陰の敵
お茶会から5ヶ月がたった。
いつも通り運動をする。
朝。
空気は冷たい。
体を動かす。
足音。
呼吸。
風。
変わらない。
「姿勢が崩れています」
シオの声。
「……そう」
少しだけ直す。
「重心を下げてください」
言われた通りに動く。
それでいい。
「そのまま維持を」
頷く。
汗が落ちる。
首に巻いたタオルで拭う。
その時。
「……」
違和感。
視界の端。
木の後ろ。
黒い、何か。
一つ。
「シオ」
短く呼ぶ。
シオも気づき、頷く。
「下がってください」
数が、増える。
二つ。
三つ。
五つ。
音がない。
「……来ます」
構える。
次の瞬間。
影が、動く。
速い。
相手達も構えた。
一人づつ型が違う。
銃や剣や格闘。
全部か。
だが。
音がしない。
おかしい。
足音が、ない。
距離を取りながら戦う。
シオが前に出る。
「下がって」
言われる前に、動く。
それから敵を何とか撒いた。
倉庫。
中に入る。
息を整える。
「……数は五」
「連携あり」
「訓練されいますね」
短く、整理する。
一分もない。
「目的は」
「……不明」
だが。
分かることはある。
「それにしてもどうやって……いえ今は…」
「……狙いは、こちらですね」
こくりと頷いた。
沈黙。
その瞬間。
足元を見ると影がおかしい。
違和感。
上……?
「――上」
視線を上げる。
影。
銃口がこちらに向いている。
…シオの方だ。
シオはまだ考え込んで気づいていない。
銃が握られる。
考えるより先に。
体が動く。
押す。
「っ――」
パッン――
音。
痛っ――。
遅れて、痛みがくる。
痛い。
そう思ったのは少し遅れてからだった。
足に弾があたった。
「玲様!」
シオの声。
床に崩れる。
だが。
視線は外さない。
敵は、まだいる。
一方その頃屋敷では。
屋敷。
「……遅い、大丈夫なのか?」
鴻が呟く。
いつもなら。
戻っている時間。
玲が運動している場所はここから20分。
屋敷の中だが……。
「連絡は」
「ありません」
短い答え。
シオからもないとすると。
「……」
迷いはない。
「行く」
「…それとミアが来たら待機しておくよう伝えてくれ。」
立ち上がる。
護衛が動く。
空気が変わる。
「急ぐぞ」
何かあったからでは遅い。




