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転生おばあちゃんの幼馴染みは勇者ちゃん  作者: こう


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27 エメリナという女の子


 私の話をしよう。

 この十七年間、エメリナとして生きてきた私の話。


 ふわふわの金髪は腰まで。空色の瞳は大きくて丸い、小動物を思わせる容姿。

 白い肌にぷっくりした桜色の唇。ちょっとつんっと上向きで、黙っていると拗ねているように見えちゃうのが悩み。ほっそり小柄でスレンダー体型。自警団の制服の着脱が面倒すぎて、ぼたんを外さずスポッと着脱しちゃう。制服を着ている間は、ふわふわの髪を一つにまとめて尻尾みたいになる。

 ぱっと見、守ってあげたくなる小型犬。


 ハイハイ、容姿の話、容姿の話。


 中身は勇ましくて前向きで、常に未来を信じて突き進む、光属性の勇者――という、「設定」がある。


 なにこれ「設定」って。マジでなに?


 私の育ったトリスが魔物に襲われ、幼馴染みで親友のアニシアが襲われたその瞬間、私の中で力が弾けた。


 その衝撃で私は、世にも珍しい光属性の魔力と……男子中学生、それも中学二年生だった記憶が蘇った。

 中学二年生。よりにもよって、思春期まっただ中の記憶を。

 なんならちょっと患っていた。何を? 察して? 皆履修してるでしょ?

 この記憶が、突然目覚めた光属性よりも私を悩ませている。


 前世の「俺」は、平均的な一般家庭だった。一般市民だ。貧乏すぎることもなく、豊か過ぎることもない。

 サラリーマンの父親にパートの母親、高校生の姉に中学生の俺の四人家族。ペットを飼う余裕はなく、一軒家ではなくファミリータイプのマンション暮らし。

 両親は共働きだけど、姉も俺も四六時中見ていなくてはならない幼児ではない。割と自由に生活していた。俺は部活動に精を出し、姉は外に出るより家の中でゲーム三昧を繰り返した。


 気になるゲームは片っ端から手を出した姉は、ストレス発散無双ゲームやパズルゲーム、シュミレーションゲームやシューティングゲーム、RPGやその他もろもろと、割と何でも手を出していた。

 おかげさまで俺も興味を引かれたら一緒にゲームが出来た。姉との交流は、ゲームの話が大半を占めていた。共通の話題があったから、仲がいいほうだったと思う。


 そのうちの一つ。その中の一つのゲームが……今「私」が生きている世界に、とても酷似している。

 この世界は、前世の「俺」が記憶しているゲーム……『トライアングルラブキス!~貴方は誰の手を握る?~』に激似だった。


 トライアングルラブキス。略してトラキス。


 三角関係をテーマに、剣と魔法のファンタジーな世界観の乙女ゲーム。

 舞台は帝国の隅っこにある田舎町トリス。魔物の襲撃にあった町で、命の危機に陥ったヒロインが光属性に覚醒することから始まるアクション恋愛ゲームだ。戦闘しながら交流するタイプの恋愛ゲーム……だったと思う。


 この世界には魔物が居て、それを倒すには属性持ちと呼ばれる何らかの魔法属性を持つ人間が推奨される。属性持ちは無属性の人間よりも身体能力が高く丈夫なつくりをしているためだ。

 魔法属性は全部で六つ。代表的なのが火・水・風・地属性の四つ。一人が一つの属性を持つのが一般的だが、大多数は無属性。属性持ちは自警団や騎士団に所属して力の使い方を学ぶ。庶民が自警団、貴族が騎士団に多い。


 そしてとても数が少ない闇属性と光属性。

 闇属性は魔物に多い為、魔の属性と言われ、恐れられ排斥されるので覚醒しても申告しないことが多い。その為に少ないとも言われている。

 光属性は、まったくいないわけではないけれど滅多にいない。存在したら僥倖、という程度。


 ただ、属性にも相性がある。魔物に闇属性が多いので、闇を圧倒する光属性は重宝される。

 そんな重宝される属性に目覚めるとか流石ヒロインとしか言いようがない。


 さてそんな重宝される光属性……実はこれ全部ゲーム知識で、実際には何ができるかわかっていない。けれど魔物に有効だと考えられている。

 そんな存在を田舎町に置いておくにはもったいないと考えるのが、ある意味当然の流れみたいなもので……。


「今なんて言った?」


 幼馴染のひっくい声に、思わずひえっと悲鳴を漏らしそうになったけど耐えた。


 何こいつめっちゃ怖い。


 本部の応接室にある椅子に座りながら、私は肩を竦めて小さくなっていた。

 木製の長方形のテーブルに、三人が向かい合って座っている。私はいわゆるお誕生日席に座って、どちらにも属さない立ち位置にいた。


 わかりやすく、自警団側と騎士団側で別れた配置。


 ひっくい声を出したのは、自警団側に座る幼馴染のセリオ。

 焦げ茶色の釣り目をキリキリ吊り上げながら、騎士団側で優雅に座る美丈夫を睨みつけている。


「必要ならばもう一度言おう」


 艶のある金髪をさらりと揺らして、白銀の甲冑を着た青年が穏やかに繰り返す。


「光属性に目覚めたエメリナ嬢は、我ら巡回騎士の帰還と共に帝都へと連れていく」


 うわーんこれゲームの序章イベントだよぉおおおお!!



エメリナは 混乱している!

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