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2年後 日常

冷たい空気が庭を満たす。


霜が光を反射し、早朝の光がゆっくりと地面を染めていく。


玲は刀を握り、体を沈める。


十四歳。二年前の襲撃のあの日から成長した自分の体を感じながら、呼吸を整える。


太ももに残る古傷がわずかに疼く。

昨日の稽古で痛めたわけではない。

戦いの跡が、まだここにある。


「……痛みも、もう怖くない」


独り言のように呟く。


動きは滑らかで力強く、二年前の自分では考えられなかったスピードと精度を持つ。

もう、足枷になりたくない。強くなって守れるようになりたい。



隣でミアがストレッチをしている。

十一歳になった少女は、姉の動きに目を輝かせる。


「お姉様、今日はどんな練習ですか?」


まだ幼さの残る声だが、動きには自信がある。


「少しずつでも、お姉様に追いつきたい」


心の奥で決意を固め、体を低くして玲と組み手の準備をする。



庭の端に鴻が立っている。

十六歳。姉妹を見守る瞳には微かな誇りと安心が混じる。


「二年でずいぶん成長したな」



二年前、あの倉庫での戦いの影を思い出す。影は消えたわけではない。

だが、今、ここにいる彼女たちはもう一人ではない。


無言で、ただ見守る。


少し離れた場所には、玲の婚約者が立つ。十五歳。まだ少年の面影を残すが、剣を握る手に覚悟が宿る。


「玲、今日も負けません」


心の中で呟く。動きではまだ追いつけないが、尊敬と焦りが混じる。


「でも、これからもっと強くなるんだ」


未来への決意を胸に、呼吸を整える。


――庭が静まり、光だけが動く。


玲とミアが組み手を始める。

刃が交わる音が霜を震わせ、呼吸が互いの動きと同期する。


玲の古傷がわずかに疼くが、動きを止めるほどではない。痛みを感じながらも、体は自然に反応する。


「まだ、止まるわけにはいかない」


そう思い、ミアの動きに合わせる。

ミアは一歩一歩を意識し、姉の速度に目を慣らす。柔軟性を活かして距離を詰め、刃を交わす。


「……お姉様、すごい……!」


「かっこいい…好き❤️」

心の中で感嘆する。

まだ追いつけないが、それもまた学びだ。



鴻は二人の動きを観察し、内心で分析している。


「動きの癖、呼吸のリズム……よし、成長している」


口には出さないが、二年前の不安はほとんど消えていた。ただ、慎重さは忘れない。



婚約者も見守る。


「姉様の動きを読み切るには、まだ時間が必要だ」


己の力の不足を実感し、でも焦るのではなく、燃えるような熱を胸に抱く。


「負けない、必ず追いつく」


拳を握る。

刃と刃が交わるたび、風がさざめき、霜が粉のように舞う。

朝の光の中、五人の成長が静かに証明される瞬間だった。


私は一瞬、古傷に手を当てる。

痛みは小さくても、これが少ししてから、彼女を苦しめることになることを、まだ誰も知らない。



――庭には風と光と、刃の音だけが残る。

二年の時は、彼らを静かに、しかし確実に強くしていた。

五人はシオ、ミア、玲、鴻、婚約者です。

シオは抜けていたので次の話で入れます。

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― 新着の感想 ―
玲を守るために婚約者がんばれ! [気になる点] >5人の成長が、、、 とありましたが玲とミアと鴻と婚約者は話に出てきていたけど、あと1人は話に出てきていなくて誰なのか気になりました。
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