に移動し剣を首へと振るゼーレ。
「(うそ…)」
剣が翠の首に触れる瞬間、ゼーレの腕が凍り動きを止め炎が体を吹き飛ばす。
「翠!」
「紅蓮!蒼司!」
「つい味わおうと動きを止めてしまった。
仲間と…贄か」
ゼーレは紅蓮達の後ろにいる白を見つめる。




