表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奈落の底で、吸血鬼は人間をやめない ~転生TS吸血鬼は、死にかけた人間を救い、壊れた古代施設を家にする~  作者: 白峰ユラ
第五部《大崩落》

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/99

第十四話《殻の下》

その瞳は、まだ私を捉えていた。


深淵航鯨の心臓は止まっている。


本来の頭部へ向かう血流もない。


胸鰭にも尾部にも、航鯨自身の意思で動いている筋肉は残っていなかった。


航鯨は死んでいる。


けれど、その胸部では別の循環が始まっていた。


胸鱗に浮いた黒い斑点が互いにつながり、一つの領域へ変わっていく。


《血液感知》を絞ると、航鯨の全身へ伸びた黒い筋の中を、死んだ血が移動しているのが分かった。


本来の血管も、止まった心臓も通っていない。


血は胸部の奥に生まれた別の中枢から押し出され、航鯨の頭ではない場所へ戻っていた。


これは航鯨の生命活動ではない。


胸部に根を張った黒い組織が、死体を内側から取り込んでいる。


裂けた胸鱗の間から現れた頭部が、わずかに持ち上がった。


角に似た突起。


鱗のない頬。


光を返さない皮膚。


その中で、開いた瞳だけが私を追っている。


胸鱗の内側から、骨の軋む音が響いた。


死んだ肉を押し分け、まだつながりきっていない骨が位置を変えていく。


地面へ小さな振動が伝わった。


航鯨の尾が跳ねた。


死後の痙攣ではない。


尾へ続く筋肉の中にも、黒い筋が入り込んでいる。


管理者接続を通して、白夜の右肩側へ荷重が返った。


右腕を失った白夜は、欠損部の近くに残った胸部装甲を崩落壁へ押し当てている。


膝と腰を固定し、救助口へ落ちてくる岩盤を受け止めていた。


搭乗者のいない白夜が姿勢を保てるのは、私との接続が切れておらず、こちらから魔力を送り続けているからだ。


航鯨の尾が地面を削った衝撃で、白夜の装甲がわずかに沈む。


右膝の下で岩が割れた。


兵士が槍を構えた。


別の兵士も、胸部から覗く頭へ剣を向ける。


「待って」


隊長格の兵士が振り返った。


「動いたぞ」


「分かってる。でも、まだ攻撃してない」


どこを壊せば止まるのか分からない。


頭を落とせば死ぬのか。


航鯨の胸部ごと焼けば止まるのか。


それとも、刺激した瞬間に死体の下までまとめて潰されるのか。


今ここにある戦力で、仕留めきれる保証はなかった。


その間にも、地下に埋もれた鼓動は弱くなっている。


呼吸のできる空間が狭まっているのだろう。


優先するものを決める。


「二人は周りの兵士を集めて、白夜の後ろにいる避難民を都外まで連れていって。残りは救助を続ける。私たちも終わり次第離れる」


隊長格の兵士が、開いた瞳と私を交互に見た。


「あれを残したままか」


「今は、埋まってる人を出す」


「……分かった。救助完了と同時に離脱する」


頬に残っていた涙を手の甲で拭った。


次の涙は落ちなかった。


「聞いたな!」


隊長格の兵士が武器を下ろした。


「第一班だけ残れ! ほかは負傷者を連れて離脱! 都外へ出るまで止まるな!」


兵士たちが動き出す。


これまで白夜の背後は、瓦礫から引き出した者へ応急処置を行う場所だった。


だが、胸部で変化が続いている以上、ここへ留めてはおけない。


航鯨の死体に近すぎる。


「重傷者は担架へ。歩けない人と子供には一人ずつつけて。歩ける人は避難路へ誘導して」


治療兵が頷いた。


担架が持ち上げられる。


動ける者が、動けない者の肩を支えた。


片腕を布で吊った兵士が子供を背負い、治療兵が先頭に立って既存の避難路へ向かう。


父親は娘の手を握っていた。


娘は担架へ載せられている。


父親は私を見なかった。


妻が残っている換気路へ一度だけ顔を向け、それから娘の担架について歩き始めた。


私の手を振り払った女も、別の治療兵へ支えられていた。


閉じた傷から血は漏れていない。


両脚も動いている。


女も私とは目を合わせなかった。


それでも、避難路へ向かっている。


今はそれでいい。


最初の集団が現場を離れる。


兵士が前後につき、担架同士の間隔を空けて進んでいく。


航鯨から遠ざかる背中を確認してから、頭上へ意識を戻した。


胸部に別の頭が現れてから、死体の上空へ翼鰭魚が集まっている。


群れは高度を下げ、航鯨を中心に狭い円を描いていた。


放電クラゲも胸部の上へ寄り、青白い光を同じ間隔で明滅させている。


こちらへは来ない。


けれど、いつ動くかは分からない。


見張りを残した分だけ、救助へ回せる人数は減った。


ここから先は、残った者だけで続けるしかない。


《血液感知》を地下へ沈める。


航鯨の死んだ血が、感知範囲の大部分を埋めていた。


黒い筋へ引かれる血。


地面へ染み込んだ血。


崩れた地下区画へ流れ落ちた血。


その中に、人間の細い循環が埋もれている。


一つへ意識を絞った。


場所は航鯨の胸部の下。


崩れた旧水路の奥だった。


「胸部の下に一人いる」


隊長格の兵士が救助口を見る。


胸鱗の一部が岩盤へ斜めに食い込み、その隣に人が通れるだけの隙間を残していた。


「入れるのか」


「入るしかない。二人来て」


隊長格が一人を指した。


「俺たちが行く。残りは搬送を続けろ」


崩れた胸鱗へ近づく。


隙間へ入る前に、入口へ一本の血糸を残した。


帰る方向を示すための糸だった。


さらに二本を胸鱗と航鯨の肋骨へ回し、落ちかけた鱗が内側へ倒れないよう張る。


亀裂へ入った。


内部は暗い。


暗視の中に、崩れた石と梁が浮かんでいる。


「足元、段差」


後ろの二人が速度を落とした。


天井は低い。


航鯨の死体が岩盤を押し下げている。


弱い鼓動は右前方にあった。


瓦礫を一つずつ外す。


その奥に、折れた梁が斜めに残っていた。


「これは動かせない」


梁が天井を受けている。


外せば、その上に積もった石まで落ちる。


血の反応は梁の下から届いていた。


下を掘るしかない。


血刃の先を平たく変形させ、土砂へ差し入れた。


岩へ当たるたびに刃先を薄くし、隙間から砂を掻き出す。


右肩の痛みが強くなった。


呼吸が浅くなる。


けれど、この下の鼓動は続いている。


外で航鯨の死体が動いた。


天井から砂が落ちる。


入口へ張った血糸の一本が軋んだ。


手は止めない。


瓦礫の下から腕が見えた。


指がわずかに動いている。


「いた」


周囲の土砂を掻き出す。


男だった。


腰から下を瓦礫に挟まれ、意識はない。


呼吸は浅く、左脚の血管が裂けていた。


まず血糸を左脚へ巻き、裂けた血管の両側を押さえる。


その上から手を置いた。


《血脈再生》


生きている血管の端をつなぐ。


裂けた筋肉を寄せる。


すべては治さない。


出血を止め、搬出に耐えられる状態まで戻す。


周囲へ流れた血にも意識を伸ばした。


地面へ深く染みた分までは回収できない。


手の届く血だけを引く。


《返血》


床に残った赤い流れが傷口へ戻った。


男の循環が少し強くなる。


呼吸も続いている。


「引くよ」


二人が上体を持ち、私が腰の周りの石を浮かせる。


右脚が引っかかった。


「もう少し上」


隊長格が石を支え、もう一人が脚を外した。


男の身体を引き出す。


兵士が背負った。


入口へ残した血糸をたどって戻る。


外から低い振動が伝わった。


胸鱗の内側で、別の骨が伸びている。


支えに使った糸が張った。


一本が切れる。


天井から石の欠片が落ちた。


兵士を先へ出し、残った糸を引いて胸鱗の位置を保つ。


管理者接続の向こうでは、白夜の右膝がさらに岩盤へ沈んでいた。


左脛が崩落壁の基部へ押しつけられ、腰部固定の一つが警告を返している。


それでも、人が通れる隙間は残っていた。


男を外へ運び出す。


治療兵が駆け寄り、地面へ寝かせた。


首筋へ触れる。


「呼吸はある」


「左脚の血管は閉じた。戻せる血は戻してある」


「こっちで見る」


任せる。


治療兵は状態を確かめると、次の避難集団へ担架を回した。


白夜の後ろには留めない。


歩ける負傷者が担架の横につき、兵士が前後を固める。


二つ目の集団が現場から離れていった。


先に出た者たちは、もう避難路の先で小さくなっている。


航鯨の胸部へ視線を戻した。


翼に似た骨が、死体の内側から現れていた。


《深淵天竜》の翼に似ている。


けれど、同じではない。


骨の長さは揃わず、関節もつながりきっていない。


翼膜は途中までしか張られていなかった。


黒い組織が航鯨の血と肉を引き込み、生まれかけの輪郭へ送り続けている。


死体から血が減る。


筋肉が薄くなる。


その分だけ、胸部から現れた頭と翼骨が大きくなっていた。


何が生まれようとしているのか。


どこまで形を変えるのか。


分からない。


ただ、この変化は止まっていない。


頭は動かない。


瞳も閉じない。


私を見ているのか。


背後にある白夜を見ているのか。


それさえ判別できなかった。


見張りの兵士が、槍を構えたまま言った。


「あれは、出てくるのか」


「分からない」


「出てきたら?」


《血液感知》をさらに下へ伸ばす。


「その前に、残ってる人を出す」


航鯨の血が胸部へ集まったことで、それまで埋もれていた小さな循環が見えた。


さっき救出した男よりも深い場所。


厚い岩盤と、崩れた地下区画の向こう。


そこに、人間の血がある。


弱い。


一度、細く流れる。


止まりかける。


もう一度。


「いる」


隊長格の兵士がこちらを向いた。


「どこだ」


「もっと下。死体の真下」


避難集団は既存の避難路を進んでいる。


治療兵に支えられた女。


娘の担架から離れない父親。


兵士に背負われた子供。


さっき救出した男を運ぶ者たち。


少しずつ間隔を空けながら、航鯨の死体から遠ざかっていく。


ここへ残せば、胸部が動いた時に巻き込まれる。


動かせる者から離す。


まだ動いている血から救う。


ほかに選べる手順はなかった。


航鯨の胸部全体が内側へ沈んだ。


頭が動いたわけではない。


翼骨が胸鱗へ触れたわけでもない。


一キロメートルを超える死体の胸部が、一度に窪んだ。


周囲の空気が動く。


足元の灰が胸部へ向かって流れた。


砂が岩盤の上を走り、崩れた水路の隙間から細い風が吸い出される。


白夜の装甲表面を、土埃が一方向へ滑った。


管理者接続へ、周囲の圧力が急に抜ける感覚が返る。


翼鰭魚の群れが旋回をやめた。


すべての頭が、同じ瞬間に航鯨の胸部へ向く。


放電クラゲが一斉に青白く光った。


死んだ航鯨の胸腔が、ゆっくりと膨らみ始める。


本来の心臓は止まったまま。


本来の血流も動いていない。


それでも、胸部の中で動く別の中枢が、航鯨の巨大な胸腔へ空気を満たしていく。


息を吸った。


避難路を進む人々の背中が見える。


地下では、見つけたばかりの細い血が流れている。


私は胸部ではなく、その下を見た。


まだ、生きている。


吸い込まれた空気が、航鯨の胸部へ集まり続ける。


地面を走っていた砂が胸鱗の隙間へ消えた。


灰が舞い上がり、翼骨の周囲を渦巻く。


それだけの空気を取り込んでも、航鯨の肺は動いていない。


膨らんでいるのは、死体の中に作られた別の空洞だった。


《血液感知》には、黒い筋が一斉に縮む様子が映っている。


全身から集めた血と肉を、胸部の一点へ押し固めていた。


その下で、人間の血がまた細く流れた。


まだ止まっていない。


「下へ入る道は?」


隊長格の兵士が、さっき使った亀裂を覗き込む。


胸鱗が沈み、入口は半分まで潰れていた。


あの隙間から入っても、弱い循環までは届かない。


間にある地下区画ごと掘り抜く必要がある。


しかも、航鯨の胸部は今も形を変えている。


「今の入口からは無理」


「別の水路を探すか」


感知範囲を広げる。


東側の旧水路は崩落している。


西側は航鯨の腹部に押し潰されていた。


残る経路は死体の下を通る一本だけだが、途中で血の反応が途切れるほど岩盤が重なっている。


たどり着くまで、鼓動がもつとは思えない。


それでも、止まったわけではない。


「入口を広げる。白夜に――」


胸部の膨張が止まった。


空気の流れも止まる。


翼鰭魚が一斉に高度を上げた。


放電クラゲの明滅が消えた。


音がなくなった。


航鯨の外殻を支えていた骨が、内側から一本ずつ押し広げられる。


胸鱗の亀裂が伸びた。


白夜が受け止めている崩落壁まで振動が届く。


管理者接続へ複数の警告が返った。


右膝の支持限界。


腰部固定のずれ。


胸部装甲への圧力上昇。


避難路を見る。


先頭はすでに遠い。


だが、最後尾にはまだ担架が残っている。


負傷者を運ぶ兵士たちは、白夜の背後を抜けきっていない。


父親と娘もそこにいた。


隊長格の兵士が私の視線を追った。


「何が来る」


「分からない。でも、ここにいたら受ける」


「下の一人は」


細い血が一度だけ流れた。


私は白夜へ魔力を送る。


「残ってる兵士を避難路へ。走って」


「お前はどうする」


「白夜を動かす」


白夜は崩落壁を支えている。


ここから離せば、救助口は潰れる。


地下へ入るための道もなくなる。


けれど、このままなら、避難路の最後尾が何を受けるか分からない。


生きている二つの血流へ、同時に手を伸ばす時間は残っていなかった。


「白夜、接続を確認」


《管理者接続、継続中》


細い応答が返る。


「魔力供給を維持。崩落壁から離れて」


白夜の胸部が軋んだ。


右腕を失った側の装甲が、押しつけていた岩から剥がれる。


壁が沈む。


残った兵士たちが亀裂から飛び出した。


「全員出た!」


隊長格の声を聞き、白夜をさらに下げる。


支えを失った岩盤が崩れた。


さっきまで人が通れた隙間へ、胸鱗と石が落ちていく。


地下に残る鼓動は消えていない。


それでも、もう見えない。


白夜の右足を引く。


膝の支持部が震えた。


左脚へ荷重を移し、腰を回す。


搭乗者のいない巨体が、私から送る魔力と管理者接続の指示だけで向きを変えた。


一歩。


右脚が地面を擦る。


二歩目は出ない。


背部に残った推進器の一基を短く噴かせ、姿勢を前へ押し出す。


白夜が避難路と航鯨の間へ滑り込んだ。


「白い騎士の後ろへ!」


隊長格の兵士が走りながら叫ぶ。


担架を運ぶ者たちが白夜の陰へ入る。


父親が娘の頭へ覆いかぶさった。


治療兵が担架の脚を押さえる。


私は白夜の胸部を沈めた。


右腕はない。


左の拳も失っている。


残った左前腕を地面へつくこともできない。


左脚で立ち、壊れかけた右膝を外へ開き、胸部そのものを盾にする。


外側へ向けられる装甲を、すべて航鯨へ向けた。


その時、開いた口の奥が震えた。


喉があるようには見えない。


声帯も、肺につながる気道もない。


それでも、吸い込まれた空気が一点から押し出された。


最初に来たのは、音ではなかった。


圧力だった。


空間そのものが前へ押し出される。


航鯨の周囲を飛んでいた翼鰭魚が、弾けるように散った。


何体かは翼を折られ、岩盤へ叩きつけられる。


放電クラゲが潰れ、青白い光が線となって流れた。


地面の灰が壁になって迫る。


「伏せて!」


白夜の胸部へ衝撃が届いた。


管理者接続が白く染まる。


装甲の表面を砂と石が削り、亀裂へ入り込む。


白夜の背後で、人の身体が地面から浮いた。


血糸を伸ばす。


担架の四隅。


治療兵の腰。


子供を抱えた兵士の脚。


避難路の壁へ結び、流される身体を引き止める。


父親が娘の担架へしがみついた。


隊長格の兵士が二人の上へ盾を重ねる。


白夜の右膝から、硬い音が返った。


支持部が折れた。


右脚が外へ崩れる。


胸部を支えていた一点が消え、巨体が傾いた。


「左へ倒れないで」


残った左脚へ、すべての荷重を集める。


背部推進器を一度だけ噴かせた。


白夜の胸部が半歩分前へ戻る。


直後、装甲の中央に新しい亀裂が走った。


外板が一枚浮き、固定具が弾ける。


それでも白夜は倒れない。


背後にいる人々の血流も、散らされずに残っている。


遅れて音が来た。


高くも低くもない。


大きすぎて、耳では一つの音として拾えない。


岩盤が震え、胸骨の内側が揺さぶられる。


生まれたばかりの口から吐き出された声が、深淵都の崩れた区画を満たした。


産声だった。


音が続く間、航鯨の胸部は裂け続ける。


肩が現れた。


次に、二本の腕が外殻を押し分けた。


左右の長さは同じ。


関節の位置も揃っている。


さっきまで未完成だった翼骨とは違い、腕はすでに一つの身体として動いていた。


片方の手が胸鱗を押す。


指は五本あった。


人間と同じ数。


けれど、一節ごとに長すぎる。


黒い皮膚の下を、航鯨から奪った血が流れている。


もう片方の腕も外へ出た。


下半身はまだ死体の中に埋まっている。


肩から先だけで外殻を広げ、生まれかけの身体を引き上げようとしていた。


産声が途切れた。


圧力が抜ける。


白夜の背後で、咳と泣き声が戻ってきた。


父親が担架の横で顔を上げる。


娘の胸は上下している。


隊長格の兵士も立ち上がった。


全員、生きている。


私は血糸を解かず、白夜の姿勢を保った。


左脚だけが荷重を受けている。


右膝は折れたまま。


背部推進器からは熱の警告が返る。


胸部装甲の亀裂は、搭乗槽の外壁近くまで伸びていた。


次に同じ衝撃を受ければ、今の形では守れない。


航鯨の胸から突き出た頭がこちらを向いた。


開いた瞳は、群れも避難民も見なかった。


私の位置で止まる。


静寂の中、長い指が曲がった。


五本の指が、胸鱗の縁を掴んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ