十色 ゼーレの脅威
「新手か…二人まとめて倒す!」
黄理が再び右手に巨大な鎚を作り振り下ろす。
「なかなかだが」
ゼーレは難なくと指二本で受け止めた。
「指二本!?」
「力はかなりの物だがそれだけでは…ん?」
鎚に触れた指から徐々に体が石化していくゼーレ。
「力だけじゃねぇぜ!
そのまま砕いてや」
黄理は力を入れようとした瞬間、鎚が砕け全身から血を吹き出し倒れる。
「この程度か」
石化した手に力を込めゼーレは表面の石を砕く。
「(見えなかった…奴は何をしたんだ?)」
「ここで片付けてもいいが今日は挨拶だけにしておこう。
我が名はゼーレ。
六魔将を従えし者、覚えておくがいいこの世界の戦士よ。
いずれ贄となる娘を貰いに来よう」
そう言ってゼーレとロドルは黒い光りに包まれ消えていった。
「ゼーレ…」
黄理はそのまま気を失い、紫劉の連絡を受けたミネルバが二人を病院へと運ぶ。
「ゼーレ…それが敵のボスの名だね」
「奴の剣を抜く動作が全く見えなかった。
あんな強い奴がいるなんて驚きだ」
「今は体を休める事を考えな。
紫劉も全身が高熱を持って危ない状態だったんだ。
あんた達はしばらく休養だね」
「分かった」
「(六魔将を超える強さを持った奴が出てきちまったかい…あまり猶予は無さそうだね)」
その頃、ゼーレはテルガルドを呼び出していた。
「テルガルド、貴様も転生の間に入れ」
「しかし、それではあの贄を捕まえる役目は?」
「今のお前ではまた負けるのは目に見えている。
奴を使う」
「!?いけません!
確かに奴の力は強大ですが中身はまだまだ未熟。
下手をすれば贄を殺しかねません」
「我が見守るから心配はない」
「…わかりました。ご武運を…」
テルガルドは去っていく。
「さて、奴の居場所を見つけねばな」
それから数日が過ぎた頃、一人空に浮き特訓を続ける翠の姿があった。
「まだ皆は完全じゃない。
僕がやらないと!」
その時、翠の背後に少年が現れる。
「何してるの?」
「え?うわぁぁぁ!」
驚き力のコントロールを失い落下して地面ギリギリの所で体を浮かせる翠。
「びっくりした…あれ?さっきの子は」
「こっちこっち」
翠の肩を叩き振り返る翠に笑みを向ける少年。
「君は一体…」
「僕はベチル!よろしくね」
手を差し出すベチルの無邪気な笑みを見て翠は思わず手を握っていた。




