出たい
カイと話をしてから五日後。
熱はすっかり下がった。
だが鴻からは、当分の間は外出禁止を言い渡されている。
最初のうちは退屈しなかった。
運動をしたり。
勉強をしたり。
庭へ出て散歩をしたり、植物を観察したり。
芝生に寝っ転がってみたり。屋敷の中をうろうろして。
疲れたら昼寝をして、時々考え事をする。
それなりにやることはあった。
だが五日も経てば話は別だ。
シオは相変わらず何故か私を避けているみたいだし。
そう言えば。
カイってシオと、どことなく似てる気がする。
髪色か。
灰色が混じった髪や全体が灰色の髪はあまり見かけないからな。
(‥‥いや、気のせいだな)
似ている人くらいはいるだろうな。
それにしてもシオはシオだけど鴻は忙しそうに仕事をしていて、手伝おうとしても断られる。
結果。
さすがに。
「暇だな……」
私は窓辺に肘をついた。
窓から入ってくる風は気持ちいい。
(外に出たい)
(屋敷にいたら思い出すから)
(散歩したい。五日も同じ場所を回るのは暇だ)
そんなことを考えながら窓の外を眺める。
すると少し気になることがあった。
(人が多い?)
通りを歩く人影。
行き交う馬車。
旅人や商人達。
普段なら見慣れた光景だ。
だが今日は妙に人通りが多い気がする。
しかも所々何人かの人がどこか急いでいるように見えた。
(祭りでもあるのか?)
そんな予定や話は聞いていない。
しばらく眺めていたが理由は分からなかった。
結局。
「気のせいか」
そう結論付けて、私は窓辺から離れた。
その時だった。
コンコンと扉が叩かる。
「どうぞ」
とそう言うと扉が開いた。
立っていたのは鴻だった。
「どうだ?」
「暇。」
「外に出たい」
「外に出たいって前までよく屋敷にいたじゃないか」
「出たらダメって言われたら出たくなった」
それに。
屋敷にいたら思い出すから出たいのに。
返事がないな。
不思議に思って顔を上げてみると、
鴻の口元が僅かに緩んでいた。
「何だよ、言われたら出たくなるって。」
「だから外に出て‥」
「それはダメだ」
即答か。反射神経どうなってるんだ。




