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転生おばあちゃんの幼馴染みは勇者ちゃん  作者: こう


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23 母の安心感


 それから私が完治するまで、一週間近くかかったわ。

 長いと感じるかしら、短いと感じるかしら。魔法のある世界線を考えると、長いと考える人が多いかもしれないわ。

 だって魔法があれば、ぱっと治せてしまえそうだもの。前世の息子がしていたゲームでも、ぱっと傷が治っていたわ。瀕死になっても生き返ってすぐ戦うの。魔法って、そういうのが普通にできそうよね。

 でもできないの。


「それが出来る治癒魔法の使い手がいたら、まさしく神の御業だね。今頃大金を積まれて国の為に貴族達から囲われて、帝都から一歩も出てこないと思うね」

「あらまあ」


 ちょっとした疑問だったのに、具体的な内容で回答が来たわ。

 私の治療をしてくれた治療魔法の使い手、オスワルド先生は苦笑しながら理由を教えてくれた。


「治癒の精度は経験則。少ない魔力でも、慣れている使い手ならすぐ治せる。だけど治癒魔法は、正確に言うと傷が治るように働きかけているのさ。生きていたら治せる傷しか治せない。それこそ瀕死状態の傷は、出血多量なら手遅れになる。君がなりかけた瀕死はそれだね」

「お手数をおかけいたしました」

「間に合ってよかったよ。日々応急処置の経験を積んでいたルイスがいてよかった」


 自分でも思っているけれど、私って本当にギリギリだったのね。

 そんなわけで、魔法があっても即座に全快! とはならないみたい。それが出来るなら神の御業――なのだけれど。


「君のその回復、もしかしたらエメリナの光魔法が関係しているかもしれないんだよね」

「あら」


 ルイスの応急処置と、オスワルド先生の処置。それらが間に合って私の命は繋がったと考えられている……はずだったのだけれど、その直前に覚醒したエメリナの光魔法が私に影響を与えた可能性がある、らしいわ。


「エメリナの覚醒理由は、アニシアを助けたいと強く願ったからだ。あの子の想いに魔力が答えて覚醒したなら、魔物の消滅だけでなく治癒にも関わったのでは? と新参者達が考えていてね」

「まあ……」


 新参者、と表現したオスワルド先生はとても嫌そうな顔をしているわ。

 とっても珍しい。オスワルド先生はいつも飄々としていて、テオさんといる時は楽しそうだけれど、それ以外は基本的に常に穏やかなのに。


「もしかしたら、その新参者が声を掛けてくるかもしれないが、あまり気にせず流してしまって良いからね」

「聞かれても、答えられないわ。私は無属性だから魔力のことはわからないし……私、ルイスとオスワルド先生に助けられたと思っているもの。治してくれてありがとうございます、先生」

「ここの子達は皆素直でいい子だね」


 にこ、と笑ったオスワルド先生が私の頭をふわふわ撫でた。触れるか触れないかの柔らかな接触。ちょっと擽ったいわ。


「そうだね。わからないコトは、わからないと答えて良いよ。その方が向こうも諦めやすそうだ」

「そんなに、彼らはエメリナを……光属性を気にしているの?」

「ああ、なんとしても帝都に連れて行くと言うくらいにはね――あんな場所、ここの子達が穢されてしまうよ」


 最後、小さく呟いたオスワルド先生の目は、まるで掃除した後に見つけた水垢をみるような目だったわ。

 ……先生にも色々と事情がおありなのね。

 とにかく私は主治医(オスワルド先生)からの許可を得て、やっとお家へ帰ることができたの。

 迎えに来てくれた両親の力強い抱擁を受けてから、まだ襲撃の爪痕が残る町を歩いたわ。ずっと治療中で診療所にいた私は、改めて魔物の恐ろしさを実感した。

 地震とも、台風とも違う。

 言葉通り爪痕の残る建物や、えぐれた地面に、私は思わずお母さんの手をぎゅっと握っていた。あの爪に背中を引っかかれたのだと思って、治ったはずの背中が疼いて怖くなってしまったの。

 不思議ね、死ぬと思った時はあんなに穏やかだったのに、痛いのはやっぱり怖いの。


「大丈夫よ、アニシア」


 不安がる私の手を、お母さんが力強く握り返してくれる。こっそり見上げると、力強い母の笑顔があった。

 いくつになっても、母の笑顔が安心するなんて、私も子供ね。

 精神年齢は誰よりも高いはずなのに、本当に不思議。


「今日はお祝いよ。アニシアが好きな物たくさん作るわね」

「嬉しいけれど、在庫は平気?」

「大丈夫。そろそろ商人も来る時期だし、最近は炊き出し中心で単品料理を作ってないからね。今日くらいは」


 嬉しそうなお父さんがあれも作ろう、これも作ろうと徐々にテンションを上げていく。私を迎えに来て、一緒に帰る途中で、娘が無事に帰ってきたと実感して気分が高揚してきたみたい。可愛いわ。


「ルイス君呼ぶ?」

「エメリナちゃんは?」

「その二人を呼ぶならセリオ君も呼ばないと」

「もう、そんな大袈裟にしなくて良いのよ。皆忙しいからそれどころではないわ」


 ワクワクし始めた両親を止めて、自分で言った言葉に頷く。そう、皆忙しいの。

 特にエメリナは、人伝に聞いた話だけれど、とてもモテモテらしいから。


 ――光属性に目覚めた者として。



緊急メンテで投稿前の物が消えてしまい涙(まさしく直前に編集していた)

Wordに書いた物をコピペして見直しして投稿の流れです。それでも見逃す誤字脱字。

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