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転生おばあちゃんの幼馴染みは勇者ちゃん  作者: こう


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17 広場の騒動4


「ぶつかってごめんなさい! プリシラを支えてくれてありがとう!」


 真っ先にそう言って、プリシラちゃんに駆け寄るエメリナ。

 ぶつかったプリシラちゃんは、突然現れた美貌の騎士様にぽうっと見惚れてしまっているわ。無理もないわね、思わず目を奪われるくらい、麗しい顔立ちだもの。


 ――でも、知らない人だわ。


「いいえ、お怪我がないようで何よりです。ですが人も多いので、走ってはいけませんよ」

「はい……」


 子供に言い聞かせるような口調だったけれど、ぽやっとしているプリシラちゃんは頷くので精一杯みたい。彼女の青い目が飴玉みたいに甘やかになっちゃっているわ。


「本当にごめんなさい。騒ぎ過ぎちゃった。あなたに怪我はない?」

「ええ、問題ありませんよ」

「レオカディオ様、そろそろ」


 にこ、と笑う様子は、この田舎町では見ない紳士的な物腰ね。

 そんな彼の背後で、立ち止まっていた一団が声を上げた。


 金髪赤い目の騎士様の後ろにいたのは、とても煌びやかな青年達だったわ。


 騎士様と似た装いの、青い髪の騎士。

 魔道士らしき格好をした茶髪の男性。

 緑のかかった黒髪の、騎士服を着た小柄な女の子。


 誰もが目を引く美しさで、私はあまりの眩しさにたくさん瞬きをしちゃったわ。


「ああ、わかっている。ではお嬢さん達、私はこれで失礼します」

「あ……」


 スッと腰を折った彼は、そのまま見覚えのない一団と一緒に去って行った。

 広場から、西の通路へ……駐屯所のある方向へ。


「なんか、カラフルな人達だったね」

「ええ、そうね」

「どこを見ていますの……? 皆さんとてもお綺麗でしたわ!」


 先程とは違う意味で頬を染めながら、プリシラちゃんがふんすふんすと鼻息荒く彼らの背中を見送る。目が完全にハートだわ。


「冒険者の方々でしょうか。それとも、新しい巡回騎士? 予定より日が早いですが、あり得ますわ」

「えー? でもルイスくらいの女の子がいたよ? 騎士ってなるの厳しいんでしょ? 冒険者じゃない?」

「あなたという人は……自分というイレギュラーを忘れていますの? あなたみたいな人がいるなら、年若くても実力のある女の子が他にいても驚きませんわ!」


 プリシラちゃん、ツンツンしているけれど、エメリナの実力をちゃんと評価しているのよね。

 エメリナもそれを感じたのか、にっこり笑顔になったわ。


「……そっかー! それもそうだね。巡回騎士ってエリート登竜門らしいし、私みたいな将来有望株ってコトかなぁ」

「将来有望株は、こんなところでさぼらねぇよ」

「セッ」

「あれ、セリオ」


 嬉しそうに胸を張るエメリナに、呆れた顔のセリオが近付いて来た。

 多分、私が頼んだ子が呼んできてくれたのよね。


 さっきまで大騒ぎだった広場の喧噪は、すっかり落ち着いているわ。途中から女子会みたいになっちゃったから、他の人達も散り散りになったし。

 でも初心者さん(と、ロドルフォ)は倒れたままだから、来てくれて助かったわ。流石にエメリナ一人で初心者さんを自警団まで連れて行けないもの。


 と思ったのだけれど。


「まあエメリナ。あなたサボりだったの?」

「違うよ! 団長に町内三周して来いって言われたから訓練中!」

「それは訓練じゃなくて罰則じゃない?」

「罰則だよ」


 何をしたのかしら、エメリナ。


 呆れ顔のセリオは、倒れている初心者さんを軽々担ぎ上げる。立ち上がってもふらつきもしないのは流石ね。流石、鍛えているわ。


「あのセ」

「そうだ! 外周は終わったから、何があったのか私から説明するよ。アニシアお遣いでしょ、早く帰らないと」

「本当に終わったんだろうな」

「ちょっと」

「終わったよ~」

「なら一緒に行くぞ、何があったのかは本部で聞くから」

「わたくしが」

「はいはい。じゃあまたねアニシア! プリシラ!」

「ええ、またね」


 ぴょんぴょんと跳ねるように、軽快な動きでセリオの隣に立つエメリナ。くるりと振り返って笑顔で手を振る姿に、私も笑顔で手を振った。

 並んで去って行く二人を見送って……私は、セリオが現れてからまともに発言できなかったプリシラちゃんを振り返った。


 彼女はセリオに声を掛けようとして、悉くエメリナと発言が被って、一言もセリオと話せないまま終わってしまった。


 エメリナに悪気はないと思うけれど、本当に、タイミングが悪いわ。

 怒りで真っ赤になりながら、プリシラちゃんはぷるぷる震えた。


「あ、あの子は、本当にもう~!!」


 今の流れを見て、流石に、邪魔してないって言えないわね。

 ごめんなさいね。


タイミングが悪いプリシラちゃん。

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