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国家のお茶会

噂から三ヶ月。

それだけ時間が経った。


そして噂は、あまり聞かなくなった。

少なくとも。

表向きには。


屋敷は静かだ。

街も。


何も変わらない。

……はずだった。



そして今日は国家のお茶会。


「お姉様、そろそろです」


ミアの声。


「分かった、ありがとう」


ドレスの裾を整える。

慣れないわけじゃない。


だが。

好きでもない。

今日は。


国会のお茶会。

貴族。

王族。


多くの視線が集まる場所。


「緊張してますか?」


ミアが覗き込む。


「してないかな」


本当だった。


ただ。

少しだけ。

空気が重い気がする。


「ミアは?」


「うーん、少し緊張してますが、お姉様達がいるので安心です。」


「あ、兄様も来ますよ」


「そう、ありがとう」


それは、少しだけ安心する。

――理由は分からないけど。



会場。

広い。

明るい。

整えられた空間。

笑い声。

会話。

香り。

完璧だった。

誰もが笑っている。


視線が向く。

すぐに逸れる。


何もないように。


「……」


慣れている。

こういう場所は。


でも。

今日は、少し違う。

言葉にできない程度に。


「玲」


鴻(兄)の声。


「大丈夫か」


「大丈夫」


短く答える。


鴻はそれ以上何も言わない。


だが。

視線だけは、少し長く残った。


「お姉様」


ミアが袖を引く。


「見てください」


その先。

彼だ。

こちらを見ている。

整った立ち姿。

無駄のない動き。


そして。

逸らさない視線。


「……」


会うのは久しぶりだな。


「お姉様の婚約者様も来ていたんですね」


ミアが小さく言う。


私はミアに小さく頷く。


手を上げて

「久しぶりです。」

と言って近づいてくる。


声は落ち着いている。

変な感じはない。


「……ええ、久しぶり。」



少し考えた後、彼に近づいて耳元で。


祭りの時の事の返事をした。

「……あなたの事、信じるわ」


「……ありがとう。」


と周りに聞こえないように話した後、人がたくさん来たので引き上げることにした。


「では、また。」


それだけ言う。

それでいい。

それ以上は、いらない。




「お姉様、さっき、何を耳元ではなしたのですか?」


 「……さあね?」


「さあね?って気になるじゃないですか。」


「まあ、良いですけど。」


と言う会話をミアとしながらお茶会の席へ行った。




席に着き周りを確認した。

兄はまだ来ていなかった。


周りの音。

笑い声。

会話。

全部、ある。


なのに。

少しだけ、遠い。


「お姉様?」


ミアの声。


「何でもない」


そう答える。

それでいい。

会場は変わらず華やかだ。


何も起きていない。

何も。



――表では。


玲達はまだ知らない裏で起きていた出来事を……

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